『人声天語』 第132回「くたばれ日本!(AMT & TCI 欧州ツアー 2006)」#1

6月10日(土)

午前5時過ぎにユープタワー萱澤君が明日香村AMT総本山に到着、斯様な早朝にも関わらず彼の車にて伊丹空港まで送って頂ければ、大いに感謝して余りある。午前6時半、伊丹空港到着、国際線乗り継ぎ便チェックインカウンターにて無事チェックインを済ませれば、受託荷物が規定重量より4kg超過しておれど、そこは流石ANAである「次回から気をつけてくださいねぇ」の一言にて済ませて頂き恐悦至極。手荷物として持ち込まんとするギターも「多分大丈夫とは思いますけど、国際線に乗り換える時に、搭乗口で持ち込めるかどうか尋ねて下さいね」との事。国内線から国際線へと乗り継げば、受託荷物は自ずから最初のフライトたる国内線チェックインにて完了する故、重量制限に対し到って厳しい国際線チェックインと異なり、かなり大目に見て頂ける様子。まあ自分達の責任範疇にあらざればと云う事であろうが、毎度国際線チェックインカウンターにて押し問答を繰り広げておれば、これは何とも素晴らしきサービスなり。午前7時40分ANA成田行きに搭乗、2日前より録音作業やらツアー前に終わらせねばならぬ仕事に忙殺され連日徹夜状態であれば、離陸せしも存ぜぬ程に即寝成仏、気がつけば成田空港に到着せり。
成田空港はW杯の影響もあるのか大いに混雑しておれど、既にチェックインを済ませし私は、チェックインカウンターの長蛇の列を尻目に搭乗ゲートへと向かえば、他のメンバー4人がその長蛇の列に並びしを発見、これはこれは御愁傷様。出国手続きも済ませ、午前10時40分発Austria航空Wien行きに搭乗、勿論ギターを持ち込めるか否かなんぞ尋ねる筈もなく、平然と持ち込んでおれど全く問題なし。矢張り機内は満員、隣の席がオーストリア人の青年なれば、喧しく鬱陶しい事この上なき団体ツアーのオバハン軍団にあらずホッと胸を撫で下ろす。新聞2紙を読みつつうたた寝、機内食を食らいし後は爆睡。Austria航空の客室乗務員は、これこそスチュワーデスの鏡と云わんばかりの素晴らしきサービスぶりにして、アメリカの航空会社のそれとは異なり、皆若くスタイルもよろし。ドリンクサービスに於いては、先日のAmerican航空の一件がトラウマとなりてか、思わず「Is it free?」と尋ねてしまえども、勿論無料にて赤ワインを頂けり。
約13時間のフライトにて午後2時50分Wien空港に到着、入国を済ませれば、トランジット故に再び搭乗ゲートへ。ゲート前喫煙所にて漸くメンバー全員集合。彼等は矢張りチェックインにて荷物の重量について押し問答を繰り返し、結局チェックインを終えてみればタバコ1本吸う時間しか残されておらず、大慌てにて搭乗せしとか。私は国内線からの乗り継ぎなれば、勿論斯様な問題もなく、また成田空港への旅費も列車に比べ大幅に安ければ、矢張りANAにて国内線乗り継ぎこそ最良の道たらん。但し今回の如く萱澤君の御好意に甘えるなんぞ言語道断、以後斯様な迷惑を掛けぬようにせねばならぬと肝に命ず。
午後5時25分発Austria航空Brussel行きに搭乗するや、再び離陸前に即寝成仏、目覚めれば既にBrussel空港へ到着せし。明晩のライヴ会場Magasin4のEricにピックアップを電話にて依頼、兄ぃのVodafonも今回は問題なく稼働せし様子、これも流石はソフトバンク孫社長所以か。Brussel空港より列車にてBrussel Midi (Zoid)駅へ、更にEricの車にてMagasin4へ。みつるちゃんは嘗てZeni Gevaにて訪れし経緯あれば、Ericと再会を喜び合いており、世界中何処へ行けどもみつるちゃんこそ大いに愛されておられる様子。但し何処へ行こうが、みつるちゃんの巨大化に皆驚愕し、次の刹那爆笑を誘うは当然なり。
今夜はここMagasin4にて宿泊、ヨーロッパのクラブにて時折見受けられるスタイルなれば、ライヴ会場の上の階にはツアーバンド用の宿泊施設あり。さて荷物を下ろせば、ここはベルギー、当然の如く先ずはビール也。皆で乾杯後、サッカー好きの東君、みつるちゃん、兄ぃの3名は、いきなりW杯の話題で盛り上がっておられる。私の予想では日本vs豪州は0ー2にて日本敗戦なれど、東君は「日本は勝つ!」と愛国心に燃えておられ猛然と反論。先日ペンギンハウスでのライブ打ち上げにて、若い男の子とW杯談義をせし東君は、その男の子が「日本は絶対3連勝で予選リーグ勝ち抜けますよね!」と熱くなりておる様をからかうかの如く「いやぁ、日本は予選突破無理やろ…」と反論、大いに激論を戦わせておられれど、矢張り本音は悲願たる日本の予選リーグ突破たるか。されど私の予想は何故かしら当たる事多く、奇しくも昨年のヨーロッパツアー時に行われしW杯アジア予選の際も、某ゲームについての私の日本敗戦予想に「頼むからそういう事云うのやめてくれん?まこやんの予想当たるから…」とこぼせしを思い出す。
空腹なれば、早速持参せし食料より、真空パックの御飯、味噌汁、ちりめん山椒ふりかけ、そして今回のキラーアイテム黒豆納豆を取り出すや、今回受託荷物の重量制限を気にするあまり、即席麺程度しか食料を持参しておらぬ東君は思わず「見せないでくれぇ!」ツアー初日なれば要冷蔵たる納豆も持参し得て食せれば、更に生葱も持参せし故に納豆と味噌汁にぶち込み大いに堪能、即席味噌汁でさえ生葱をぶち込めば到って美味なり。腹も膨れれば、再び猛烈なる睡魔に襲われ、午前2時頃には即寝成仏。東君も既にベッドにて就寝、せんせいは寝室まで辿り着けずロビーのソファーにて爆睡、みつるちゃんと兄ぃは何処へか出掛けられしか姿が見えず、まさか深夜の飾り窓探索にでも行かれしか。

6月11日(日)

午前4時起床。就寝時はまだ随分暑けれど、気付けばかなり冷え込んでおり、思わず毛布を被りし程。せんせいと東君も起き出し、各自朝飯と相成れば、ならば私もといきなりレトルトカレーと真空パックの御飯にて必殺のカレーライス、御飯を持参しておらぬ東君はひたすら見て見ぬ振り。されどカレーの香りを無視するは容易ならず、無情にもカレーの香りは東君の嗅覚を大いに刺激せり。さて何もする事なければロビーのソファーに座して雑談、みつるちゃんと兄ぃは何処へ、きっと飾り窓へ夜の観光にでも行ったのではあるまいかなんぞと冗談混じりに話しておれば、そこへひょっこり寝惚けしみつるちゃんが現れ、実は奥の別室にて兄ぃ共々就寝しておりしとか。
朝っぱらからやる事もなければ、ひたすらビールでも飲むしか術もなし。斯様に自堕落にして甘い誘惑の中にても、東君のみツアー中の体調自己管理と云う訳で酒に手を出さず。一体何があの無類の酒好きにして享楽主義者の彼にこれ程までの強靭な精神力を与えしか。それもこれも長期のツアーに於いて、病気や飲み過ぎによる体力消耗こそが最も過酷な試練となるを、今や体を以て知りたる故か。結局享楽主義極まりなきみつるちゃんと私のみがビールを呷る様なれど、特にみつるちゃんは今回鎖骨骨折も未だ完治とまではいかぬ様子にして、況してや今年の正月には痛風さえも患うておれば、周囲の方が気を揉む有様。当のみつるちゃんは飯を食わずダイエット敢行中との事なれど、ビール飲んでたら同じちゃうんか?まあツアー初日故に、ここは大目に見ておかん。
事務所にて各地より届きし物販商品を発見、せめて何かする事はないかと在庫整理。私は限定5個手描き扇子付きCDR2枚セットもあれば、せんせいはAMT史上初のDVDを持参、みつるちゃんも自分の過去の宅録コンピレーションCDRを製作、兄ぃは昨年のヨーロッパツアーに於いて個人商品売り上げトップにして全く同じラインナップたるみみのこと各種をと、各自持参せしソロ商品を見せ合えば「おっ!それ売れそうやなあ」「えっ?期待持てるかなあ?」斯様な中、個人商品のない東君の横顔は寂しそう。
然してするべき事もなけれど腹は減ると云う不可思議さ、ならば昼飯にせんと蝎麦なんぞ茹でてみんとす。元来うどん派にして蝎麦は精々年に1度か2度食するのみなれど、矢張り往々にして蝎麦は食い飽きる様子なれば、2束の蝎麦を完食するは大いに苦痛なり。うどんを持参し忘れしは一生の不覚、蝎麦を食えば食う程にうどんへの熱き想い深くなりけり。
昼飯を食い終わりしところで漸く午前11時なり。ならばと柄にもなくギターを練習してみる等して時間を潰す。ここ数年愛用せし左利き用Fresher Straiter所謂ストラト・コピーモデルは、先日のUSツアーにて壊れリペア中なれば、今回は以前スペアとして購入したまま長らく放置されし右利き用Fresher Straiterを持参、このボディーがまたよく鳴る事この上なく、久しぶりであろうギターの練習大いに熱くなりし。
ここMagasin4には専属シェフがおれば、毎回ライヴの夜には彼の手料理を御相伴に肖れるのであるが、激不味料理地帯たる北ヨーロッパに於いて、彼の料理はかなりの素晴らしさと云えるであろう。日本の某有名ミュージシャンが、海外ツアーに明け暮れる生活にて10kg以上肥えたとおっしゃられておれば、その理由たるやヨーロッパは美食天国故とか。到底私には信じ難き事実にして、以前津山さんにその話をするや「ギャハハハ!アホやな、あいつ!」と大笑いしておられし。きっと我々と異なりアカデミックな世界にて活躍されておられれば、さぞや豪勢なおもてなしを受けておられるのであろうか。ツアーに於いて最も過酷たるは食の問題なればこそ、勿論個人の味に対する価値観の違いはあるにせよ、もしもヨーロッパが美食天国と思えるような事あるならば、ツアーは大いに快適にして、何と幸せ至極であろうか。
さてそのシェフは、歳の頃は50代半ばと思えるが、バイカーにして一旦バイクに跨がれば200km/h以上のスピードにて爆走しておられるそうで、今日もMotorheadのTシャツを着て厨房に立っておられる。厨房から何やらスパイシーな香しき香り漂いて、我々の期待も大いに高まる処。
漸く午後5時となりサウンドチェック。私に用意されし一見巨大なアンプの持ち主たる対バンのギタリストは、私がファズにて轟音を発せし刹那、私の正面に立ちて大いに心配そうな面持ち「僕のアンプ飛ばさないで!」彼の悲痛な訴えに対し「Don’t worry! No problem!」と軽く一蹴。アンプはデカい音で鳴らさへんとあかんで!優しく扱い過ぎると女性と同じで調子乗りよるからなあ。
サウンドチェクを終えれば、いよいよシェフ御自慢の逸品を頂く運びに。本日のメニューは、ボイルド・ライスとポークのオーブン焼きにキュウリのサラダ、そしてデザートはバナナのコニャック漬け。北ヨーロッパにしては快挙、到って問題なく美味しく頂けり。特にブランデー嫌いの私と東君にさえ、思わず「美味い!」と云わしめしバナナのコニャック漬けは絶品なり。

 

腹も膨れれば睡魔が襲い来るは必定、Shopzone社長みつるちゃんと部長東君が開店する中、私は部屋へ戻り爆睡。みつるちゃんに起こされてみれば、既に前座のバンドは終了しており、慌ててギターを携えステージへ赴けど、満員御礼にしてホール内はまるでサウナ状態、セッティングするのみで汗が滝のように滴り落ちる有様。いざライヴが始まれば、満員の客席はダンスホール状態にして、室温は増々上昇。鎖骨骨折が完治せしかどうか怪しいみつるちゃんもハイテンションで大暴れ、矢張り根っからのロック馬鹿である。されど演奏開始後10分も経たぬうちに私のアンプが絶命寸前断末魔の声を上げんとしておれば、音量はみるみるうちに下がり始め、焦げ臭い異臭も立ち込め始めれど、持ち主にアンプは飛ばさぬと約束公言せし下りあれば、ここで無理して引導を渡す訳にもいかず、これよりアンプ延命策に大いに腐心、御蔭で精神的には大いに消耗せり。何とか終演までへたりながらも音も出ておれば、何はともあれ無事に終演、当然アンコールには応え得る筈なし。まるでサウナの中にてライヴせしが如し、あまりの暑さと疲労にて、終演後も汗が滝の如く流れ落ち止まる事なければ既に脱水状態、先達てのAcid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.のUSツアーに比べても大いに疲労困憊、Acid Mothers Temple & The Cosmic Infernoはまさしく地獄の苦しみを与え賜うバンドたるや。
終演後、Universe Zeroのベーシストたる御仁を紹介され歓談、何でも現在Jannick Topのソロアルバム12枚をマスタリング中とか、という事はその12枚同時発売もあり得るのか。また私が嘗てチーフコックを務めし今は亡き名古屋のカルトレストラン「キャラバンサライ」の常連たりしと云うベルギー男性とも遭遇、大いに驚嘆。世界は何とも狭き事か。
夜食に再び蝎麦を食らえば、流石にもう蝎麦には辟易、残り4束は既に就寝せし東君の鞄の上へ、麺好きの彼へのプレゼントとして置いておく。午前2時半就寝。

6月12日(月)

午前4時半、蚊の猛烈な襲来にて思わず起床。ならばとシャワー&洗濯を済ませ、事務所にてネット接続し雑務。雑務を終えキッチンへ向かえば、既に東君とみつるちゃんは朝飯を食ろうておられ、ならばと私も昨夜の晩飯の残りを再利用せんと、ボイルド・ライスにポークのオーブン焼きの残り汁を打っ掛け、更に唐辛子をもぶち込み、フライパンにて炒めてみれば、照り焼き風味の具なし炒飯となりて何とも美味なり。味噌汁との相性も素晴らしく大いに満足。本日はBrusselよりHamburgへフライト後、Rostockへ移動するのみ。フライトも午後なれば、各自のんびり時間を過ごせども、何もせんでも腹は減るとばかりに空腹感を感ずるや、フライト用に荷物を軽量化せねばならぬ理由もあり、真空パックの御飯とレトルトカレーにてカレーライスを頂く。更に冷蔵庫にて眠りしバナナのコニャック漬けをも頂けば、一夜寝かされし故に味の深みも増し、一層美味なり。
午後1時過ぎ、車でBrussel Nord駅へ送って貰い、空港行き列車に乗車しBrussel空港へ。午後3時半発Brussel航空Hamburg行きにチェックイン、懸念されし受託荷物の重量も問題なくクリア、空港内のテレビにてはW杯日本vs豪州戦を中継、未だ試合開始前の国歌斉唱なれども東君は「感動するなぁ~」空かさず私が「心配せんでもどうせ0-2で日本が負けるから!」さて結果は如何に、試合はまさしく我々が雲の上にいる間に行われる故、中継を観る事は当然叶わず。機内にて再び爆睡、着陸せしも知らず。
Hamburg空港へ到着、受託荷物を取り空港ロビーへ出てみれば、丁度テレビにてW杯中継が流されており覗くや、何ともタイミングよく豪州の見事なゴールの逆転シーン。思わず未だロビーに出て来ぬ東君を探しに戻り、遠くに見えし東君達にこちらからガッツポーズを送るや、それを察せしか察せじか、慌てて走って来れり。「えっ?何?何?もしかしてサッカー?」「ハハハハハ!やりよったでぇ!」再びガッツポーズで答えし私を尻目に、テレビ前へと一目散に走り行くや、1-2のスコアに思わず失意落胆、されど最後まで希望は捨てぬ、諦めぬと、ギターを背負いしままテレビ前に陣取り画面に食い入っておられれば、更に駄目押しの3点目が入り、そして東君の儚い希望も空しく無情の試合終了。東君は茫然自失、完全なる放心状態。同じくサッカー好きのみつるちゃんは、兎に角一体如何な試合展開たりしか知りたくて仕方ないらしく、自らあれこれと想像解析して東君に話し掛けれど、放心状態の東君には既にその声も届いておらず。南米贔屓の兄ぃは笑顔にて「ハハハハ…負けたねえ、面白いよ!」残念ながら0-2にて日本の負けと云う私の予想はスコアこそ的中せねども、点差と結果は取り敢えず的中。今だ立ち尽くす東君は、テレビ前のソファーにて悠々と観戦せしブラジルサポーター達から何やら励ましの言葉を掛けられておられれど、それも多分上の空、後程東君曰く「あれが優勝を狙うチームのサポーターの姿なんやねぇ…余裕だもんねぇ…羨ましいなぁ…サポーターとしても完敗だなぁ…」18回連続18回出場にして前回の優勝国と、自国開催も含め僅か3度目の出場国とでは、比較する事自体不毛と云うものであろうし、そもそもサッカーへの思い入れや生活への密着度のレベルが別次元であろう。殆どが俄サッカーファンたる日本サポーターを煽動せんとする日本のメディアの功罪か、今やW杯に出場するは当然、予選リーグ突破も絶対命題とするその傲慢にして甘い考えこそ、サッカーを若しくはW杯を舐めているとしか言い様なし。どう考えた処で、いくら中田英寿や中村俊輔がヨーロッパにて活躍し評価されているとは云え、彼等のレベル如きの選手なれば欧州リーグにて然して珍しくもなかろう、彼等が米大リーグにて活躍するイチローの如く、その中でも群を抜いて優れたアスリートと云う次第にあらず。況して彼等が日本代表チーム内トップレベルの選手と云う事は、即ち残りの殆どの選手達は哀しいかな世界レベルには未だ届いておらぬと云う証でもある。ヨーロッパでの下馬評は「日本3敗で予選リーグ敗退」なれば、彼等に日本ではブラジル共々予選突破と予想されしと話すや「冗談でしょ?日本が何処に勝てるの?アハハハ!Good Luck!」と嘲笑の下に返されるがオチなり。ジーコが監督を務める故、最終戦にて既に予選リーグ突破を決めしブラジルが、お情けで引き分けにでもしてくれん等と、精々笑い話にされる程度か。そもそも日本よりも実力も実績もあるヨーロッパの強豪国でさえ、毎回ヨーロッパ予選を突破するは至難の業であろうし、事実日本より強い国が涙を飲み出場しておらぬも実状であろう。今回無様に3敗で予選リーグ敗退する事で、アホな日本のメディアも俄サポーター共も、W杯とは何たるかを今一度学ぶべきではないか。せめてW杯出場の歴史では圧倒的に日本を凌ぐ韓国と、自国開催も含め僅か出場3回の日本とは、大きく立場が異なる事ぐらい弁えるべし。
バスにてHamburg駅へ向かい、列車にて今日の目的地Rostockへと向かい、午後9時過ぎにRostock駅着。Rostock駅からタクシーにて明日のライヴ会場Stbunitzへ。2000年以来久々に訪れるこのStbunitz、紛れもなく船にして、その船艙こそライヴスペースなり。オーナーである通称「キャプテン(船長)」と再会を喜び合い、先ずは投宿先となる船室へ通されれば、ここを初めて訪れるみつるちゃん、兄ぃ、せんせいの3名は唯々呆気にとられるのみ。クルーが集う憩いの場所たる食堂へ通され、彼等の賄いの残りたるパスタを頂けば、日本の喫茶店で味わえる所謂ナポリタンと同じ味にして美味なり。食堂横にあるPCにてみつるちゃんは早速日本vs豪州戦のニュースを検索、されど日本語フォントが入っておらねば読む事叶わず。東君は「何がジーコ様じゃ!これからはジーコって呼び捨てじゃ!」放心状態から醒めてみれば、今度はきっとジーコの采配が悪かったのであろうと悪態つき放題。それを受けてみつるちゃんも自分の考察等を語る語る。ここで私がiBookにてネット接続、ジーコの試合後のインタビュー記事なんぞを東君に見せるや「課題だった決定力不足が敗因だぁ!?ふざけんな!そんな事はじめから判り切った事だろぉ!自分の責任転嫁だろ、それは!」と、更にジーコ批判止まらず。されど続けて詳細なる試合経過レポを読み始めるや「んんんん…、こりゃ負けて当然だなぁ…序盤からこれだけ攻め込まれてたらなぁ…ゴールも俊輔のラッキーゴールかぁ…川口頑張ったんだなぁ…これもし1-0で勝ってたら川口がMVP間違いなしだもんなぁ…いやあ、よく3失点で抑えたよ…これテレビで観戦してたら絶対怒ってもう諦めてたなあ…少ないチャンスに決められないんだからなあ…ジーコよくやったよ、本当に…やっぱりジーコ様と呼ばせてもらおう!」先程までのジーコに対する怒りから一転、今度は決定力不足の実態を露呈せし攻撃陣に対する文句に始まり、現代日本人の精神力の脆さや甘さに対する考察等、その他サッカー蘊蓄やら連発後「うん、これではダメだね…闘将ヒディングに負けたね…完敗!」そして日本より持参せし秘蔵の焼酎ボトル1本を明けつつ、みつるちゃんとのサッカー談義は延々と続き、クルーに差し入れて頂きしビールも次々と明けつつ、今度は東君お得意の独り言の如きサッカー解説やら蘊蓄が始まれば、いよいよ夜も更け行く。ビールに手を出さんとするみつるちゃんに、兄ぃが一言「(痛風には)ビールが一番ダメなんでしょ?金子(寿徳)さんもビールだけは飲んでないよ」この一言にビビったか、思わず硬直するみつるちゃんに「もしかして例によって想像痛風になってきたんちゃう?」と訊ねれば「うん、何か足先が痛くなってきた気が…」されどよくよく見れば、未だビールの栓を抜きしのみにして口さえ付けておらねば「あっ…未だ飲んでへんかったやん!完全に想像痛風や!」午前2時半就寝。

(2006/7/13)

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