知らぬ間に、この「人声天語」も100回を迎えようとしている。何事も「継続は力なり」とはよく云ったもので、この辺りで今回は「探偵ナイトスクープ」宜しく「小ネタ集」とさせて頂く。
「Loco Boy」
岡山と云えばPepper Landである。そしてその数件隣に建つ激安定食屋「Loco Boy」は、岡山に行けばPepper Landの近所と云う事とその安さから、必ずや立ち寄ってしまう場所である。
何しろ岡山大学の前に建つ故か、学生食堂の如く安い値段設定にして大盛りである。カレーうどんもカレーライスもカツカレーも同じ400円台ってどう云う値段設定やねん?うどんを頼めば、どう考えても通常の1玉半から2玉はあろうと思われる大盛りにして、更にうどんセットにすれば御飯やコロッケやらいろいろ付いて来るのである。何せカキフライ定食でさえも想像を絶する激安ぶりである。営業時間も一体何時閉店かは存ぜぬが、随分遅くまで開いている事に間違いはなく、一説によると食材が尽きるまでとの噂もある程。
どうやら岡山には、同名の「お母さんが作ったお弁当」をコンセプトにした手作りおにぎり等を販売する会社が存在するようで、ここはこの会社のアンテナショップではないかと思われる。おにぎり等の小売り販売先が岡山大学学生食堂や岡山中学学生食堂である事から、成る程この値段設定も理解出来ようと云うものか。
この岡山大学前の通りには「日本で一番安い中古自転車屋」も並ぶ事からか、矢鱈と自転車人口が多く、その銀輪ラッシュぶりはまるで中国さながらであるが、よくよく考えてみれば岡山は「中国地方」であったか…何となく納得。
「マイナスイオン」
Ruinsの吉田達也氏は言わずと知れた拉麺好きにして、同時に健康グッズマニアでもある。青汁に始まり今や数多くの訳の判らぬhealthy drugの錠剤等を持ち歩き、ツボを刺激するグッズやら何やらと、彼のツアーでの荷物の何割かは斯様なもので占められている。そんな彼から戴いたマイナスイオン・シーツなる逸品、このシーツはマイナスイオンを発生させ、兎に角「良い」そうで、ならばと津山さん共々試してみる事に。云われてみれば確かに快眠出来たような気さえするが、尚も疑心暗鬼であった事に変わりなし。されど吉田氏が身につけているマイナスイオン・リングなる腕輪をワイングラスに填めてみるや、確かに味がマイルドになったではないか。同じボトルから同時に注いだ2杯のワインで飲み比べた故、これは間違いなし。
化学が兎に角苦手であった私なれば、イオンと聞いたところで「原子が電子を放出もしくは吸収して陽イオンまたは陰イオンになる」云々程度の理解しかないが、今や何でもイオンの時代なのか、電子イオン水に始まり、電子イオンパン、電子イオン玉子、電子イオン納豆、イオン電子肉、イオン電子分解マルチクリーナー、マイナスイオン消臭剤、電子イオン歯ブラシなるものやら、挙げ句は電子イオンエアコンやら電子イオンドライヤーまで。されど斯様な英字新聞記事の翻訳あれば、ここに抜粋。
『電子機器メーカーら、マイナスイオンを強調』
電子機器好きな日本人は、ヘアドライヤーやエアコン他の電子製品の新たな流行に夢中である。滝や木の下に集まる目に見えない微細な物質、マイナスイオンの力で本当に空気が和らぐ、とは購入者の弁。しかしマイナスイオンの作用機所の実体は未だ不明点多く、また副産物として一定量を越えると人体に危険を及ぼすオゾンを発生させる。マイナスイオンで「森林浴」等と謳っている商品も、その科学的根拠は非常に曖昧である。」
結局は「信じるものは救われる」なる下りか。ならば宗教法人「陰慰恩(イオン)教」なんぞ設立すれば、さぞや儲かるやもしれぬ。電子イオン水やら電子イオン食品やら電子機器やらの製造元とタイアップし、先ずは各メーカーの営業マンが、信者を集めるべく実演販売、後はねずみ講式で販売ネットワークを確立すればよい。生活に密着した品々なれば、主婦層を騙すのはいと易し。全財産を寄付する出家信者に於いては、マイナスイオン作務衣もしくはクルタでも着用させ、マイナスイオン合宿所にでも住まわせ、マイナスイオン牧場やら農場やら工場で働かせればよいか。全身にマイナスイオンを充填させ、人々にマイナスイオンの恩恵を施すなんぞと、慈愛に満ちた満足感と至福感をも味わえる。そして所謂胡散臭いカリスマ教祖が「ハンドパワー」にてマイナスイオンを発せられれば完璧であろうか。
何しろ「目に見えぬ」ものを「売り」にするとは、宗教共々それ程賢い商売はあるまいて。
「オレに吸わせろ!」
どうやら日本でも、喫煙率低下を目論み、タバコ税の大幅値上げを検討しているとか。タバコ税があまりに高く喫煙率が低下したイギリスに倣っての事であろう。イギリスは今や、渋滞を減らす為に一般道路に通行税を課し、市民生活を街中に設置したカメラで監視すると云う愚挙にまで出ている程。高い税率によって市民生活を追い詰める事で、質素倹約させ市民生活を更正させようとは、全くもって封建社会の如し。潤おうは施政側のみなれば、「市民の事を慮ればこそ」なんぞとは詭弁に過ぎぬ事、一目瞭然也。そもそも日本の場合、タバコ税は旧国鉄の負債返済に充てられており、なれど旧国鉄である現JR各社に於いては、新幹線の一部車両を除き全車両禁煙にして、最近では駅構内での禁煙まで実施しておるとは、一体如何なる所存。お前らの「親方日の丸」的体質による莫大なる負債を、わしら愛煙家が返済してやっていると云う恩も忘れ、アホのひとつ憶えの如くアメリカナイズされた馬鹿者共の「嫌煙権」なるホザき言に煽動され、愛煙家を弾圧するとは如何な了見か。
かつての世界最長寿120歳にて逝去された泉重千代さんも愛煙家であった事はあまりに有名。「嫌煙権」が認められるならば、我々の「愛煙権」も認められて然るべき。誰が決めたか国際道徳とやらで「全席禁煙」が常識と化した飛行機にしたところで、ならば「全席喫煙」の便を設ければよかろうに。カリフォルニア州にて始まった「公共の場所での一切禁煙」なる条例は、今やニューヨーク州にも及び、果てはノルウェイも来春より施行するらしい。かつてイギリスのみであったパッケージに「タバコは貴方を殺す!」なんぞと云う独善的キャッチコピーの馬鹿デカいステッカー貼付の義務も、今やヨーロッパ全土に及び、今まで「反アメリカ」であればこそか然程「嫌煙権」なんぞを主張しなかったヨーロッパに於いても、愛煙家には随分住み辛くなりつつあるのか。
そんな中、個人主義と云うよりは利己主義、否、フランス至上主義であるフランス人の喫煙マナーの悪さは、拍手でもって大いに讃えたい処。たとえ禁煙のステッカーが目の前にあろうが、お構いなしにタバコに火をつける。ホテルであろうが他人の家や車であろうが、全くもって無頓着極まりなし。パリのCDG空港のロビーにても、ゴミ箱の蓋は自ずから灰皿と化しており、それを咎める人も皆無である。私の知る限り、手荷物受取所にて喫煙可能であるのはCDG空港と名古屋空港程度であるが、名古屋空港の場合は「喫煙エリア」が設けられておれど、CDG空港の場合は、そこら中で皆が勝手にタバコを吸っている状況であり、これは全く趣の異なるものと云えよう。何しろシガー(葉巻)やパイプタバコ等の臭いのキツいものは勿論、ジタンやゴロワーズ等の「臭い」タバコが存在するお国柄である。タバコの煙ぐらい屁でもなかろう。
まあグダグダ言わんとタバコぐらい気楽に吸わせや、なあ?…と言いつつも、タバコを吸わぬ人がおれば、結構気を遣ってしまう自分はあまりにも日本人か。
「幻惑のハイウェイ」
脇見運転が好きなのか、車の運転中に前方以外のいろんなものに矢鱈と感心を惹かれる事いと多し。何しろ助手席に座る御仁より、余程いろいろなものを見つけては、それを指摘し笑ったり不思議がったり感動したりしている有様。それは時には可笑しな看板であったり、怪し気な通行人であったり、後ろ姿美女(追い越しざまにバックミラーにて御尊顔を拝見するや、大抵失望させられるのがオチではあるが…)であったり、美しい四季の景色であったり、不思議な形状の雲であったり、風情のある建造物であったり、風変わりなオブジェであったり、何やら怪し気な猟奇事件を臭わせる心霊現象であったり、まあ道を走っておれば何かと様々なものが目につく、否、目に飛び込んで来るのである。御蔭で私の動体視力はかなり良いであろうと推察出来る。
そんな中、運転に対してどうにも厄介なものが幾つかある。
先ずは、視線誘導標(デリニエーター)と呼ばれる、高速道路や幹線道路の路肩及び中央分離帯に沿って設置されている円い反射板である。
大抵は黄色で、車が通過する際に生じる風によって三枚の羽根のようなものが回転する仕組みになっている。この羽根にはどうやらブラシが付いており、これで自動的に反射板を掃除するからくりの様子。運転していると、どうにもこの反射板が目につき(視線誘導標と云う名の通り、警告を促す為にも、ある程度目につくように作られているのであろうが)この羽根が回転しているかどうか、もう気になって気になって仕方ないのである。実は結構回転しないものも多く、「回転している、回転している、回転している、回転している、回転していない、回転している、回転している、回転していない、回転していない、回転している、回転している…」斯様な具合で、こうなるとオチオチ前方なんぞ見ておれなくなる。また時折、白い反射板のものやら
径の大きいものやらと云う異なる種類のものもあり、これがまた気になるのである。
トンネルへ入れば、トンネル内の照明が「明るい部分」と「暗い部分」を交互に作り出す為、同心円による半円状のストライプが目に飛び込んで来る。勿論車は走行している故、この半円状ストライプが膨張したり縮小したりするような錯覚を生み出し、それに気を取られ出すと、前方の車が半円の中心あたりに浮かんでいるようにさえ見え、これにより遠近感どころか、自分の車が走行している感覚さえ失なわれてしまう。まるで異次元へ繋がるトンネルの如きで、猛烈にサイケデリックな状態である。特に山陽道の広島~山口辺りのトンネル等の照明が黄色っぽい暗めのトンネルは強烈で、更に出口が見えないような長い場合や、出口へ向かって下りになっている場合等は、危険度がかなり高いと云える。
そして雨天の場合もまた然り、当然ワイパーを稼動させる訳であるが、大抵の乗用車には2本のワイパーが装着されており、これがまた猛烈に私の注意を惹くのである。ワイパーが(座席側から見て)左下から右上に稼動する場合、右のワイパーが綺麗に水滴を拭い去った場所に左のワイパーが被さる為、折角右のワイパーが綺麗にした箇所を左のワイパーが汚しているように感ずるのである。そして左ワイパーの御蔭で生じた雫の流れを、再び右ワイパーが綺麗に拭い去る、どう考えても右ワイパーの方が仕事熱心であるように思えて仕方なし。これが気になり出すや、思わずワイパーを凝視してしまい、前方への注意は疎かになってしまう。かつてこれを嫌い「油膜ワイパー」なる逸品を試した処、「水滴Aと水滴B、どちらが先にフロントガラスから消え去るか?」「水滴Aと水滴Bは合体するのか?」なんぞと、今度は流れて行く水滴の行方がどうにも気になり、普通のワイパー以上に危険であった。
日頃から安全運転を心掛けようにも、斯くも多くの障壁あれば、全く車の運転とは大層疲れるものなのであることよ。
「帰って来た串太郎」
近所に「串太郎」なる串焼き居酒屋があった。この界隈は中小企業が犇めいている為、夕方過ぎれば背広姿のサラリーマンで大層な賑わいなれば、夏期に於いては表の歩道にさえテーブル席を設け、心地よい夜風ならぬ(「空港線」国道41号沿いにある故)車の排気ガスに晒されつつビールを煽る姿を見掛けたものである。
かつては東君と時折暖簾をくぐったものであったが、それは偏えに女給(ウエイトレス)がなかなかの美形揃いにして、一見さんであれ、矢鱈と馴れ馴れしく話し掛けて来るどころか、隣に座って酌をしてくれるは、手が空いておれば同席していろいろ話し込んで来るは、まるでスナックの如き雰囲気からであったからか。勿論メニューはそこいらの居酒屋同様の値段設定にして問題なく、日本酒もかなりの種類を取り揃えており、これを「じゃあちょっと飲んでみる?」と試飲させてくれるのだが、これこそ彼女等の見事なお手並みにして、我々は次々と日本酒各種をオーダーしては、結局かなりの金額を払わされる顛末となる。中でも、かつて我々が「番長1号」「番長2号」と名付けていた女給2人は、とりわけ各々タイプの異なるかなりの美女にして、何しろ遂には店内に彼女等の自家製ポスターが貼られていた程。
しかし昨年であったか今年であったかのある日、店舗改装に併せて「雁鉄」と店名変更されたのである。(名前の由来は「雁道商店街にある鉄板焼屋」の略。)されど厨房の大将も同じなら、(既に「番長1号」「番長2号」は居なくなっていたが)女給の顔触れも同じにして、まあ云うなれば串焼き屋から鉄板焼屋へ鞍替えしたと云った処。
さてこの度ツアーから帰って来てみれば、今度は「雁鉄」の看板が見当たらぬ。店の前まで行ってみれば、そこには真新しい看板「帰って来た串太郎」が燦然と輝いているではないか。
「帰って来た」って、そんなウルトラマンやあるまいし…。矢張りスタッフ一同は同じ顔触れ、聞く処では「鉄板焼屋は失敗だったから、また串焼き屋に戻った」とか。何とも安易ではあるが、そこで敢えて「帰って来た」を付けたのが何とも粋ではないか。結局その晩2件目であったにも関わらず、東君とウ-ロンハイ10杯+アテ少々で6000円也。1件目の居酒屋にて焼酎のボトル1本空にしても4000円であった故、何やらボラれたような気さえするが、まあ何はともあれ「Welcome back to Kushitaro!」
「政治家」
と云った処でクリームの代表曲にあらず。偶然にも、高校時代のバンド仲間が、何と民主党員として政治家の道を辿っている事を知り驚愕。3年前に行われた前回の衆議院選挙に一般公募候補として出馬、次点で惜しくも涙を飲んだそうだが、その後も代議士の政策担当秘書を務めるやらイギリスへ留学する等、着実に政治家への道を進んでおられる様子。私は古くからの友人とはすっかり縁遠くなっている故、彼等の消息を知る筈もなければ然して興味もなかったが、斯様に我が道を邁進しておられる御仁もおられると云う事で、改めて自分の人生がまあ何と享楽的且つ自堕落かと云う事を自覚。
しかし高校時代に共にバカやってた人間が、日本の未来を担うなんぞ到底想像も出来ぬし、何となく信用し難し。されど勿論彼は、その後某国立大学にて学び、某銀行にて支店長代理まで務めた「エリート」なれば、私の如き「社会的落伍者」とは全く異なる人間なれど、私が存じ上げる彼の人物像とは、今だに「アホな泉州ロッカー」でしかない。まあ元WWFの悪役レスラーであったジェシー・ベンチュラも第38代ミネソタ州知事であったし、ハリー・キャラハン刑事としてマグナムを撃ちまくっていたクリント・イーストウッドもカリフォルニア州カーメル市長であったし、何しろ今やターミネーターがカリフォルニア州知事である御時世、日本もアイドル議員やらタレント議員やらの阿呆議員が絶賛増殖中にして、アントニオ猪木を皮切りにグレート・サスケや馳浩が議員になる時代であったか。大阪府知事はセクハラで失脚したノックから、次はいよいよエモヤンかもしれぬ。そう考えれば、まだこの友人は真面目に政治に取り組んでいるのであるから信頼出来るのかもしれぬ。何しろロックミュージシャンとして売れた訳でもない故、上記のような有名税で当選と云う輩共とは全く異なるか。
かつて「政治家と医者とヤクザの友人がいれば恐いものなし」と云うフレーズありき。多分自分の人生に於いて知り合った人間全てを辿れば、この3職種の知人も揃う事は間違いなかろうが、今や社会的落伍者である私には何も関係もなし。その民主党党員の友人が戦っている相手は自民党なれど、私にとっては自民党も民主党も同じであり、自分が社会的弱者なればこそ、今や彼さえ敵側なのである。せめて彼がその政治的手腕を充分に発揮出来る時が来たならば、出来れば是非とも「永田町のロッカー」として、反骨気鋭なる精神でもって邁進して頂きたいもの。
政治とは本来最高に面白いゲームであると思うが、今や観客不在なれど慢心に陥った、まるで迷走を続ける日本のプロレス界の如きで、政界再編なんぞとセコい事この上なし。矢張り必要なのは「維新軍」か「革命」か。否、それよりもWWE社長ビンス・マクマホンの如き天才的な仕掛人であろうか。全政党結託して「狂言軍事クーデター」「狂言背任失脚劇」「狂言造反派閥戦争」なんぞ派手に仕掛ければ、さぞや面白かろうに。「痛みなくして改革なし」と小泉が叫んだ処で、「リストラあって改革なし」と皮肉られる昨今、結局アイドル的カリスマ性のみではどうにもならん事を立証したようなもので、ならばせめて痛みと引き換えに何かで笑かしてみろや。物事は激流の如く不安定な方が、関心が自ずから高くなるもので、「若者の政治無関心」を嘆く前に、お前らが「風雲急を告げる」まるで幕末の如く、時代に警鐘を鳴らしてみい!そもそも選挙に(当選ラインを見込んで)立候補するには、既成政党の力が不可欠だなんぞ、それこそ政治無関心を育む温床ではないのか。
高い給料もろて、他にも役得ぎょうさんあるんやろうから、せめて主権者たる国民をもっと喜ばせてみろや!
(2003/12/03)