『人声天語』 第98回「Japanese New Music Festival European tour 2003 日記」第4週目

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第4週目

10月22日「Nijmegen (Netherland)」

7時起床。朝食は勿論昨日購入したうどん。シャワー、今日のフライト用荷作り。10時Glynさん宅を出発。列車にてLondon Luton空港へ。今回もディスカウント航空会社easyJetによるAmsterdam行き。チェックイン後、バーガーキングにてハンバーガーを購入、昼食。しかし12時46分発が2時にディレイ。津山さんは、国際電話にて奥さんに日本シリーズの状況を生中継して貰っている。延長で阪神サヨナラ勝ち!で津山さん思わずガッツポーズ。喫煙スペースにて、昨夜Daevidから貰ったGong (ex.youNgong) のセミファイナル・ミックスを聴く。2時に搭乗手続き開始。バスにて飛行機まで行けば未だ機長が点検中、それを見て客が「easy check!」と野次を飛ばし車内爆笑になる一幕も。何故かバスは空港内を(何か見られてはまずい事があったかの如く)もう一周し、漸く搭乗。結局3時頃にLuton空港を発ち、1時間のフライトにて5時Amsterdam空港着(1時間の時差あり)。会場5時入りには大きく遅れ、吉田氏が7時到着予定とオルガナイザーに電話を試みるが連絡つかず。Nijmegen方面と書かれた列車は一種のみで毎時23分/53分発なれば、取り敢えず5時53分発の列車に乗り込み、車掌が検札に来たら詳細等を尋ねる事に。さて車掌に尋ねてみれば、何と既に通り越えたUtrecht駅で乗り換えねばならなかったらしく、仕方ないので次の駅で下車する事にし、Utrechtまで戻ってNijmegen行きに乗り換えるアクセスを調べてもらう。これを隣に座っていた人が書き取ってくれており、大いに感謝。次の駅なるAmersfoortにて下車、6時43分発Utrecht行きに乗り換え。Utrechtにて下車の際、今夜のオルガナイザーの友人と名乗る男性John Poulと知り合い、オルガナイザーに電話連絡してくれ、更にNijmegenまで案内して貰う事に。Nijmegen行きのICに乗り込む、ラッシュ時なのか超満員。しかしこの列車Nijmegen行きであるにもかかわらず「OUT」となり途中の駅にて乗客全員降ろされる。どないなっとんじゃ!その駅で待つ事15分程、別の列車に乗り込み、8時過ぎに漸くNijmegen駅着。さてタクシー乗り場へ行けば、全車出払ってしまい待つ事数分、漸く一台のタクシーをつかまえ今夜の会場であるLuxへ、8時半着。これにて本日の10時間に及ぶ旅も終了。飛行機を使ってなんでイギリス~オランダ間に10時間もかかねん!サウンドチェックを手早く済ませ、楽屋での夕食は、中華料理のテイクアウト。御飯+エビと野菜の甘酢ソース炒め+鶏と野菜の炒めもの+ダックの唐揚げ+赤ワイン。甘酢ソースとダックの唐揚げを合わせると酢豚みたいで旨い、ここの中華はかなり旨かった。食後、楽屋にてテレビ鑑賞なんぞとのんびりし、9時半開演、さっさと11時には終演。入りは220人とまあまあ満員、されど東君が一所懸命に梱包してくれたZOFFYの新譜初売りの成績は5枚と惨敗…オランダ人は貧乏なのでライヴも有料だと人が来ないしCDも売れないと聞いてはいたが、確かにいつもに比べShopzoneを覗きに来る人も少なし。さっさと片付けホテルへ、久々に3人部屋。楽屋から持って来たビールとローストビーフを食す。洗濯、2時就寝。

10月23日「Utrecht (Netherland)」

8時半起床。津山さんも吉田氏も昨日の移動では流石に疲れたのか、珍しく未だ熟睡。9時、2人の起床と同時に朝飯を食すべく朝食バイキングへ…しかし遅かったか、既にゆで玉子やサラダなんぞもなくなっており、シリアル+クロワッサン2個+オレンジジュース+コーヒーのみ。部屋へ戻りシャワー。昨夜から調子が悪いiBookのメンテ。12時にチェックアウトということで追い出され、タクシーにてNijmegen駅へ。12時23分発Utrecht行きICに乗車、1時半頃にUtrecht着。タクシーでホステルへ。ここのタクシーは市内はどこでも9.5ユーロらしい。得なのか損なのか、それとも騙されているのか。ホステルであればこそ、鬱陶しい決まり事項なんぞいろいろあり、更にここのペアレンツ(管理人)の女性の印象が不愉快極まりなし。荷物を置いて近所でレストランを探すが何処もclosed、仕方なくドネルカバブを購入し昼食。表を歩けば殆どの店がcolsedである中、Coffee Shopのみがオープンしており、阿呆共が雁首並べて自堕落に惰眠と享楽を貪っている有様。スーパーにて若い男性に「Acid Mothers Temple?」と訊ねられた。この手の出来事はしょっちゅうであるが、ここは阿呆の巣窟オランダである。「タダ券持ってない?え、持ってないの…チケット高いからなあ…(10ユーロ)ホントにタダ券持ってないの?何時から?知らないの?ふ~ん、今夜行けたら行くよ…じゃあね。」Coffee Shopに行く金あるんやったらチケットぐらい己れで買え、ボケがぁ~!ホステルへ戻ってみれば、玄関の暗唱番号を押した処で扉は一向に開かぬし、キッチンもなければ、1階の食堂にてコーヒーでさえ金を払って注文せねばならないし、煙草はその食堂でしか吸えぬし(部屋は3階にて3人部屋)、屋根に上って吸おうと思えど、傾斜が急どころか90度では上る事も叶わず、また部屋にコップもなければ、湯もぬるま湯しか出ぬし、電話機もないのでネット接続どころか電話も出来ぬは、トイレに行けば掃除中で入れて貰えぬ。オランダをええとこと思っているのは阿呆共のみで、こちとらこの阿呆共を見ているだけで腹立たしい。況してや「オランダに来た=葉っぱやりに来た」と、あの阿呆共と一蓮托生に思われるのは更に腹立たしい。糞オランダ、さっさと水没せえ、ボケがぁ~!5時にサウンドチェックの為、タクシーにて今夜の会場SJU Jazzpodiumへ。運転手が道を間違え、結局再びタクシーを拾った場所へ戻り、メーターをもう一度リセットするハプニングあり。サウンドチェックを済ませ、事務所にてメール受送信、バーの赤ワインを勝手に飲んで時間潰し。今日はオープニング・アクトとして、Duo Xなる日本人女性2人を含むデュオではなくカルテットの演奏があるらしい。オルガナイザーや彼女らも一緒に近くのレストランにて夕食。赤ワインに吉田氏持参のマイナスイオン・リングをすれば、何と味がマイルドになる事を発見。ディナーはピーナツ風味のスープ(まるでピーナツバターを湯で溶いたかの如し!)とタイカレーもどき、これが激不味にして到底食える代物ではなく、食べられるものと言えば、添えられてる赤ピーマンのスライスのみ。結局空腹を赤ワイン2本とデザートのアイスクリームにて誤魔化すが、津山さんはあまりの空腹なればこそ勢いで完食。クラブへ戻りペルノーをオーダー。これがこの日の失敗で、ここからペルノーを連発。バーカウンターに座りてサブステージで行われているDuo Xを観る。笙を含む雅楽もどきの現代音楽(?)なのか、一応楽譜を見て演奏しているがその必然性さえも感じられぬ、しょうむない事極まりなく、衣装も「ジャパネスク調」のものなれば、同じ日本人として恥ずかしい事限りなく、お前らポスト竜堂組か。ZUBI ZUVA Xは吉田氏の喉の不調で3曲のみ。赤天も凄まじいテンポで一気に終了。たまたまステージ横に置いた鞄から煙草を出そうとしたら、丁度「ワイン」と云う事で、急遽ゲスト参加。しかしここで得た1杯のワインがペルノーでかなり泥酔していた所にとどめを刺す結果になるとは。カウンターにて隣に座る女性から例によって「口説き文句」のオランダ語を御教示願う。ZOFFYはオランダなればこそ「悪魔の呪文」も演奏。しかしもうこの辺りから殆ど記憶なし…吉田氏の話では「『スモーク・オン・ザ・ウォーター』では完全に1拍半遅れていた。」らしい…。AMT mode HHHは…もうこの辺りからほぼ完全に記憶なし…赤ワインをチェイサーにペルノーを飲み続け、更に空腹…津山さんの話では「殆ど弾いて無かった」そうな…これではまるで末期シド・バレット状態か、吉田氏曰く「河端全く機能せず」兎に角延々と教えて貰ったオランダ語口説き文句を連呼していたらしく、そのままステージ上で倒れたらしい…。結局どうやって帰ったのかさえ覚えておらず、この後の記憶も勿論全くゼロ。

10月24日「Brussel (Belgium)」

未だ真っ暗な朝8時、昨夜のクラブの事務所にiBookを忘れて来たと思い目覚めるが、津山さんがギターケースに仕舞ってくれていた、と云うか片付けも全てやって戴いた上、ホテルの階段も荷物担いで戴いたそうで、大いに迷惑掛けまくり…反省。昨夜の記憶殆どゼロ、いつクラブを出たのか、タクシーに乗った事もホテルに着いた事もベッドにて寝た事も…それどころかいつ終演したのかさえも。覚えている事は、2段ベッドに上がろうとしたら、階段が外れて階段共々転落した事。コンタクトレンズも知らぬ間に外しており、我ながら驚く。ペルノーとワインのチャンポンで流石に猛烈なる二日酔い。朝飯はホステルの食堂にて、私の食べられるものはシリアル+ゆで玉子+コーヒー+オレンジジュース。昨日津山さんと吉田氏がオーダーしてた「ヌードルスープ」要するにインスタント拉麺をスープにする為に砕いたものを「砕かないで」と頼み、粉末スープも迂闊に使うと稀にとんでもない味のものがある故、危険なので自分で入れるからと言ってオーダー、しかし煮るわけでなくどんぶりに乾麺とお湯を入れるだけなので、元々製麺技術が低く不味いこちらの拉麺が、更に粉っぽくその不味さを倍増。ここに持参した味噌汁と乾燥ワカメをぶち込み取り敢えず「味噌拉麺」にして食すが、麺の不味さはリカバー出来ず。部屋へ戻りZOFFYのCDをチェックがてら聴き、先日Londonにて津山さんが買った朝日新聞を読む。総選挙に向けての各党のマニュフェスト等読み所多く、退屈しのぎには丁度良い。11時チェックアウト、タクシーにてUtrecht駅へ。コインロッカーに荷物を預け、12時51分のBrussel行き列車を確認後、昨日地図でチェックしておいた日本食レストラン「今日は」へ。在蘭中国人の店で、13ユーロのランチ(刺身:マグロ、イクラ、イカ、シャケ、サバ+軍艦巻き2巻+サラダ+野菜天婦羅+焼き鳥数切れ+フルーツ+炒飯!)+緑茶をオーダー。味噌汁がスープとして単品で先に出されるのは、ホンマ勘弁してほしい。この味噌汁が出て来るまでに15分、その後も一向に料理は出て来ないが、列車の時間は刻一刻と迫って来る。猛烈にドン臭い仕事ぶりに見ていて苛々が募る。兎に角今回のツアーに於いて、中国人には矢鱈と憤りを覚える。漸く料理が出て来た時は既に12時半を経過、約5分で全員完食、速攻で駅へ戻りロッカーから荷物を出しプラットホームへ、それとほぼ同時に列車到着、無事に乗車するや吉田氏と津山さんは爆睡。昨夜の暴飲と、先程の炒飯と刺身の食い合わせの悪さからか、突如体調不良に。2時間半の列車の旅でBrussel midi駅着。明日のParis行きThalysのチケットを購入し、駅構内にてオルガナイザーの迎えを待つ間、吉田氏は構内のハーゲンダッツのベルギーワッフルを食し御満悦、津山さんは奥さんに電話して阪神3連勝を知り興奮。オルガナイザーのバンにて今夜の会場であるMagasin4へ。サウンドチェック後、クラブ内のダイニングにて夕食、ライス+チキングリルのパセリとセロリのクリームソース添え+ホットアップリン(リンゴとプリンのオーブン焼き:津山さん命名)なかなか美味、更に赤天用の大根として用意されていたのは何と沢庵、偏にオルガナイザーの勘違いのようだが、これ幸いと沢庵も頂く、これがまた美味なり。今日はここの3階にある宿泊施設に投宿する為、食後はマイナスイオンシーツに包まりベッドにて仮眠。9時半開演、客入りは200人でほぼ満員。終演後コンセントの三又が木っ端みじんに壊れてる事に気付く、明日以降は運良く東君と会う故、彼に借りるしかないか、それともパリの日本人街に売ってるか。オランダ/ベルギー用に持参したZOFFYのCDは早々にソールドアウト。終演後の11時を過ぎてから来た客が多く、お前らもっと早く来いよなあ…。Johan、Hansと再会。何とJohanに子供が出来たらしい。遥々Strasbourgから来たというAudreyなるフランス女性、なかなかシャイで可愛いが英語が話せず、急遽Johanが通訳を務める。終演後Johanらと歓談、宿泊する部屋へ戻り、奥義「空中浮遊 on the bed」を吉田氏と津山さんから御教示。体調がちょっと良くなったので赤ワインを呷り、2時就寝。

10月25日「Paris (France)」

8時起床、夜中に吉田氏の寝言ならぬ寝歌で一度目覚める。キッチンにて、昨夜の御飯の残りにふりかけ+沢庵+Londonで購入したうどんで朝食。今日はParisへ、いよいよ2人から散々いろんな話を聞かされているシカラムータのマネージャーみわぞうさんと御対面の段取り。11時オルガナイザーの車でBrussel midi駅へ送って貰う。11時40分発Paris Nord行きThalysに乗車、1時間半でParis Nord駅着、メトロに乗り換えPyramides駅下車、日本食レストランにて刺身(大)セット(刺身各種+御飯+味噌汁+サラダ)+日本酒を堪能。「十時や」にて抹茶羊羹と東君への土産に焼酎1本を購入。メトロにてPorte de Clignancourt駅で下車、マーケットと骨董屋が犇めきごった返す雑踏の中を荷物を引き摺り今夜の会場であるMains d’Oeuvresを探す。クラブへの道の目印であるバス停にて偶然東君と遭遇、彼はここからバスで数駅の処に宿泊しているとかで、一緒にクラブへ。クラブにてみわぞうさんと初対面。人声天語等で私の人格研究等されていたとかで大いに恐縮。サウンドチェックを済ませ、クラブでの夕食は、豆カレーのようなもの+ポークソテー、しかし肉は固いしカレーは給食の味のよう、決して旨いものではないが食えない程でもなし、後は赤ワインで口直し。みわぞうさんがビデオカメラと共にJNMFコンピCD追加分を持参、東君から残りのZOFFYの新譜を受け取り、久々にライヴ前よりShopzoneをオープン。私の顔Tシャツを着た男性は、我々にサインしてもらう為に大量のLPやCDを持参、あぶらだこやYBO2、想い出波止場の「金星」まで、珍しいアイテムいろいろでこちらが驚かされる。Shopzone隣で中古レコード屋がオープン、覗いてみればなかなか、結局G.Deadのドイツ盤1st+2ndのカップリング2枚組LPを購入。FractalのJeromeやJ.F.Pauvros、彼のマネージャーであるサトコちゃん、その他Parisの知人大勢と再会。また東君の彼女Tiffanyとも彼女が帰国して以来の再会。開演前にフランスの雑誌のインタビュー1本。客入りは満員御礼、ZUBI ZUVA Xでは再び吉田氏の変な踊りが…。赤天は久々に「大根おろし」を、しかし大根が大き過ぎて吉田氏は大変だった様子、「ワイン」にはまたしてもゲスト参加、飲んでるだけ…。AMT mofr HHHは久々に「Pink Lady Lemonade」を織り交ぜた即興、アンコールは「La Nòvia」のアカペラから「Hyderomastgroningemn」そしてコアへ。アンコールは1回の予定であったが、会場にSEが流れても拍手は止まず、仕方なく「Hey hey Good-bye」のアカペラ、会場中大合唱で幕…恒例のcdセールストークに突入すると会場から再び「ナナナ~ナ~」と大合唱が…頼むからもう終わらせてくれ!終演後、ビールを飲みつついろんな人と歓談。徒歩10分程でホテルへ。3人部屋、うどん+チキン拉麺を食し、シャワー&洗濯、2時半就寝。

10月26日「オフ(Toulouse)」

7時起床。フライト用に荷作り。今日はオフ、ひとりToulouseへフライトの為、Paris Orly空港へ。吉田氏ら一行はBordeauxにてワイン酒蔵見学に行くとか。昨夜のうちに空港までの行き方は聞いてあるので安心。フロントにてタクシーを頼むと「日曜の朝だから無理だ。メトロの駅まで徒歩5分だから歩いて行け。」と言われ、駅への道を教えて貰う。まだ周りは真っ暗の朝7時半ホテルを出発、徒歩にてPort de St-Ouen駅へ。昨日教えて貰った行き方は、昨夜降りたPort de Clignancourt駅からメトロのライン4に乗り、Garde Nord駅でメトロからRERのラインBに乗り換えれば、Antony駅から空港ターミナルOrly Sud駅までモノレールのような第3セクターで行けるというもの。しかし辿り着いたPort de St-Ouen駅はライン13で目指すライン4とは並走しており、2回以上乗り換えぬ事には、ライン4若しくははRERのBラインには辿り着けない。手持ちの地下鉄&RER路線図と睨めっこ、Invalides駅にてRERのラインCに乗り換え、St-Michel Notre-Dame駅でラインBへ乗り換える事に決定。いざInvalides駅にてRERのラインCに乗り換えようとすれば、メトロとRERの連絡改札口前の切符販売所に誰もおらぬ。8時を過ぎた辺り、あと1時間ほどで空港に着かねばならぬ、しかしこのまま待てども果たしてこの切符売り場に係員が来るのかどうか…。仕方がないので一度外へ出て切符売り場を探す。階を上がると1ケ所のみ人のいる切符売り場があり、そこでOrly空港までの切符を買おうとすると、ラインCのみでも行けると教えられる、ラッキー!MONAかROMIとクレジットされた列車なら空港へ行くとか。さて列車の発車時刻を確認しようとすれば未だ7時20分、何故?もしかすると今日からウィンタータイムか!とすれば1時間も早く出て来たわけで、今朝は6時起きだった事になる。兎も角7時20分発の列車で空港を目指す。8時Pont de Rungis Aerop. d’Orly駅(空港駅そのままの名前であったにも関わらず、地図上で発見出来なかった…)着、シャトルバスに乗り換え、ターミナルSUDへ。easyJet 10時40分発Toulouse行き。8時半、チェックインも無事終了、まだ2時間もある…搭乗ゲートへ行きぼんやりと時間を過ごす。初めて利用する空港だったこともあり、ここまでの行程で既に疲れ気味。30分遅れで離陸、機内ではうとうとするが眠れず、12時Toulouse空港着。UehのメンバーAudreyとStephaneが迎えに来てくれ、車でAudrey宅へ。車内にて、今年のカンヌ映画祭最優秀作品賞作品「Elephant」を観たらAMTの音楽が使われていて驚いたという話等。Audrey宅にて取り敢えず2人が料理して昼食にする事に。彼女のルームメイトが代わったばかりで、旧ルームメイトの家財道具はリビングに積まれ、新ルームメイトは内装工事中。2人の料理の間、遂に入手して貰った昨年のAMT et Rosina de Peiraのライヴビデオを鑑賞。Audrey曰く、Rosinaから電話があり、英語の話せるMartineが今丁度来ているので、今夜私に来ないか聞いてくれとの事。Rosina宅への最寄りの駅への列車は1日数本しかなく、今夜7時の列車で向かい、明日RosinaがAudreyのフィルム上映会の為にToulouseまで来る故、その折にToulouse駅まで送ってくれるそうな。明日のBordeaux行きにさえ間に合えば問題ないので、勿論二つ返事にて伺う事にする。昼食は、サラダ+チーズ+キッシュ(Queche)と呼ばれるパイ+赤ワイン。美味なり。Audreyも随分料理が上手くなったものだ…初めて彼女の手料理を食べた時の事を思い出す。食後、AudreyとEstelleの2人が作ったAMTドキュメントフィルム「dokonan」は、明日ここToulouseにて世界初公開されるのだが、彼女はまだ最終手直しの作業中で、翻訳の不明箇所等に協力。また一番ラストにFredericの「Makoto Kawabata」なる曲が挿入されている箇所に、WIREの表紙を入れたいらしいが入手出来なかったと聞き、急遽熊沢氏に国際電話してファイルを送って戴く事を依頼。Remi、Benjamin、Estelle他懐かしい顔が揃う。Audreyは明日の上映に向け多忙を極めている為、StephaneとBenjaminとで近所のバーへ。6時半にAudrey宅へ荷物を取りに戻り、Stephaneと徒歩で駅へ。7時5分Toulouse発の列車に乗る。今朝早かったせいで猛烈に睡魔に襲われるが、終着駅ではないし、車内放送の聞き取りがかなり困難で、絶対乗り越す訳にはいかず、睡魔と苦闘。7時45分Cezeres Sur Garon駅着。無人駅のような小さな駅に降りると、Rosinaが走って来て抱擁、また会えた事に感謝。小さな街を抜ければあとはひたすら山道、車で20分程でPeiraのRosina宅へ到着。

Martineと彼女の夫(籍は入れていないそうだが)Thierryを紹介される。Martineはその歌声からちょっと厳しそうな人柄を想像していたが、物凄く陽気で快活なオクシタン女性で、一方Thierryは優しく物静かな雰囲気。いきなり赤ワインとジュース(Martineは一切酒を飲まないそうな)で乾杯の際、Martineが「(フランスの乾杯の音頭)『チンチン』っていうのは日本人にはまずいんでしょ?」そこからいきなり下ネタに…全員爆笑で始まった一夜。Rosinaが夕食を作ってくれている間、MartineとThierryの美術作品の目録を見せてもらう。Rosinaの「Gospel d’Oc」のジャケットはMartineの作品写真だった事が判明。作品は、紙、木、石、金属、陶器やレンガの破片、その他いろんなものを使って構成されたレリーフのようなもので、写真ではその質感や立体感が判らないが、印象は妙に日本っぽいのが不思議。Martineはこれら所謂現代美術作品の展示にてトルバドールを歌うらしいが、しかしフランスのメディアは至って冷たい反応らしく、逆にフランス以外での評価は良いとか。さてディナーは、カボチャのスープ+パン(オクシタン風にパンをちぎってぶち込み混ぜていただく)+ゆで玉子の乗ったカリフラワーやポテト等入りチーズグラタンとでも云えばいいのか?+デザートはアップルパイ。どの料理もとても美味にて、大いにオクシタン郷土料理を堪能。食後、暖炉にてRosinaが栗を焼きながら歌い始めるや、椅子に腰掛けたMartineがハモり始め、いきなりミニコンサート!生で聴くMartineの声はレコードでの印象とかなり異なりもっと潤いのあるもので、Rosinaのエンジェルヴォイスとの相性の良さは驚愕、ただただ言葉もなく聴き惚れるのみ。Martineが「彼もいい声してるのよ」と云うThierryも1曲低音のドローンで参加。もうただただ感動するのみで、意識は完全に別次元へ…。Martinaがキーを出し次から次へ曲は進む。すっかりミニコンサートも盛り上がりきった頃、Rosinaが栗が全部焦げてる事に気付く…焦げた中から食べられそうなものを選びつつ、Rosina de Peira et Martineの昔話をいろいろ伺う。オランダのラジオ局主宰のフェスに出演した際、エレピとハーディーガーディーとの4人での演奏が本当に素晴らしかったとか(それって誰か録音してないのか?ラジオで流れただろうから…そもそもラジオ局にマスターテープ残ってそうだが…)、Rosinaが「Martine、キーを頂戴」と言うのでMartineがキーを出したら「OK, 1,2, ア~」と結局Rosinaは全然違うキーで歌い出すとか云々。すっかり夜も更け2時半、漸く「Bon Nuit」…ホテルとして使用している客室の1室をあてがわれ、この思いもかけなかった素晴らしい夜に感謝し就寝。

10月27日「Bordeaux (France)」

7時半起床。まだ薄明るい中、表を散策。部屋に戻りシャワーし、朝食はRosinaとMartineが焼いてくれたパンケーキ。再び辺りを散策。Rosinaが庭で歌う歌声が周りに共鳴する。本当にこの風土あっての歌声…ここで聴く彼女の歌声は更に別次元のもののよう。Rosinaが別館に案内してくれる。こちらはMartineとThierryの作品が展示されているギャラリーになっている。実物は写真で見たのとはまるで異なり、素晴らしい作品群。ミーハーにRosinaとMartineに「gospel d’Oc」のCDにサインして貰う。Rosinaはフランス語で、Martineはオック語でメッセージを添えてくれた。12時59分Toulouse発のBordeaux行き列車に乗る為、今夜ToulouseにてAudreyのAMTドキュメントフィルムの上映会に行く予定のRosinaに、車でToulouseまで送って貰う。「アデュー。」12時59分Toulouse Matabiau駅発、約2時間半の列車の旅、ここらはすっかり通い慣れ見慣れた景色。3時半、Bordeaux St Jean駅着。まず明日の列車を調べる為、インフォメーションにてBordeaux-Toulouseの時刻表をゲットし、クラブに電話しようと昨年購入したテレフォンカードにて試みるが、使用期限切れにて断念。タクシーにて今夜の会場Zoobizarreへ向かう。まだ津山さんら御一行は到着しておらず、ミキサーの兄ちゃんがドラムのチューニングをしていた。表で「RUINSが去年Bordeauxに来なくて、涙で枕を濡らした」と語る女性と立ち話していると、御一行到着。サウンドチェックは未だ未だの様子なれば、近所の中古レコード屋へ津山さんと突入。見渡す限りロクなものがないと津山さんは早々に帰って行ったが、実は2階が全部LPコーナーである事を発見、すっかり整理を怠っている様子でアルファベットで並んでいた筈の棚も既にぐちゃぐちゃの有様、値札は未だにFrench Francのまま、しかし掘り出し物いろいろありで思わず50ユーロほど散財。クラブに戻り津山さんに2階の事を告げるとダッシュで出掛けて行き、結局サウンドチェックは吉田氏と2人で。夕食はクラブの楽屋にて、なんとサラダ+パスタ、それも最も苦手とするペンネ!昨年のAMTのヨーロッパツアー以来、すっかりパスタ・アレルギーの私は僅かばかり頂いてパス、赤ワインでお茶を濁す。今夜の宿泊はクラブの2階にある事務所なれば、夕食後その事務所にてネット接続し、ベッドにて1時間ほど仮眠。さすがにここ数日の慌ただしいスケジュールで疲れたか、一瞬で爆睡。津山さんに起こされ、クラブへ戻る。客の入りはまあまあ、約200人程度、ここは何故かいつも客の年齢層が低い。10時開演、3人ともかなり疲れ気味で、調子いと悪し。ZUBI ZUVA Xでは開演前に吉田氏が編み出した新しい踊り(本人曰く「気に入った」)を3人で披露すれど、赤天はワインがなく仕方なしに空ボトルで…RUINSはベース・トラックのテンポを上げ過ぎ、珍しく吉田氏が苦戦(更に異常に小さい径のハイハットだった為、かなり叩き辛かったとか)、ZOFFYでは津山さんの笛が鳴らず…AMT mode HHHも疲れがピークで渾沌状態、アンコールは「Hyderomastgroningemn」でさっさと終演。CDのセールスも客が若年層の為、殆ど金を持っておらず、今回のツアーでの売り上げ最低。イギリス等買いたいと言う客が詰め掛けた時にはソールドアウト状態で、何とも皮肉な話。このガキ共、CDを買うどころか逆に「スティックくれ!」「俺の靴とギターを交換してくれ!」なんぞ訳の分からん事ばかりほざきくさる。ここ最近のBordeauxの印象はあまり良いものでなく、そもそもフランス全体に於いても「テクノ」やら「DJ」やら「音響派」やらを有り難がっては、「サイケなんてとっくの昔に死んだ音楽でしょ?」と、今やアメリカ/イギリスをはじめヨーロッパにも広がりつつある「Kraut Rock リバイバル」なんぞParis以外では全く知りもせぬ様子にして、フランス人の友人らが口を揃え「かつて最先端のアートは全てフランス発祥であったが、今や世界で最も遅れている」と嘆くのも無理もなし。特に若い客層が多くを占めるここZoobizarreは、「パンク」「テクノ」「エレクトロ」「ダブ」辺りを支持するガキ共の巣窟らしく、まあ仕方あるまいか。ムカついてさっさと宿泊場所の2階へ引き上げる。みわぞうさんから頂いた牛丼セットで夜食。「美味しいですね~、美味し過ぎますね~、美味し過ぎると云っても過言ではないですね~!」思わず「村西とおる三段活用」。何やら昨日今日と、とんでもなく長く感じた2日間、すっかり疲労困憊。2時半、マイナスイオンシーツを引いて就寝。

10月28日「Toulouse (France)」

7時半起床。マイナスイオンシーツの御陰か快眠。朝食はLondonにて購入したうどん。先日Audreyに会った際、来年計画しているUehと私のUSツアーの話にて、飛行機代を何処かから取る算段の為、何でも資料やら写真が必要で、私も含めて「正装」した写真を撮影する為、今日1時間程時間が欲しいと言われ、早めにToulouseへ行く事に。Toulouse到着時間を知らせんとAudreyに電話、昨夜のAMTドキュメントフィルム「dokonan」の初上映は成功で評判も良かったとか。「フィルムを観て、皆がマコトの事好きになったと思うわ。」とは彼女の弁。ホンマかいな?詳しい事は会った時に聞く事にして、2時にToulouse Matabiau駅にて待ち合わせ。11時前に出発、バスにてBordeaux St Jean駅へ、駅前のカフェにてホテルに投宿していたみわぞうさんと合流、12時1分Bordeaux St Jean発Toulouse Matabiau行きに乗り込む。2時19分再びToulouse Matabiau駅に到着、オルガナイザーのMarie、そしてUehのAudrey、Stephane、Benjamin、 Fredericが迎えに。吉田氏とみわぞうさんはMarieの車で今夜の会場Le Ramierへ、私と津山さんとUehの面々は、まず中華のファーストフードで昼食、この店自慢のハウス炒飯+海老天1本を食す、炒飯は旨いが、海老天は衣ばかりデカくて中身の海老はえらく小さい。昨夜行われたAudreyのAMTドキュメントフィルム上映会は絶賛好評だったそうで、観客は津山さんのギャグにも爆笑していたらしく、「観終わった後、皆がマコトの事が好きになった」と皆が口を揃えるが、一体如何な映画になっているのやら。Audreyはフランス語字幕版に続き英語字幕版を製作するらしい。まだまだ仕事は終わらぬ様子なれど、客の反応も良く、無事初上映を成功させた事でちょっと安堵した様子。食事後、津山さんはFredericに連れられ中古レコード屋巡り、私はAudrey、Benjaminに連れられ何故かアニエスbへ。マヌカンの選んだジャケット、シャツ、パンツ、靴を身に着け写真撮影…Audreyが先日話していた「(来年のUSツアー用の飛行機代の)金を貰う」と云うのはこの事だったか。私はまるで小沢征邇のような奇妙な格好で、店内のそこいらを歩かされるは、ポーズをつけさせられるは、生まれて初めてのモデル業であるが、金輪際二度と御免被りたい。こちらの気持ちなんぞ関係なく撮影は無事終了の様子、さて私も中古レコード屋を2件ハシゴ、2件目にて津山さんとFredericに遭遇、1件目に津山さんが探しているFamilyの2枚組がある事を告げるや、同行のFredericの携帯電話にはMarieから何度も「会場に早く連れてこい」と催促の電話連発にも関わらず、津山さんいきなりダッシュ。私は2件にてトラッド等数枚を購入し、皆と待ち合わせ場所のバーへ。Stephane、Audrey、Benjaminらと赤ワインを飲む。レコードいろいろゲットで御満悦の津山さんとすっかり焦燥気味のFredericが合流、早速Stephaneの車で我々2人は会場へ。5時半会場であるLe Ramier着。普段ここはディスコで、大、中、小のホールがあり、今夜はその大ホールにてライヴ。サウンドチェックを済ませ、バックステージにて夕食。Marieが「best cooker」と云うシェフによる料理は、豪華な盛り付けのサラダ+ポークとこの季節限定のフランスで最も美味のキノコのソテー+当然の赤ワイン。スタッフのMarie(前述のMarieとは同名異人)が来月からLondonに引っ越すとかで、来月に行われる私のソロ・コンサート「ツィゴイネルワイゼン」に来ると云うのでフライヤーを渡す。津山さんは日本人のスタッフ(?)女性やみわぞうさんらに「手品」を披露。楽屋にAudreyがRosinaとMartine, Thierryを連れて来た。津山さんは狂喜…とりあえず記念撮影。RosinaはAudreyの作ったAMTドキュメントに大いに感動したそうで、「愛溢れるフィルム」と大絶賛していたが、ホンマかいな? 客入りは310人、9時半開演。ZUBI ZUVA Xの「Europe」内フランスの私のパートを全てOcの地名に変更、「Toulouse、Marseille、Montpellier、Montauban、Perpignan」オクシタンの人々には受けた模様。赤天演奏時にホールへ出れば、Estelle、マサヨさん、Ludricら馴染み深い面々と会う。そういえばAudreyがJade(Audrey、Estelle、Jadeの3人は我々が「Toulouse3人娘」と呼ぶ程の仲良し)も来るかもと言っていた…彼女はToulouseからアメリカのDenver→NY→再びフランスのParisと引っ越し、また最近Toulouseに戻って来たとか…しかし誰にも連絡をとってないらしくAudreyとEstelleはさぞや彼女に会いたい事だろう。(結局Jadeは会場内にいたらしいが、知らぬ間に帰って行ったらしい。何でも今度は近いうちにインドに引っ越すとか…。)ZOFFYはオクシタン・トラッド「la le lo」のサワリ等も織り交ぜ演奏。AMT mode HHHは疲れ気味なので緩い感じの演奏+会場がディスコだからという訳で珍しくファンキーな展開も織り交ぜ、そして「Pink Lady Lemonade(この曲が今のような演奏スタイルになったのは、99年Toulouseに於いてのフェスティバルでの演奏以来で、その模様はライヴ・アルバム『Live in Occident』に収録されている)」へ、そしてコア。アンコールもファンキーな展開+ハードコアな演奏にて終了。されどアンコールの拍手なり止まず、「Hey hey Good-bye」にて終演、お別れの挨拶は勿論「アデュー」。楽屋にてRosina e Martineで歌ってくれる事となり、津山さん大感激。私と津山さんのリクエストにも「歌詞を忘れた…」と言いつつも応えてくれ、最後はAudreyも含めた皆で「La Nòvia」を合唱。皆とまたの再会を誓い「アデュー!」Marieの車で彼女の家へ。疲労困憊、既に2時半ぐらいだったか、時刻不明…即寝成仏。

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