『人声天語』 第140回「男は黙って噛み締めろ…ふたたび!(AMT & TCI 英吉利&愛蘭ツアー 2008)」其之弐

8月2日(土) 
午前8時半起床。シャワー後、兄ぃが携行する例の携帯用電熱器調理セットを借り受けラーメンでも作らんと、東君達の部屋へ。今回のキラーメニューなる麺つゆラーメン+青葱にて朝飯とす。Wi-fiに加入しておらねば、無料無線LANなる野良電波も発見出来ずネット接続は不可故、東君が持参せり週刊アサヒ芸能を読み耽るのみ。
正午、ホテルを出発し一路Standonへ。道中のチェーンレストランLittle Chefにて昼食。流石にあのイグリッシュブレックファースト如きに大枚を叩く気には到底なれず、オーダーせしはクリスピーチキンバーガー£5.99+コーヒー£1.79の計£7.78(1594円)也。迂闊にもアメリカのクリスピーチキンサンドを想像しておれば「これの何処がクリスピーやねんな!」と、憤らずにはおられぬしっとりとせし揚がり具合、更にパンさえもしっとりしておれば、嗚呼、何をか云わんや、ここは激不味料理天国大英帝国なりしか。対激不味料理必殺アイテムたるハバネロソースをぶっ掛け完食せり。

「ガツッと食いたいよ」と零されし大食漢の兄ぃは、大凡こちらのトラック運転手や肉体労働者御用達と思しき、その名も「The Works」なるオニオンリング付き特大ダブルバーガー£7.99(1637円)を平らげておられれど、同じく「ガツッと食いたい」と訴えし東君はイングリッシュブレックファースト£7.99(1637円)に挑戦、見事完食こそすれどその量とヘビーさの前に悶絶せり。 
午後4時頃、今宵の会場Hertfordshireなる大草原に到着。今宵は「Standon Calling Festival」なるフェスティバルに出演なれど、見渡す限り余りにも奇異な客の姿に唖然。何しろ怪し気なるコスプレに身を包みしスタッフ達にも驚かされれど、観客に至ってはまるで新手の気違い新興宗教の集会かと見紛う程。何でも毎年フェスティバルが掲げるテーマの下、コスプレ等を行う様子にして、今年のテーマは何と「Japan」なり。聞く処によると、在英日本人に対し、着物や浴衣にて来場し雰囲気を盛り上げんとするボランティアを募集せしとかで、特に浴衣を纏いし日本女性の姿多く、またコスプレにて来場せし一般客は入場無料とか、更に怪し気なサテン地の着物等の貸出しや、ドーラン塗りたくりのメイクアップサービス・コーナーも設営されており、いやはや会場内は奇妙奇天烈なるコスプレーヤーが闊歩しておればこそ、まさしく下手物博覧会の如し。

一見怪し過ぎるGeishaやらNinjaやらSamuraiさえ基本中の基本、肉襦袢によるSumo Wrestlerや入れ墨シャツによるYakuzaなんぞも定番、普通にネクタイ姿のJapanese Businessman、制服に身を包むSchool Girl、海外に於ける日本漫画の代表格Dragon Ball、日本と云えばゲームと云う事でMario Brothers等、最近の日本文化に基づくものも今や新たなる定番なれど、想像を絶するレベルともなれば、Kamikazeなる段ボール戦闘機、腰に「Rump Steak £100」の値札をぶら下げしKobe Beef(されどホルスタインのコスプレ)なる牛コスプレ軍団、「わさびグリーン豆」を手にするWasabi Green Mame Man、極め付けは「こんにちは!私のきれいなボインボインをどうぞ触ってください!やわらかいよ!」「どこかに行って楽しみましょうか!」「今夜わたしのテントに遊びにきてください!一緒に楽しみましょう!」等の日本語にて書かれしプラカードをぶら下げた所謂援交(?)のコスプレか。






また日本と中国との混同は、日本人がイングランドとスコットランドの相違に理解なきと同様にして、ヌンチャクを携えしカンフーマスターやチャイニーズドレスにて着飾る女性なんぞは序の口、パンダ軍団まで登場すれば,思わず「日本に野生パンダはおらへん!」

斯様な中、我々的には「AMTのモテ男ランキング No.1」東洋之のコスプレーヤーの登場にバカウケ、東君本人との御対面も果たされれば、東洋之自らツーショット記念撮影を依頼する程。されどその東洋之、その風貌と独特のファッションセンスが、幸か不幸かイギリス人達からみればコスプレと勘違いされ、記念撮影の依頼が殺到する始末。今宵は日本からMelt Bananaも出演なれば、現在Melt Bananaのドラマーにして嘗てAMT & TMP U.F.O.のツアードラマーを務めし夘木英治君と遭遇、その様子を眺め爆笑せし彼曰く「ハッハッハッ!東さんはコスプレのテンプレート既に出来上がってますからねぇ!」

昨夜も会場に居合わせしと云う彼に「ところでこれって一体何のフェスティバル?」「音楽のフェスと云うよりもコスプレフェス?」「何かアホな学芸会って云う雰囲気やけど、一体これは何なん?」等と、我々は先程より抱きし数々の疑問を投げ掛け捲る始末。どこぞの空手家達に依る演舞も披露されておれど、余りに冗長なれば次第に客も疎らに、されど一見して弟子若しくは一門と見受けられる一団からは、暑苦しくも空しき掛け声なんぞが響き渡る。会場の隅では「Human Bowling」なる生身の人間がボーリングの球となるゲームが開催されており、気付けばこちらの方に人集りが移動せし有様。
そもそも今宵はフェスティバル出演なればこそ、今宵の物販に関し爆発的売り上げを大いに期待しておれども、斯くなる現状を眺むる今、フェスティバルの花たる物販ブースさえ見受けられぬ次第、主催者に訊ねれば「ライヴ後にステージ横にて出演終了バンドが順次設営、販売時間は次のバンドが演奏開始するまで」なんじゃそりゃ!ワシら物販の為に演奏しに来てんねんど!まあ云うなれば「実演販売」や!物販出来ひんねやったら、こんなド田舎くんだりまでわざわざ来た意味あれへんやんけ!斯くなる逆境にも関わらず、みつる社長&東部長は、何処ぞより段ボールを調達、早速AMT Shopzoneの露店を設営、いざ販売開始すれどコスプレ目当ての一般客はほぼ無関心、社長大いに傷心せり。 
我々が出演するテントステージこと「Shogun Stege」の様子を伺えば、ステージ後方に「音楽魂」なる文字が書かれし横断幕が飾られ「俺らに一体何を期待してんねやろか?」挙げ句は多数のDJが出演するダンスホール「Love Hotel Stage」なるものまで在り。露店をいろいろ眺むれば、何とたこ焼き屋を発見、8個£4.00(820円)とは即ち1個£0.50(103円)と、まあ何と高額なたこ焼きか。されど関西人の性か、たこ焼きの文字を見れば最早「辛抱ならん」と食わぬ訳にはいかぬ程、たこ焼きが無性に食いたくなり捕食。タコの小ささに絶句しつつも、取り敢えず海外ならばこれも仕方あるまいと納得せざるを得じ。

斯様に滑稽なる希代の珍フェスティバルなれば、絶好のビデオ撮影のロケーションと、俄か素人映像作家魂に火が灯され、瞬時にシナリオさえ脳内にて書き上げし程なれど、何たる不幸か、いきなりビデオカメラ故障にして、これにて今後一切の記録媒体喪失。ドキュメンタリーの撮影とは一期一会、斯くなる好機を逃すとは映像作家失格、映像作家への道、未だ気遠かりけり。
さて晩飯は、フェスティバルの賄いらしく炊き出し方式にしてクスクス+煮込み料理(ベジタリアン用野菜煮込みかラムの煮込みからひとつを選択)なれど、「クスクスは鳥の餌」故に到底食し得ぬ私はクスクスを完全拒否、その代わりにベジタリアン用野菜煮込みとラムの煮込み両方+サラダを頂く。まあ食えぬ程ではあらざれど、決して美味きものにあらず。フェスティバルの食事とは、先ず以て未だ嘗て美味かりし試しなく、これまた当然至極にして納得せざるを得ぬか。
午後8時半よりステージ裏のバックステージへ機材搬入。午後10時半頃に漸く出番となれば、お祭り娘ピカチュウはこのアホなフェスティバルの空気に絆され大爆裂、謎の祈祷なんぞも繰り広げれば大いに盛り上がり無事終了。されどそもそも物販ブースさえ存在せぬ斯様なコスプレフェスなれば、社長の熱き想いも空しく物販は轟沈、社長は失意のどん底へ。
午前1時過ぎにホテルへチェックイン、傍らにて大英帝国産の激不味カップヌードルPOTを啜るBenを尻目に、午前2時前に就寝。

 

 

8月3日(日) 
午前7時半起床。シャワー後、兄ぃが携行する例の携帯用電熱器調理セットを借り受けラーメンでも作らんと、喫煙組の部屋へ。先日スーツケースを整理しておれば、ちりめん山椒ふりかけ数袋を発掘、ならばと今朝はラーメン2袋の麺のみを茹で、そこへトンカツソース+生姜+青葱+ちりめん山椒ふりかけを合わせ、ちりめん焼きそばなるを試作。生姜の風味が素晴らしければ、なかなか美味なり。

午前11時半、ホテルを出発し一路ウェールズのCardiffへ。道中、SA内のスーパーマーケットMarks & Spencerにて昼飯等を購入。茹で海老£2.30(472円)クールミントガム£0.51(105円)茹で玉子入りサラダ2個は1個£1.69(346円)なれど2個目は5割引の£0.84(172円)の計£5.34(1095円)也。

車内にて昼飯として茹で玉子入りサラダ+茹で海老を食す。付属のマヨネーズを使わずポン酢を使用すれば、大いに美味なり。本場フランスのマヨネーズと日本のマヨネーズの味が大いに異なるとは、嘗て幾度かこの人声天語にても言及しておれば、結論として日本のマヨネーズの美味さは圧倒的なれど、故に本場のマヨネーズは只々諄いのみにして然して味もなく、まるで味の無いバタークリームにラードを練り込みしが如し、欧州の若者が「太るから」と忌み嫌うも納得し得る処。 
午後4時前、今宵の会場Clwb Ifor Bachに到着。何と会場は3階にしてエレベータ無しなれば、超重量級機材を階段にて搬入。通り掛かりのコスプレ黒人男性が突然手伝ってくれれば、我々一同大いに感謝、王冠を被っておれば彼こそ実はPrince of Walesか。

メンバー各自晩飯を求め何処ぞへ赴けど、ここは節約を旨とせんとの思いから、昼に購入せし茹で玉子入りサラダにポン酢をぶっ掛け食す。ピカチュウは「米パワー」を求め中華料理屋のバイキングへ、他の面々はパブにてウェールズの郷土料理+地ビールのセットを満喫せしとか。
サウンドチェック時よりBenのMarshallヘッドアンプが大いに不調、本番2曲目途中にて前座バンドAmusement Parks On Fireからヘッドを借り受けれど、今度はファズに問題発生か、機材トラブルに大いに苦戦させられし一夜となりけり。終演後、Amusement Parks On Fireの面々に、私のトラブルを見るや既に片付けし自身のアンプを迅速なる対応にて快く貸してくれし一件の御礼を告げるや、ギターやらにサインしてくれとの事、今回のツアーTシャツも既に購入せしとかで、何てええ奴達やねん。Thank you very much!!!
深夜0時半、Cardiffから200マイル彼方のフェリー乗り場へ徹夜のドライヴ。午前4時半、フェリー乗り場に到着、車中泊。

8月4日(月)

 

午前6時半、果たして眠れしか否か判然とせぬ中起床。不眠不休のオールナイトドライブを終え疲労困憊のBenと、フェリー乗り場のカフェにて、カプチーノ£1.95(400円)を呷る。 
アイルランド行きフェリーに無事乗船、さて朝飯を食らわんと思えば、船内にバーガーキングありて、ならば大枚を叩き禁断のWhopperを食らわんと、既にあの巨大バーガーを思い浮かべ気も漫ろなれど、残念ながら私の忌み嫌うファーストフード系朝食メニューのみにしてWhopperのオーダー叶わねば、今更この昂りし気持ちを抑えようなく、されど最早他の選択肢あらざりて、レストランにてイングリッシュブレックファーストをオーダー、£9.20(1886円)也。ベイクド・ビーンズ+ベーコン+ソーセージ2種+焼きトマト+スクランブルエッグ+ハッシュドポテト+トーストの豪華フルラインナップなれば完食し切れず、ベーコンとハシュドポテトをトーストに挟み昼飯としてキープ。

他のメンバーも同じくイングリッシュブレックファースト、一昨日イングリッシュブレックファースト自腹完食にて自爆轟沈せり東君のみ、ここはバーガーキングへ赴き、1本のソーセージが丸々挟まれしブレックファーストメニューを選択「う~ん、これはまさしくただのソーセージぞ…、ザマに期待外れやが…」

2時間の船旅を終えアイルランドに上陸。ここから4時間程の車の旅にてCorkへ、今回のツアーより持参せし高級アイマスク装着にて心地良く爆睡すれば、今宵の会場Crane Lane Theaterに到着。この高級アイマスクは、裏地に分厚いクッションが付けられており、その使い心地たるや素晴らしく、今回のツアーに於いて大層重宝せし逸品なり。

サウンドチェックまで大いに時間を持て余せば、フェリー内にてキープせしベーコンとハッシュドポテトのサンドウィッチに、ハバネロソースをぶっ掛け食せど、冷めしベーコンの諄さに閉口。

何はともあれ腹拵えも済ませば界隈を散策、薬局にて目薬とコンタクトレンズ保存液を購入、合計?9.80(1519円)也。Benの新しいバンにはワイアレスヘッドホンにて観賞し得るDVDプレーヤーとモニターが装備されており、後部座席2列にては移動中にDVD観賞可能なれど、彼曰く「折角付けたのに未だ誰も使った事がない」との事、ならば車中にてDVDでも観賞せんと、今回の欧州へのフライトの機内にて観賞せしインド映画所謂Bollywood映画の大傑作「Om Shanti Om」を今一度観んとDVDを探すも見つからず、結局女優の美人ぶりから選びしBollywood映画のDVDを1枚?4.99(798円)にて購入。
晩飯は各々勝手にと云う塩梅にして、私はアイルランド名物たる「おばちゃんの手作りサンドウィッチ」を満喫せんと、インド系移民のおばちゃんが営む小さなデリカにて、チキンタッカサンドを?3.80(589円)購入、生野菜各種と大量のハラペーニョをトッピングし、更にハバネロソースをぶっ掛ければ、充分に美味なり。

終演後、我等が定宿Pine Lodgeに投宿。東君と兄ぃがピカチュウとビリヤードに興じる様を横目に、Benとみつるちゃんとバーにてギネスを呷るや、再びBenのパンク談義に火も付き、徐ろに彼はジュークボックに大枚を放り込み十数曲連続プレイ、Benの選曲を肴にまたしてもロック談義炸裂、みつるちゃんが完全酩酊状態となり漸くお開き、午前4時半就寝。

 

 

8月5日(火) 
午前7時半に思わぬハプニングにて起床。私は東君と同室なれど、突然何やら尋常ならぬ質量が醸し出す気配に対する猛烈なる悪寒と先天的嫌悪感且つ直感的危機感を感じ目覚めるや、私の隣にはゾウアザラシが昼寝しておるかと見紛えど、それはトイレに立ちしみつるちゃんが、寝惚ける余り部屋を間違え、私のベッドに潜り込みし顛末なり。夢遊病持ちの東君の如く眠りながら抱きつくなんぞと云う暴挙に走らぬ分、未だ可愛げと云わねばならぬか。 
さて朝飯でも作らんとキッチンへと赴く。昨秋にここPine Lodgeを訪れし際は、その荒廃ぶりに絶句せしものなれば、果たしてあのキッチンは如何な様子かと杞憂すれど、今回は奇麗に片付けられており思わず安堵。(第138回「男は黙って噛み締めろ!(AMT & TMP U.F.O. 欧州ツアー2007 其之五)」参照)ラーメン2袋を使い恒例の麺つゆラーメンを作り、そこへちりめん山椒をトッピングせし逸品、麺つゆちりめん山椒ラーメンを食せば、大いに美味なり。

ピカチュウは、キッチンにてショートパスタを発見すれば「うちスープパスタ作るねん!」と、その名の通り粉末コーンスープを用い調理を開始。そもそもチーズやらオリーブが大好物と宣う至って現代女性的西洋嗜好味覚の彼女が果たして如何なる代物を作り上げるのやら、大いに興味津々にして観察しておれば、私が何を云わんとするかを察せしか、彼女曰く「うちの料理は絶対美味しいねんて!」そうかもしれませんが、今日の処は遠慮させて頂きます。

シャワー後、さて昼飯はPine Lodge名物の食パン定食かと思えば、何と信じられぬ事に、今年は豪華にシリアルやチーズやハムまで添えられており、一体Pine Lodgeに何が起こりしか。さてまた年に1度投宿する我々も、いよいよVIP宿泊者リスト入りを果たせしか。ジャムトースト2枚+シリアル+ハム1枚を食す。

正午に一路Galwayへ向け出発。本日の道中は、Benのバンに搭載されしDVDプレーヤー+ワイアレスヘッドホンにて、先日購入せしBollywood映画のDVD観賞を決め込まんとす。ガソリンスタンドにて、DVD観賞のお供にと、ナッツ?2.75(426円)とポテトチップス小袋?0.89(138円)を購入、計?3.64(564円)也。
当然ヒンズー語発声英語字幕なれど、ストーリーはシンプル故に理解に易ければ、Bollywood映画の醍醐味を隣に座する東君共々満喫。されど振り返れば最後部座席の兄ぃもピカチュウも爆睡中、また助手席に座するみつるちゃんは、モニターが後部座席の天井に設置される故、観賞叶わず矢張り爆睡。皆でアホ映画を愉しまんと思えど、斯様な思いは見事空転に終わりけり。
午後5時半に今宵の会場Roisin Dubhに到着。空腹を我慢しかねし兄ぃとみつるちゃんとピカチュウは、近所の中華料理屋にて何やらテイクアウトし捕食。私も中華料理屋のメニューを眺めてはみれど、炒飯単品でさえ?8.00(1240円)もすれば断念、されど私は何としても安上がりに肉類を食したければ、近所のスーパーにて牛ステーキ肉?4.90(760円)を購入、それに触発されし東君も豚ステーキ肉3枚入りパックを購入されし。今宵投宿するは、クラブが所有するツアーバンド宿泊用のマンションの1室故にキッチンも完備しておれば調理も可能、サウンドチェックを手早く済ませ、東君共々宿泊先へ赴き早速調理に取り掛かる。ステーキ肉に筋切りを施し、さてニンニク1かけと肉をフライパンにて火に掛け、そこへ水屋にて発見せし開封済み赤ワインを投入。塩を予め肉に施せば、肉から旨味が水分と共に抜け出る故に、調理前には絶対施さぬ事こそ、安いステーキ肉を美味に焼き上げる秘訣にして、さてレアに焼き上がりしステーキにポン酢を打っ掛け食せば、これ大いに美味なり。流石にステーキ1枚では満腹には到らず、更に麺つゆラーメン1袋分を食せば、これにて満腹大いに満足せり。

東君も豚ステーキ肉3枚を一気に生姜焼きにすれば、大いに満足の様子。

今宵のライヴのエンディングにて、メインギターとして使いしFresher製Straighterのトレモロアームが折れれば、明日より先日購入せしスペアギターを明日よりメインギターに昇格せん。これにてスペアギターを購入せし意義もありしか。
終演後、投宿先にてギネスを呷り皆で歓談、昨夜スパークし捲り燃え尽きしみつるちゃんのみ本日は禁酒宣言なれば早々に就寝。料理自慢のBenがスパゲティーを拵えれば、空腹を訴えるピカチュウは「うわっ!めっちゃ美味しそうやん!Can I taste?(味見していいですか?)」その厚顔無恥なる厚かましさこそが過酷なツアー生活を生き抜く術なれば、流石は浪花の野生娘ピカチュウ、そのスパゲッティーをすかさず御裾分けして頂き捕食。午前4時半就寝。

 

 

8月6日(水)
午前8時半起床。朝飯用に用意されしケータリングのパンと牛乳とオリーブを見つけるや、東君からマッシュルームを御裾分け頂き、Londonにて購入せしピンクサーモン缶を利用し、鮭クリーム擬きスパゲッティーを作らんとす。先ずピンクサーモンとマッシュルームを炒め、繋ぎの小麦粉の代用としてレンジにて乾燥させしパンを削りパン粉を作成、パン粉と玉子と牛乳とチーズを合わせ、ブイヨン代わりに昆布出汁にて味付け、流石に生クリームを用いておらねばクリームソースとは行かねども、茹で上がりしスパゲッティーを麺つゆでほぐし、ソースと合わせて海苔とオリーブを添えれば完成。ピンクサーモン缶£0.80+スパゲッティー1袋の4分の1を消費につき£0.10の計£0.90(185円)也。

兄ぃは、起きて来るや米を炊き、カレー缶を温めカレーライスを食しておられれば、お馴染み美味いの代名詞「う~ん」を連発。「兄ぃ、イケますか?」「うん、大丈夫だよ…充分食えるよ…」カレー缶は私も購入しておれば、これはツアー後半に於ける必殺アイテムと成り得るか。

ピカチュウは、私の鮭クリームソース擬きの残りと、兄ぃからお裾分けのライスと、自身で作りし即席ラーメンにて、何とも要領良く朝飯を捕食せり。東君はここでも勿論初志貫徹スパゲッティー・ペペロンチーノ一筋なり。

Benは流石イギリス人なればイングリッシュブレックファーストを作成。

みつるちゃんは、兄ぃからお裾分けのライスと、Benのイングリッシュブレックファーストのお裾分けにて、何と無謀にも禁断の合体を試みんとすれば、その名も「ジャパニングリッシュブレックファースト」ソーセージとマッシュルームとベイクド・ビーンズにトーストならぬライス、これにはBenも大爆笑「ギャハハハ…Jesus! ちょっと待て!写真を撮らせてくれ!」さて味の方はと云えば、みつるちゃん曰く「豆とライスが全然合わへん」云わずもがなか。

午前11時半、一路Dublinへ向け出発。午後3時半、会場Whelansに到着。入り時間たる午後5時まで自由行動につき散開。楽器屋から中古レコード屋へ流れ、頑なに物欲滅却を試みるも、レコード屋に突入しながら手ぶらにて退出するなんぞ男にあらずと、結局中古LP2枚購入、?15.00(2325円)程散財、パブにてギネス1杯?4.50(698円)也。Dublinは過ぐる5月にもJNMFにて吉田氏と訪れており、その際に2人で大いに散策せし経緯あれば、ある程度の土地勘もある故、中華食材屋にて垂涎物の逸品キムチ500gを購入、?3.10(481円)也。レコード屋を巡りしBenは、彼が以前より絶対的に推薦するモキュメンタリー映画「This is Spinal Tap」のDVDを安価で見つけしとの事で、我々にプレゼントしてくれれば、早速明日の移動中に観賞せん。
サウンドチェックを済ませ、晩飯は会場斜向いにあるAMT御用達の中華料理屋「楓葉」にて、麻婆豆腐+ごはんのセットをテイクアウト、?6.80(1054円)也。Dublinを訪れる際、毎度ここの麻婆豆腐を食せども、世界各国にて様々な珍妙奇異なる麻婆豆腐を食せし私が太鼓判を押す「普通の麻婆豆腐」なれば、普通に美味なり。ここでは敢えて麻婆豆腐のみを食しごはんをキープ、それも明朝にこのごはんをキムチと食せば落涙せんとの思い故なり。

今宵はキッチンも完備されしホテルに、例によって喫煙組と禁煙組に分かれ投宿なれど、何故か禁煙組の部屋が喫煙可にして喫煙組の部屋が禁煙の部屋に荷を解けば、今更入れ替わるも面倒と、結局喫煙可の部屋に全員集結、皆でギネスを呷り歓談。Benによる70年代末から80年代初頭に掛けての様々なライヴ観戦話に同世代の我々は興味津々、81年のGlastonbury Festivalに於けるGongやHawkwindに始まり、初期パンク&ニューウェイヴ等々、当時遥か極東にて僅かな情報とレコードの音からその姿や空気感を想像せし我々からすれば、何とも羨ましき話ばかり。されど20代のピカチュウには所詮自分が生まれる前の昔話に過ぎず、単なるオヤジ共に依る懐古趣味的物語にしか聞こえんか、況してやそろそろツアー疲れもあらん、早々に自室へ戻り御就寝の様子。結局ケータリングにて獲得せしギネス十数本を空にすれば、午前3時半就寝。

 

 

(2008/10/19)

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