『人声天語』 第128回「実録・南イタリア残酷美食地獄地帯(前編)」

昨年の6週間に渡りしAcid Mothers Temple & The Cosmic Infernoの欧州ツアー後、引き続きソロツアーにて更に4週間イタリアとフランスに滞在せし折、私の食に関する望郷の念はいよいよピークに達するどころか、遂には明けても暮れても日がな懐かしき日本食のあれこれが脳裏を駆け巡りて魘される始末にして、その日本食禁断症状たるや到底想像を絶する地獄の沙汰なりし。特にイタリアにては、何しろイタリア料理を心から愛し誇りを持つ御国柄なれば、人々の食生活は日がな自国の料理で全て賄われておられ、故に他国の料理に対する興味も至って薄ければ、日本食材やら日本食レストランなんぞ、他のヨーロッパ諸国に比べ圧倒的に少なく探すも困難にして、挙げ句はイタリア料理の何を出されようが、食欲一切湧かぬどころか、一種の拒食症の如き状態にまで追いつめられし有様なり。されど某朝、目覚めてみれば何とも妙な程の爽快感さえ抱いており、体内で何か大きな変革が起こりし事を実感せり。気が付けば、前日まであれ程苦悶せし日本食禁断症状からも解放されておれば、この日を境にイタリア料理を口にする事もまるで抵抗なく、遂に体がヨーロッパの風土に順応せんと変化せしものなるか。御蔭でこれよりは日本食への望郷の念も然して湧かず、故に帰国せし折でさえ、通常なら日本食を貪り食うのが常なれど、斯様な日本食に対する飢餓感もなし。昨秋の4週間に渡りしアメリカ・ツアー中でさえも、本来ならば自炊してはなるべく日本食を食らわんとするが常なれど、ハンバーガー、フライドチキン、ホットドッグ、ビーフステーキ等をひたすら飽きるまで食い続け、続いて間髪入れず行われし3週間に渡るJapanese New Music Festival European Tourに於いても、時折アジア料理レストラン等訪れてはおれど、矢張り日本食に対する異常な程の望郷の念は湧かず終いにて、いよいよ長期の海外ツアーに耐え得る体質に変革せしと確信するに到れり。
さて斯様な心持ちなればこそ、この度の僅か10日間にしか過ぎぬ南イタリア・ソロツアーなんぞ何ら苦難もないであろうと、そもそも昨年2月に行いしイタリア・ソロツアーに於いても、食材やら調味料の類いを然程持参せずとも何とか乗り切れた自負さえもあれば、日本から食材どころか調味料さえも一切持参せず。唯一気をつけねばならぬは、その昨年2月のツアーにて、我が消化器系に引導を渡せしSalernoの一件の如き(人声天語第118回「不味いんぼ in Europe」参照)オリーブオイル漬けとも呼べる超へヴィーなイタリア料理の食い過ぎによる自滅轟沈のみか。欲目は禁物、兎に角体調管理には気をつけたいものと思い、適量を食する事を心掛けんとす。
関空よりAlitalia航空のMilano行きにて飛び立てば、12時間の退屈なフライトを如何に過ごすか。何故か斯様なオフシーズンにも関わらず機内は満席、これではエコノミークラス症候群(旅行血栓症)にもなろうかと云うものか。新聞3紙と雑誌2誌を読破後、例によってパーソナルテレビにてオセロに興ずれど、今回も25戦全勝とコンピュータの不甲斐なさに失望、取り立てて観たい映画もなければ「電車男」なんぞ観賞し、機内食のうな丼もどきを食らいても、どうせ10日もすれば戻って来るのであるからと、格別なる日本食への惜別感もなく、そうこうしておればMirano Malpensa空港へ到着。乗り継ぎに3時間もある故、ならば喫煙せんと館内全面禁煙の空港の外へ、些か空腹なれば、早速ハンバーガーの洗礼にでも逢わんとBurger Kingへ。どう考えてもヨーロッパの不味いサンドウィッチよりはマシであろう。未だヨーロッパ人が何をもってあの味のないサンドウィッチを好むのか、大いに理解に苦しむところ。せめて野菜はもっと挟みましょう、せめてマスタードなりマヨネーズなり何なりで味は整えましょう。斯くも思えば日本のサンドウィッチやら総菜パンは、何と美味なる事か。そもそも日本に焼きそばパンがあるにも関わらず、何故イタリアにスパゲッティーパンが存在せぬのか。これも一重に日本人の飽くなき美食への探究心故か。

さて無事Romaに到着すれば、以前も世話になりしLuca宅に滞在。翌日に予定されしRoma公演の有無は、結局未だに判明せぬと云う、如何にもイタリアらしいオチ。当日朝にオルガナイザーDavideよりキャンセルとの報を受けるや、ならばLucaの案内にて彼お薦めのカタコンベ観光へ。観光地なればこそ、イタリアでは御馴染み移動式売店のバンも必ず見受けられ、ハンバーガーやサンドウィッチからアイスクリームやスナック菓子、ジュースやビールまで売られておれば、何しろファーストフード店同様の格安セットまで存在する。

夜はレストランにてシェフお薦めの逸品なる海老とトマトのスパゲッティーを食らえば、お味の方はまあまあ、イタリア風焼うどんと云った処。もう少し出汁でも効いておれば、さぞや美味かろうにと思えども、イタリア人にそこまで求めるは酷と云うものか。

せめて到着翌日にはライヴがないと、緊張感が途切れる故か、案の定見事時差ぼけと相成り、バーにて飲み明かすうちに猛烈なる睡魔に襲われし。

Romaより遥か南下しReggio Calabriaへと向かう。列車にて7時間の旅。車内は大いに混み合っておれば、時差ぼけ故に眠いばかりの私には、何とも過酷なる状況なれど、まだ椅子に座れているだけでも有り難いと思わねばならぬか。Roma Termina駅にて食らいしpizzetta(ピザパンの如き代物)の激不味ぶりに、思わず長旅の車内で食らわんとする食糧さえ購入し忘れ、勿論車内販売等あれどパニーニなんぞ欲する筈もなく、御蔭で空腹と睡魔に苦しみながらの旅となりし。車内満員御礼なれば、本来快適である筈のコンパートメントも窮屈至極、次第に尻やら腰やら足やら痛み始め、不快な事この上なし。
漸くReggio Calabriaへと到着すれば、迎えの車にて早速会場Csoa Cartellaへ、されど殆ど誰も英語を解さずコミュニケーション・ブレイクダウン。今朝Rima Termina駅にて食らいしpizzetta以来何も食ろうておらねば、先ずは空腹なる事伝えんと、運良く知りたるイタリア語「fame(空腹)」の一語のみ連呼、何でこんな事で苦労せなあかんねん。早速プロモーターの1人がピザを買って来てくれれば、この際背に腹は代えられぬと貪り食えど、3ピースも食いし処で単調な味に飽きギブアップ。幾分空腹感も収まれば、今度は女性スタッフによるトマトソース・スパゲッティーも登場、例によって何とも薄っぺらい味なれど、「食える時に食うておけ」とは、ツアーに於ける幾多の危機的飢餓状況より学びし一節なれば、これも有り難く頂戴せん。
待てど暮らせどアンプが到着する様子なき故、片言のイタリア語で「アンプは何処?」と尋ねれば、何とここのローカル・プロモーターは、私がアコースティック・ギターにてソロ演奏すると誤解しておる始末。アホか、何処にアコギ持って来てんねや。流石に南イタリアの果てのド田舎、当然AMTも私の事も誰も存じぬであろうが、一体何を以てオルガナイズしているのやら。そもそも客来るんかいな?アンプは早速手配すると云うが、これも果たして今夜中に届くのか。これは先行き大いに不安なり。
時差ぼけなのか突如猛烈な睡魔に襲われ、開演10時と伺っておれば未だ1時間半程ある故、ならばここは楽屋にて仮眠。ふと目覚めれば既に11時過ぎ、誰も起こしに来なければ、一体どないなってんねん?どうやらアンプは到着せし様子なれど、既に大入り満員となりし会場内では前座の即興演劇が行われており、そもそも斯様な話も伺っておらねば大いに困惑。一体何時に始めればいいのかと尋ねれば、いつでもいいとの返事、されどこの即興演劇、一体いつ終わるねん?プロモーターがステージに向かい終演を促せども、それさえ全く気にせぬ様子にして、結局彼等が終演せしは何とそれから1時間後。深夜漸く私の出番となれば、プロモーターが南イタリア訛のイタリア語にて私の事を紹介、「マゴ~ド・ガワバ~ダ!」イタリア語もド田舎の訛は、発音が濁音になるんかいな!
ステージに巨大モニターが設置されており、演奏開始と同時にイカれた視覚効果ビデオが流されておれば、ならば私もと、強靭に聴覚麻痺にさえ陥れかねん周波数のみを爆音ドローンにて発射、1時間のステージを終えれば、多くの客から「inferno(地獄)!!」と叫ばれ、されど何故か怒濤のアンコール。こいつらホンマのアホやな。アンコールにも応えれば、終演後、多くの客が片言にも及ばぬ南イタリア訛の英語擬きで何やら話し掛けて来るが、半分以上理解不能。「CD」と云う語を聞き取れれば、CD各種を物販テーブルに展示、皆大いに興味示せども結局殆ど売れず。これも貧しい南イタリアのド田舎らしい典型的風景か。早々に見切りをつけ、唯一英語を解するプロモーターを急かしホテルへ案内して頂く。

翌朝、ホテルの朝飯はコーヒー+牛乳+ビスケット、所謂典型的なイタリアの朝飯なり。イタリア人はアホ程食うが、朝飯は至って質素と云うより、殆どコーヒー+ビスケットと云う全く以ておちょくってるとも思える食事なり。イギリス人やアメリカ人が朝からコーヒー+パン+玉子+ベーコンやらソーセージなんぞ食らうを大いに嘲笑しておれど、朝から御飯+味噌汁+焼き魚+漬物+玉子等と食らう我等日本人からすれば、お前らの方がおかしいねん。1日のエネルギー補給、それをその日のうちに合理的に消費し切る、斯様な観点からも朝飯をしっかり食らい、夜は軽めと云うのが良かろうと思えばこそ、昼からワインを飲みつつパスタや肉料理やら散々食らい、夜は夜で再び大いに食らい大いに飲むイタリア人の食生活こそ、不健康な事この上なし。故にヨーロッパに於いてデブが最も多き国なのであろう。
夜行列車にてBariへ移動の予定なれば、のんびり昼過ぎにホテルをチェックアウト、迎えに来てくれし昨夜のプロモーター(名前失念)の案内にて、彼の知り合いが経営するシーフード・レストラン「I Tre Farfalli(3匹の蝶々の意 ※されどfarfallaの複数形はfarfalleになる筈で、何故farfalliなのかは不明)」へと向かう。これが地獄への入口となるとも知らず、単純に魚介類が食えると大はしゃぎの私であった。
このレストランは、客がメニューを眺めオーダーするシステムにあらず、シェフが次々と料理を出して来る故、満腹となればストップを掛けると云う、日本で云う処の串揚げ屋のおまかせコースと同じシステムなり。ウエイターの話では全10皿が予定されているとかで、ここは日本男児の威信に賭けても何とか全皿制覇と行きたい処か。
海鮮料理ならば白ワインとは判っておれど、赤ワイン好きの私なれば、このレストラン自家製赤ワインのボトルをオーダー、いざ1皿目に挑まん。1皿目たるオリーブオイルがたっぷり掛けられし太刀魚のカルパッチョを軽く平らげ、2皿目の鰹のオリーブオイルソテーへ。鰹の味に郷愁誘われれど、オリーブオイルの諄さに早くも閉口。3皿目は鮪と茄子とピーマンとトマトの炒め煮、これにもオリーブオイルがふんだんに使われており、すでにオリーブオイルの風味には辟易。4皿目は鰻の稚魚のかき揚げの如き代物、味はまるではんぺんなれど、折角の鰻の稚魚ならば是非とも酢の物にして頂きたい処。5皿目と6皿目はムール貝と蛤のオーブン焼き、貝の身の部分にパン粉と野菜等が盛られており、各1個ずつ食するや、その油っぽさ半端にあらず、思わず箸も止まれば、プロモーターの彼はこの代物が大好物らしく、流石はイタリア人、ならばと彼に進呈す。7皿目のこの辺りからいよいよ佳境か、リゾットを鮪で包み焼きにせし代物、このリゾットが米粒デカ過ぎにて何とも薄気味悪く、またオリーブオイルがこれでもかとふんだんに施されておれば、ここで遂に我が胃が悲鳴を上げしを実感せり。8皿目はここReggio Calabria近海でしか獲れぬと云う魚のオリーブオイルソテー、鯵に似た味わいなれども、オリーブオイルの風味が魚本来の風味を台無しにしており、お前ら魚の食い方知らんのか!と思わず説教のひとつも垂れたくなる始末。9皿目にして漸くここでサラダ、当然の如く味付けはワインビネガー+オリーブオイル+塩胡椒、されどやっと野菜にありつければ我が胃も安堵、皿の端にてオリーブオイルを絞りながら食らう。そして最後の10皿目は鮪とトマトとオリーブのスパゲッティー、嗚呼、遂に10皿目まで到達せり。食後のコーヒーを飲み、所謂「ammazza caffe(コーヒー殺し)」と呼ばれる食後酒としてlimoncello(リモンチェッロ:イタリアの食後酒、アルコール度数30度以上のレモン・リキュール)を呷り、これにて御馳走様。ふと周りを見渡せば、皆談笑しつつ軽々皿を平らげている様子にして、隣のテーブルなんぞ、かれこれ齢70歳以上と思われる老婆が2人、我々と同じ品々を貪り食ろうておられるではないか。恐るべしはイタリア人、これも大ローマ帝国の栄華の名残か。

大いに満腹と云うよりも、既に限界点さえ越えておれば、取り敢えずは付近を散策せんとす。されど既に胃袋から喉元まで先程食らいし魚介類が目一杯詰まっておるような気さえしておれば、歩く事さえ侭ならぬ程、イタリア人は毎日斯様に鱈腹食らいて、よくも平気でいられるものか。既に全身の血液が胃に集中しておれば、意識さえも朧げとなり、結局バーにて小休止とす。再びlimoncelloを呷りつつ、道を行き交う人々を眺むれば、何でも今週はカーニバルだとかで、天使や妖精やお姫様やら四銃士やらにコスプレさせられし子供達が道に溢れる。結局バー数軒を梯子しておれば、次第に猛烈に気分が悪くなり悪寒が走り、ふと気付けば発熱している有様。最後に訪れしバーにては、既に椅子に座っているだけでも往生する程にして、されど乗車予定の夜行列車は深夜発なれば、未だ残す処3時間以上もあり、結局迷惑一切顧みず、このバーにてカプチーノを啜りて2時間仮眠させて頂く。発車1時間前に駅へ戻らんとすれば突如雷雨となり、ずぶ濡れになりつつ駅へと辿り着けども、いよいよ熱は高くなりしか、意識も朦朧となれば、兎に角早く乗車し眠りたいばかり。
漸く列車が到着、乗客疎らなればコンパートメントを占拠し即寝成仏。ヒーターが効き過ぎにて暑い事この上なし。何はともあれ無事にBari行き夜行列車に乗車し得れば、これにてこの地獄の1日も漸く終了。

結局1時間遅れの午前8時過ぎにBari Centrale駅に到着、今回のツアー・オルガナイザーDavideが迎えに来てくれており、車にて彼の自宅へ。昨夜あれ程苦しめられし高熱も、列車内のヒーターのあまりの暑さに大いに発汗せし故か、どうやら平熱に戻りし様子。されど未だ昨日のあの昼飯が消化し切っておらぬのか、空腹感は全く湧かず食欲も皆無なり。
昼過ぎともなれば、Davideがキッチンにて昼飯の準備に取り掛かっている様子にして、仕事に行っておりしルームメイト達も次々と帰宅、さてどうやら皆で昼飯と相成る様子なれど、相変わらず空腹感なんぞどころか私の食欲は皆無にして、さてどうしたものやら。Davideが用意せし昼飯は、トマトソースのスパゲッティーと茄子等の野菜のトマトソース煮の2品、それに加えハムやらチーズやら、典型的イタリアの食卓なれど、1品目のスパゲッティーを食らいし時点で我が胃は悲鳴を上げておれど、折角の好意には応えねばと、2品目の野菜のトマトソース煮を食らえば、我が胃は完全に引導を渡されしか、一気に気分悪くなり、どうやら再び発熱して来れば、食後はベッドに横になるしか為す術なし。更に猛烈な下痢状態も引き起こせば、A Silent Placeなるレーベルの主宰者PierpaoloとPasqualeが訪ねて来れど、既に起きるどころか話す事さえ困難な程に苦悶しており、申し訳ないがお引き取り願う。全ては昨日の昼飯に起因すると推察し得れば、ツアー前にあれ程「食い過ぎによる自滅轟沈」を留意せしにも関わらず、結局再び同じ過ちにて轟沈せし自分の浅ましさを呪うのみ。今宵はライヴもなけれど、明日より連日ライヴがある故、何としてでも今日中に治癒せねばならぬ。

一昼夜温かにして安静にせし御蔭か、何とか熱は下がりし様子。酷い下痢を患いし場合、私は1~2日間断食する事で自己治癒するを常としておれば、昨日の昼飯以降、全くの飲まず食わず、されど発熱しておれば大いに発汗せし故、体内の水分が完全に欠乏し脱水症状を引き起こせしを実感。ならばと僅かに水分補給を行えば、その5分後には矢張りトイレに駆け込まねばならぬ状況にして、迂闊に水分補給さえ侭ならぬ有様なれど、Davideよりこの界隈にレコード屋が5軒あると伺い知るや、悠長に床に臥せっている場合ではないと起き上がり、彼に地図を描いて貰うや、いざレコード屋へ出陣なり。私も一廉のvinyl junkyと謳われておれば、如何に体調優れずとも、一旦レコードを漁り始めるや、脳汁大いに分泌され恍惚状態となりし。されど僅か2軒を巡りしのみにて矢張り大いに疲労困憊、それもこれも脱水症状とプチ断食によるスタミナ不足か、既に先程まで迸りし脳汁も遂には枯渇せし様子なれば、結局3軒を残しDavide宅へ口惜しくも退却。そもそも今宵は此処Bariにてライヴ故、夜までには何としても体調を整えんと日がなベッドにて眠るのみ。
午後9時にDavideに連れられ会場へ。「What do you want to drink?」日本を除く世界中何処のライヴ会場へ赴けば真っ先に尋ねられるこの一節が、今宵程恨めしい夜はなし。されど脱水症状が、かなり危機的レベルにまで及ぼうとせしを実感しておれば、ビタミン摂取も兼ねてトマトジュースを所望、されどアメリカ以外の国でトマトジュースを見受ける事稀なれば、このトマト王国イタリアに於いてでさえ、矢張りお目に掛かる事滅多になく、結局バーテン特製のパイナップルジュースを頂戴するに相成りし。久々の水分補給を済ませれば、矢張り5分後にはトイレに駆け込む始末にして、結局今朝より何も治癒されておらぬと云うのが実状か。勿論ディナーも遠慮させて頂き、酒を呷る事も出来ねば、何とも手持ち無沙汰この上なし。
開演時間の午後11時ともなれば、既に250人以上もの大入りとなれど、果たしてReggio Calabria同様物見遊山の客ばかりではと思えばこそ、今宵も何か自分にとって新たな試みせんと思う処。結果、新たな何かを見い出せし手応えもあり、自分としてはかなり納得の行く内容にして、観客の反応も頗る素晴らしく、何しろほぼ無音に近い演奏から始めるや、騒がしかった会場内が突如水を打ったような静寂になるなんぞ、会場内でお喋りに耽りがちなヨーロッパの観客の気質から考えれば稀事なるか。
終演後、昨夜と異なり物販も飛ぶように売れれば、ソロ作品やAMT関連作品等膨大な量のCDやLPを持参してはサインを求める輩等も多く、此処Bariに於いてはReggio Calabriaと異なりAMTの認知度いと高し。
演奏後の心地良き疲れもありて、何とも気分良く、思わず赤ワインなんぞを飲み始めれば、突如猛烈な不快感に襲われ話す事さえ叶わず、結局グラス1杯を飲み干さぬ前にDavide宅へと車で連れて帰ってもらう始末。Davide宅に戻るやトイレに駆け込みし有様、イタリアに於ける下痢止め特効薬たるレモンの煮汁を飲まされるや即寝成仏。果たして明朝には見事に回復するや否や。明日からは再び移動を繰り返す故、何とか1日も早く完治させておきたい処なり。

(2006 / 3 / 2)

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