『人声天語』 第137回「北米ホットドッグ殲滅戦線内ゲバ戦記(AMT & TMP U.F.O.北米ツアー 2007)」前編

4月12日に成田空港より出立し、無事Los Angelsに到着。いよいよアメリカ帝国主義的超重量級養豚料理戦線を完全殲滅せんと目論めばこそ、今回も「レインボー大作戦犬殺し7人衆」以外の食材等一切日本より持参せず、自ら完全なる革命戦士たらんとす。 MaquiladoraのBruce邸に投宿すれば、今やすっかり大東亜美食共栄圏世界味覚革命同盟シンパとなりし彼より焼酎等にて持て成され、東同志と共に焼酎にて盃を交わし、今再びその革命戦士たる決意を新たにす。既に一昨年よりアメリカ帝国主義的ジャンクフード世界侵略戦線へ潜入し、アメリカの不味コーヒーもアメリカ警官の夢たるドーナツさえも殲滅せし東同志より「ヨーロッパの激不味料理に比べたら、アメリカの帝国主義的ジャンクフードなんて、殲滅するのは余裕、余裕!」との助言頂けば、先達て欧州激不味料理戦線を完全殲滅せし私にとって、これ程心強い言葉なし。

4月15日、いよいよ4週間に渡るロードへ出発、今回もツアードライバーを務めしは、我等がGODことJustin Watersなり。Los AngelsよりAustinへ向かわんとすれば、砂漠を爆走すること2日間に及ぶ。いざホットドッグを求めんとするや、何とも皮肉なるもので、立ち寄りしガソリンスタンドにても田舎ダイナーにても、何故かホットドッグに遭遇叶わず、さりとて空腹なれば砂漠の中に建つ田舎ダイナー「Desert Center Family Cafe」にて手作り田舎ハンバーガーを殲滅せり。されば次に立ち寄りしガソリンスタンドにてホットドッグに遭遇、されど先程巨大ハンバーガーを食らいし私は手を出せず、先程ハンバーガーに手を出さざりし東同志のみが、先ず今回のツアー初となるホットドッグ1本を見事殲滅せり。結局この日はその後もホットドッグに遭遇出来ず、晩飯もBurger KingにてWhopperを食らいし。1日1ドッグ殲滅を目標に掲げておれば、明日は何としても2ドッグ殲滅せねばなるまいか。否、いずれ怒濤のホットドッグ波状攻撃もあろうと思えば、無理にスタートダッシュを掛ける必要もあらざらん。

4月16日、Austinへの移動日2日目なれば、本日もひたすら砂漠を爆走するのみ。立ち寄るガソリンスタンド毎にホットドッグを求めれど、いつもなら何処でも容易に発見し得る筈のホットドッグを何故か発見出来ず、ガソリンスタンドによってはホットドッグマシーンこそ設置されておれど、中身は空にしてソーセージが回っておらぬ有様。南部の人間はホットドッグを食わぬのか。求める者は報われず、ならばせめてソーセージの類いでも食らいて革命戦士としての士気を昴めんと「Tijuana Mama」なる怪し気な激辛スナックソーセージを購入、さて一口食ろうてみるや、中まで毒々しい程に真っ赤にして、あまりに酸っぱ不味く到底食し得る代物にあらざれば、一齧りのみにて不覚にも玉砕、即廃棄処分。こんな不味いもん誰が食えんねん!されどこれは油断と焦りもあれど、未だ真の革命戦士としての心構え不足と云う不甲斐なさか、否しかし、果たしてアメリカ人でさえこの代物を食し得るのか甚だ疑問なり。恐るべきはアメリカ激不味ジャンクフード戦線なり。強ち侮れぬと、これを機に再度今回の殲滅戦が容易ならぬを肝に銘ず。

結局砂漠の中に建つTexas Truck Stop所謂トラック野郎御用達のガソリンスタンド兼田舎ダイナーにて、またしても巨大手作り田舎ハンバーガーを食らいて口直し。兎に角斯様な食生活では肉食に偏重気味なれば、血液の酸性化を抑える為にも、せめて効率的にビタミンを充填せねばならぬは必定、されど野菜料理と云えばサラダ程度しか容易にお目に掛かれぬ土地柄なればこそ、御馴染みの野菜ジュースなる通称「ブイハチ」ことV8を飲み捲るしか術もなし。されど昨年の北米ツアーに於いては、そのV8を主食に設定し、挙げ句の果て飲み過ぎれば、日本製野菜ジュースよりも濃厚かつ塩分多めなればこそ、ツアー終盤に於いてはその唯一のライフラインたるV8を飲み飽きると云う末期的苦境にまで追い込まれれど、今回再びV8をライフラインとせねばならぬは当然至極、斯くなる上はこの4週間にて最低18リットルのV8殲滅を目標に、「一斗缶V8玉砕作戦」さえ開始せり。

4月17日、漸くAustinへ到着、サウンドチェック後に晩飯を食さんと思えど、今宵を以て未だライヴ2発目なれば所持金もなく、ここは何とか割安にテイクアウトの類いにて済まさんと、兄ぃに「何か安いもん買うて来て下さい」と依頼、さすれば兄ぃが買うて来し代物こそホットドッグに他ならず、これにて漸くホットドッグと遭遇叶いし。されどこのホットドッグは4ドルと法外な値段にして、万物全て巨大なるテキサスとは思えぬ短小ぶり、況してトッピングなんぞもなければ、貧弱なるソーセージに切れ目を入れ、そこにマスタードとケチャップを挟むと云う、極めて不可解な代物。「なんじゃこの小ブル的ホットドッグは!ホットドッグって労働者の為の国民食とちゃうんかい!なに値打ちこいとんねん!」斯様に反革命的小ブル的ドッグには完膚なきまで鉄槌を食らわせんと、東同志共々1本ずつを即刻完全殲滅撃沈せり。

4月18日、次の目的地Birminghamへの移動日なり。立ち寄りしガソリンスタンド毎にホットドッグを探し求めれど、全く以て遭遇叶わず。されど来たるべき時の為に備え、迂闊にハンバーガーなんぞ食えぬ有様にして、ひたすら空腹に耐え忍ばざるを得ず、革命活動とは何とも過酷なものなり。されど空腹に苛まされし東同志は、どうやらホットドッグとの遭遇は何時にも増して困難を極めんと思うや、流石は幼少の頃よりトーストやオートミール等の欧米的朝食にて育てられし強者なれば、車中にて極限的空腹に苦しまぬようにとRitzの大箱2箱を購入せり。幼少より口内の水分を奪われるビスケットやスナックの類いを忌み嫌う私には、到底真似出来ぬ革命的行動なり。
さてここで立ち寄りしガソリンスタンドにて、万物全て巨大なるテキサスらしい巨大ホットドッグに遭遇、この難敵を殲滅撃沈せずして我々のホットドッグ完全殲滅は有り得ねば、更には大食らいの兄ぃもここでこの巨大ドッグ殲滅戦に臨時参戦、東同志共々いよいよ玉砕覚悟にて、この代物に臨まんとす。ソーセージの全長は30cm超級にして、ドッグパンならぬパイ生地にて包まれておれば、油をたっぷり吸い込みており、その諄さも超ド級なり。中盤で流石に味に飽き始めし折、ここで「レインボー大作戦犬殺し7人衆」よりタバスコを召喚、タバスコの酸っぱさにて諄さを払拭すれば、巨大ドッグをここに完全殲滅撃沈せり。東同志もパイ生地の諄さに苦悶しパイ生地のみ僅かに残せども、同じく殲滅に成功せり。流石にこの巨大ドッグの腹保ちの良さは半端にあらず、この夜は晩飯を食らう必要さえなし。


4月19日、Birminghamへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、遂にノーマルなホットドッグに遭遇。所謂ホットドッグマシーンにてソーセージ各種が回されておれば、マシーン下部にて温められしドッグパンを手に持ち、お好みのソーセージを自分で挟み、更に並べられしトッピングより好きなものを好きなだけ挟み込み、最後はチリソースかケチャップとマスタードにて味付けを済ませし後、レジにて精算すると云うシステムなり。今回初のノーマルなホットドッグと云う事もあり、ここは敢えてトッピングを刻み玉葱とハラペーニョのみにしてチリドッグを選択、東同志もチリドッグを選択すれども、このハラペーニョが相当に激辛らしく大いに苦悶されておれど、激辛嗜好者たる私には些かの問題あろう筈なく、これを完全殲滅撃沈せり。

ライヴ後、今回のツアーにてサポートバンドを務めるSanta Cruzのウィザード・ヘヴィサイケ・バンド「The Mammatus」と共に同じ家に投宿すれば、いきなり住人やらその友人も含めてのパーティー状態と化し、皆で散々飲み倒せども、私のみ未だ時差ぼけにて独り眠る事さえ叶わず、明け方に猛烈なる空腹感に襲われし。これはもう辛抱ならんと台所を漁りてスパゲティーを発見、今回のツアーに於いては「食い過ぎず、飲み過ぎず、夜食厳禁」をスローガンに掲げておれど、既に陽も上らんとしておれば、またこの後眠る訳でもなく、決して夜食にあらざらんと思えば、とんかつソースを召喚し、焼きそばを作り貪りし。されどこれまた大量に作り過ぎれば、半分を持参するタッパウエアに詰め弁当とする。
4月20日、Atlantaへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、東同志は冷蔵庫にてチリドッグ2本セットを発見、普通のホットドッグより幾分小振りなれば、電子レンジで温め一気に2本を殲滅撃沈せり。一方の私は、明け方に作りし焼きそば弁当を食らいておれば、不覚にもここでのホットドッグ殲滅は叶わずして、また晩飯はライヴ会場The Earl内のレストランにて巨大チキンサンドを殲滅撃沈すれば、結局この日もホットドッグの殲滅叶わず終いなり。

4月21日、我等が愛するツアードライバーJustinの本拠地Atlantaなれば、巨大市場に案内され、市場内の食堂にて昼飯となれり。格安ビュッフェにして料理も種類豊富なれば、今回のツアーに臨むに当たり「食い過ぎない、飲み過ぎない、夜食厳禁」を掲げる私は、ついつい食い切れぬ程の料理を皿に盛らんとする貧乏人根性を抑制、インドカレー各種盛り合わせをベースに、サラダとサモサで手を打たんとす。一方実は相当なる偏食家にして肉食家たる東同志は「兎に角肉、肉、肉、デカいステーキが食いたい!」と、既に辛抱ならざれば、巨大ステーキに挑めども、既に冷め切りしその肉塊に「失敗だ…硬い…」大苦戦しつつも貪り食うは立派なり。
Ashevilleへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、ホットドッグマシーン上にソーセージが回っておれば、先程ステーキに大苦戦せし東同志は「このホットドッグの方が美味い」と、ここでも1本殲滅撃沈せり。されど私はテイクアウトせし昼飯のサモサが残っておれば、ここでホットドッグを食らう事またしても叶わず。この時点にて、東同志が7本殲滅、私が3本殲滅、4本水を開けられし状況なり。

4月22日、Ashevilleにて投宿せし家の台所には、食料の類い皆無なれど、メンバー各自食料を持参しておれば、各々朝食を拵え食す次第。されど今回食料を一切持参しておらぬ私なれば、食料を求め近所を徘徊、漸く1軒の小さなガソリンスタンドを発見、ここの冷蔵庫にて、先日東同志が殲滅せしチリドッグ2本セットを発見購入。投宿先へと立ち戻れば、先ずチリドッグのソーセージを取り外し、冷蔵されし故に脂分が分離気味のチリソースを洗浄、ソーセージをフライパンにて加熱加工せんと、ここで「レインボー大作戦犬殺し7人衆」より焼肉のタレを召喚、焼肉風味ソーセージをドッグパンに挟み直し、2本を一気に殲滅撃沈せり。流石は焼肉のタレ、元があの不味そうなるチリドッグとは思えぬ美味ぶりなれば、焼肉のタレは何とも偉大なり。


Charlottesvilleへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、ホットドッグマシーンを発見、東同志はここで1本を完全殲滅せり。さて私はと云えば、同じく1本を殲滅撃沈こそすれど、ホットドッグ殲滅については初心者なれば、未だベーシックたるケチャップとマスタードによるデコレーションなんぞに腐心しており、ホットドッグマシーンに描かれし完成品の写真を見つけ「成る程、より美しく見せるにはケチャップやマスタードを蛇行してレイアウトせねばならぬか」なんぞと徹底的な自己批判する始末なり。

4月23日、24日の両日は、Washington DCのSam Lohman (ex.ありぢごく)宅へ投宿、残念ながらSamはツアー中にて留守なれど、ルームメイトにして元AMTツアードライバーのJohnによる手料理なんぞ御相伴に肖れり。BaltimoreとWashington DCにてライヴなれば、共にSam宅からの移動距離は斯くも短く、無論道中にてホットドッグに遭遇する機会も皆無なり。
Baltimoreにて訪れし中華料理屋に於いて、無類の酢豚好きなる私なれば、嘗て様々な奇妙珍妙なる激不味酢豚に遭遇せしにも懲りず酢豚を注文、さすればまたしても驚愕の激不味酢豚に遭遇せり。昨年のアメリカツアーにて遭遇せし代物(人声天語第134回「2006年総まくり」参照)にこそ僅かに及ばねども、豚バラ肉の天婦羅に、ピーマンと人参とパイナップルが放り込まれし毒々しきクランベリーソースの如き「sweet & sour」ソースが別で添えられておれば、これが私の知る処の酢豚とは、全く似ても似つかぬ代物なるは明白、って云うか何やねん、この料理?救われしは、ソースが別添えになっておれば、豚バラ肉の天婦羅のみを辛子酢醤油にて食し得、この代物を徹底殲滅撃沈せり、何とか昨年の如き大惨事こそ免れしか。されど斯様な激不味料理を平然と客に食わさんとする中華料理屋なんぞ、果たして大東亜美食共栄圏世界味覚革命同盟の同志たる資格さえあらざれば、徹底的な自己批判を強要するは当然にして、況してやアジア料理に対し大いなる誤解と不信を生み出す反革命の温床ともなり得る故、矢張り反革命分子として天誅を下さねばならぬ。

4月25日、Philadelphiaへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、かなり種類豊富なトッピングを揃えしホットドッグコーナーに遭遇、玉葱、ピクルス、ハラペーニョに加えてトマトまで用意されておれば、この機会に野菜を食らわずして何とすると、ホットドッグに於いては掟破りたらんソーセージをドッグパンに挟まず、ホットドッグを入れる紙箱に直接入れ、その上にドッグパンを置き、さて詰められる限りの野菜を詰め込めば、これではまるで野菜ドッグなり。これにタバスコのみを打っ掛け頂かんとするや、トマトの水分にてドッグパンが見事崩壊、結局手掴かみで野菜を食らいつつ、もう片手にソーセージを握り齧る羽目となるや、果たしてこれは正しきホットドッグの食し方にあらざらねども、何はともあれ殲滅撃沈せり。

一方の東同志はここで2本購入、1本をケチャップとマスタードにて、もう1本を持参する焼きそばソースにて味を変え、一気に完全殲滅せり。と同時に、東同志は突如此処に「まこやんの三冠阻止」を宣言。彼の云う処の三冠とは、今回のツアーに於けるホットドッグ殲滅本数、V8殲滅量、レコード購入枚数の3項目に関するものにして、既にV8殲滅量は「V8主食主義」を貫く私故に他の追随を許さず圧倒的なれば、またレコード購入枚数についても、昨年の400枚弱購入と云う記録も所持する上、幾ら津山さんがVinyl Junkyぶりを発揮しようが、所謂ロック番長にしてフォークマニアな津山さんと、全ジャンルを網羅せんする音楽餓鬼たる私とでは、そのテリトリーの圧倒的格差から、私の購入枚数が自ずと圧倒するは必然にして、なればこそ一昨年よりアメリカ帝国主義的ジャンクフード世界侵略戦線へ潜入せし東同志の北米味覚革命戦線に於ける先輩活動家としてのプライドからか、況してそもそもパン嫌いにしてソーセージ嫌いの私の奮闘ぶりに多少の焦燥感を抱きしか、兎に角ホットドッグ殲滅本数に関しては、私に対し絶対的優位に立たんとの思惑明らかにして、またどうやら思いの外ホットドッグに遭遇する確率の低さもあり、この日より彼は一気に2本ずつ殲滅する「ホットドッグ・ダブル攻撃」を開始せり。斯様な革命主旨から逸脱せし大凡反革命的命題たる私の三冠阻止なんぞを訴えるは、この時点で既に我々世界味覚革命活動家としての本分さえも忘却し、今やこのホットドッグ殲滅戦を単なる私的怨恨戦へと摺り替えてしまっておれば、これを小ブル的名誉欲とビビリズムよる反革命と見なさねばならず、ならばこちらは反革命ヒガシに対し「戦略的防御段階」を取る事で静観す。ここに「ホットドッグ内ゲバ戦争」の幕は切って落とされにけり。

4月26日、New Yorkへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、ホットドッグマシーン上に回るソーセージを発見。大いに空腹もであればここは私も、ケチャップのみのベーシックドッグと、「レインボー大作戦犬殺し7人衆」より柚子胡椒とマヨネーズを召喚し柚子胡椒マヨドッグの計2本を殲滅撃沈せり。一方のヒガシも、ケチャップ&マスタードによるベーシックドッグと、焼きそばソースにて味付けせしソースドッグの2本を殲滅せり。

4月27日、Brooklyn滞在先たるJustinの友人宅のマンションを訪れし際、何とエレベータが故障し、メンバー一同閉じ込められるハプニングあり。エレベータ会社に非常電話を掛けた処で、私の応対ぶりの出鱈目さ故か故障を信じてもらえず、果たして救助が来るかどうかさえ怪し気なり。これも世界味覚革命に対するアメリカ帝国主義的超重量級養豚料理戦線の謀略なるか。されど運良く晩飯にと購入せし炒飯を所持しておれば「腹減ったし炒飯でも食お!」何事も諦めが早く「なるようにしかならん」との運命論者且つ楽観主義者たる私が炒飯を食い始めるや、幾ら内ゲバ戦突入中とは云え、我々共通の敵たるアメリカ帝国主義的超重量級養豚料理戦線に対峙するとあらば、ヒガシも「炒飯持っててよかったわ、これで取り敢えず腹は膨れるからね」と、炒飯を貪り始める。大自然の脅威に大しては常に冷静沈着なる山男津山さんは、元来人工建造物に対する絶対的不信による人工建造物恐怖症なれば、大いに狼狽しておられ「えっ?もし出られへんかったらどないすんねん!うんことかしたなったらどないすんねん!この中でみんなでうんことかしょんべんとかしてやで、救出された時どないすんねん!せや、その時はみんなでハヲさんがやったって事にしよ!僕ら止めたんですけどどうしても我慢出来ひん云うたんで…とか云うてやなあ…。」しかし階段にて上りしJustinと家主たるJustinの友人達が、悠長にも漸く異変に気付き、何とか無事に救出されし次第なり。されどこれは世界味覚革命を阻止せんとするアメリカ帝国主義的超重量級養豚料理戦線の謀略に他ならず、果たして我々の中にスパイでもいるのか、これは予断を許さぬ事態なり。

4月28日、 Cambridgeへの道中にて立ち寄りしレストエリアに於いて、ボランティアによるチャリティー活動の一環としてのホットドッグ屋台に遭遇せり。1ドルを寄付し、ケチャップ&マスタードのベーシックドッグを1本殲滅撃沈せり。一方のヒガシは、ここでも2本殲滅撃沈しておれば、この時点に於いて5本のアドバンテージを築き、最早ホットドッグ内ゲバ戦争勝利への余裕も伺えしか。されど私は今尚「戦略的防御段階」なれば、斯様な愚行については静観するのみにして、次なる「戦略的対峙段階」への準備と機会を虎視眈々と伺う次第なり。

4月29日、 New Heavenへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、ホットドッグに遭遇叶わず、大いに空腹なれば玉子サンドを食せり。元よりパン嫌いの私が自ら進んでパンを食せし故、津山さんでさえ「あのパン嫌いの男が自分から進んでパン食っとんで!ホットドッグのせいか、えらい変わったの~!」と、驚く有様なれば、同じく私が大のパン嫌いなるを知っておればこそ、いずれタップアウトし戦線離脱するであろうと、己れの勝利を楽観視するヒガシも、これには強ち内心穏やかにあらざらん。さすればこれぞ革命的心理戦の序章なり。

4月30日、Ottawaへの道中にて立ち寄りしガソリンスタンドに於いて、冷蔵庫に眠る袋入りホットドッグを発見、「レインボー大作戦犬殺し7人衆」よりとんかつソースを召喚しソースドッグ1本を殲滅撃沈せり。一方のヒガシは、ここでも2本を殲滅撃沈し、私とのアドバンテージを6本に広げし。

国境を越える際、免税店にてタバスコ・ブランドの「Spicy Okura」なる瓶詰めオクラのピクルスを購入、来たるべき「レインボー大作戦」の下に展開される総反攻へ向けての準備も、これにて完了せり。

The Mammatus曰く「カナダはホットドッグの本場だから、美味いホットドッグが食えるぞ!」ならば国境を越えればいよいよ「戦略的対峙段階」へ突入せんとす。Ottawaの市街を車中より眺むれば、確かにホットドッグ屋台が連なっており、カナディアン・ホットドッグ殲滅戦への士気も大いに上がれども、いざライヴ会場Babylonに到着すれば、見渡せどもあれ程拝めしホットドッグ屋台の影は皆無にして、その代わり日本でさえお目に掛かれぬ程に寿司屋が軒を連ねる有様。結局ヒガシと共に今宵のホットドッグ殲滅戦は諦め一旦休戦、韓国料理屋にて恐るべき大盛りの焼肉定食に舌鼓を打ち、これを殲滅撃沈せり。

5月1日、Torontoへ移動するも、矢張り噂のカナディアン・ホットドッグに遭遇する事叶わず。Torontoも矢鱈と寿司屋が連なっておれば「何でこんなに寿司屋ばっかしやねん?」カナダは既に我等が世界味覚革命同盟にオルグされ、ヘゲモニー獲得にも成功せりと云う事か。
因みにカナダ製のV8は「V-Go」なる名称にして、その味も大いに異なり酸味が強く、またブイヨンの味が口に残れば、まるで不味いトマトスープの如し。

5月2日、再びアメリカへ戻らんとすれば、何とか再入国する前に、カナディアン・ホットドッグを殲滅せんと思えども、残念ながら遭遇叶わず、結局Burger KingにてWhopperを殲滅撃沈するに留まれり。されど今や私怨に燃えるヒガシは、その執念にて怪し気なるホットドッグ・チェーンを発見し、敵ながら天晴、見事悲願のカナダ製ホットドッグを殲滅せり。されどヒガシ曰く「こんなホットドッグじゃ本物のカナディアン・ドッグとは呼べないな。」

今宵はBaffaloにてライヴなれば、バッファロー肉のホットドッグなんぞ味わえぬかと思えども、何とバッファローはbuffaloと綴れば、愚かしくもスペル違いなり。

Share on Facebook

Comments are closed.