『人声天語』 第98回「Japanese New Music Festival European tour 2003 日記」第5週目

第1週目 第2週目|第3週目|第4週目|第5週目|第6週目

第5週目

10月29日「Barcelona (Spain)」

7時半、ドラゴンボールの目覚まし時計の大爆音にて起床。ツアーに出て丁度4週間経過、矢張り疲れはピーク、更に喉が痛い…風邪か。朝飯にうどんを食し、更にMarieが用意してくれたクロワッサン+コーヒーも頂く。7時半に車でToulouse Matabiau駅へ送って貰い、7時48分発Latour de Carol行きの鈍行列車に乗り込む。2両編成だがかなり満員、私のみ喫煙席に座るが、ウトウトすれど隣の親爺の吸うゴロワーズの煙が強烈な臭さで到底眠れぬ。ピレネー山脈をすり抜けるコースなれば、次第に雪山なんぞも垣間見え、すっかり「世界の車窓」気分。10時半Latour de Carol駅着、10時36分発のBarcelona Sants行きに乗り換え。駅員にどの列車か尋ねれば何と嘘を教えられ、慌てて違うホームへ走る…畜生!再び2両編成の鈍行の旅、私の乗ってる車両には親爺がもう1人乗ってるのみでずっとガラガラ、吉田氏ら御一行は別車両に…喫煙するのが私のみ故、いつも御一行とは別車両…しかしこの列車全席禁煙やんけ。1時45分、Barcelona Sants駅着。オルガナイザーがお迎えに、タクシー2台にて今夜の会場であるSola Apoloへ。一先ずクラブに機材を置いてホテルへチェックイン。どうやら何かの手違いでオルガナイザーは4人部屋2部屋を予約しており、我々男性陣は同室、みわぞうさんは別室。荷物を置いて、皆でSagrada Familiaへ観光に行く事にし、地下鉄L2「Paral-lel」から乗車し6駅「Sagrada Familia」下車。地下から出るといきなり後ろ正面に聳え立っているではないか。されど思っていた程の迫力なし、少々がっかり。周囲を一周し、土産物屋でSagrada Familiaのミニチュアを物色すれど、手頃な大きさ且つ出来の良いものが見つからず。フライトさえなければ高さ30cm程のかなりの出来の逸品を購入したかったが。近所のレストランにて昼食、赤ワイン+サラダ+ステーキ+アーモンドタルトのワインソース添え。再び地下鉄にてホテルへ戻り、6時サウンドチェック。吉田氏は赤天の新ネタ「電話」の音のサンプリングに御執心。近所のディスカウントショップにて何故かピラミッドのウォータードームを、その隣のスーパーにて非常食として即席拉麺1袋を購入し、ホテルへ戻り洗濯。クラブから夕食代50ユーロを貰ったので、近所の日本食レストランにて、寿司50ユーロ分をみわぞうさんに頼みテイクアウトして来て戴く。平目、シャケ、マグロ、エビ、鉄火巻、カニかま巻、サーモン巻等、結構旨い。寿司を平らげた処でクラブへ戻る。9時半開演、ZUBI ZUVA Xは3人共喉の不調故2曲、赤天は久々に「鳥」も含めたメニューなれどさらっとこなして終演。AMT mode HHHは吉田氏が前半から飛ばしてどうなるかと思ったが、アンコール無しでさっさと終演。オルガナイザーがスペインの大手音楽雑誌にAMTの記事がカラー2ページで特集されている号を見せてくれる。記事や写真は前回のツアーでのPerpignanでのもの。あの夜も全員疲労困憊でボロボロやったなあ。スペインの某雑誌が表紙の撮影だと云って、私にその雑誌のポスターを持たせて撮影、面倒臭い。ホテルへ戻り1パック残しておいた寿司を頂き、更に吉田氏と一緒に近所のレストランにてイカ墨パエリア+赤ワインをオーダー。されど赤ワインは薄いしパエリアはオリーブオイル多過ぎ、結局気持ち悪くなって2人共ギブアップ。疲れは蓄積される一方、2時半就寝。

10月30日「Geveve (Switzerland)」

7時半起床。ホテルの朝食は、チョコクロワッサン+コーヒー+オレンジジュース、なめとんか!と云う訳で持参した味噌汁も食す。シャワー後、昨夜楽屋から頂いて来たビールを飲む。9時半ホテルからタクシーでBarcelona空港へ。セキュリティーにて津山さんが南米人と間違われ別室送り、至って憤慨の御様子、無理もなし。easyJey 11時55分Barcelona発Geneve行き、15分遅れで離陸。1時40分Geneve空港着。取り敢えずタクシーにて日本食レストランへ、しかしあまりに高額の為断念し、タイ料理屋にて魚フライホットソース和え+御飯+赤ワイン+エスプレッソ。Geneve駅にて明日のBern行きの列車の時刻表をチェック、4時タクシーにて今夜の会場Kab/Usineへ、サウンドチェックはエンジニアが鈍臭く一向に捗らず苛々募る。ステージ後方に高さ1.5m程のお立ち台を設置し、東君用の特設ステージを用意。我々のサウンドチェック終了後、東君がTiffanyとその友人らと共に滞在先のフランスLyonから到着。何と東君は2日前に歯を2本抜いたらしい…昨年のツアー最終日のMarseilleでの事件(人声天語第86回「いざ日本へ!」を参照)と云い、本当にフランスに於いて矢鱈と医者の世話になる男だ。夕食はクラブ内のレストランにてタンドリーチキン+ポテト+いんげん豆の温サラダ+ミネストローネ。いんげん豆は石鹸のような味にて超ド級の激不味さ、私なんぞ到底口に入れる事さえ出来ぬが、空腹の津山さんは矢張り今回も勢いのみで完食。楽屋に戻り、津山さんと吉田氏のすっかり「壊れた」パフォーマンスを眺めつつ赤ワインを飲む。疲れもピークに達し、我々の壊れ具合も相当なもので、到底筆舌に尽くせぬ有様。10時15分開演、客入りは200人。赤天の「ワイン」に東君がゲスト参加、もちろん矢張り飲んでるだけ。RUINSの冒頭は吉田氏の泣き落しMC「ルインズ・アロォ~~~~ゥン(泣)」から、されど鬼気迫るそのプレイは全く対照的、それにしてもこの「RUINS alone」は恐るべし。そもそもクリックやカウント等一切なしのベース・サンプリングにして、況してやあのRUINSの難曲を、平然といとも簡単に合わせてしまう吉田達也なるドラマー、一体どういう頭脳構造になっているのやら。2人で演奏していたRUINSより明らかに演奏難度高し。ZOFFYでは「スモーク・オン・ザ・ウォーター」から「天国への階段」へメドレー、更に津山さんのロバート・プラントぶり爆裂で、こちらもジミ-・ペイジの弓パフォーマンスで応酬。AMT mode HHHは、ステージ中央に設置されたお立ち台上にて東君大暴れ、怒濤の演奏で終了。終演後、東君はTiffanyとその友人達と共に再びLyonへ。吉田氏はSardegna島の地図片手に、遺跡巡りツアーの予定組みに頭を抱えている。楽屋にあったワイン数本を飲み倒し、クラブ内の宿泊施設にて3時半就寝。この夜、吉田氏は完全崩壊…津山さんと大爆笑。

10月31日「Bern (Switzerland)」

8時起床。あまりの空腹にて味噌汁を食す。昨夜、日本人とスイス人のハーフの女性が「明朝おにぎりを差し入れします」と言っていたが、この手の美味しい話はまず信じない事にしている、悪意はないにしても大抵は話だけと云う事を、今までの経験で承知済み。津山さんはBernの中古レコード屋(前回のAMTツアー時、2人で大量に買いまくった店)に行く事で昨夜より興奮状態。9時半、朝飯を求めてクラブ内を徘徊、すると何と信じられぬ事に、昨日のハーフの女性エレナちゃんが、御飯+味噌汁+梅干+マグロ&シャケ刺身+海苔+お茶を差し入れて下さったではないか。「Don’t trust anybody」を座右の銘にする私としては、まさに晴天の霹靂驚天動地にして、「人を信じる」という心の中ですっかり消え果てていた筈の炎が、今再び灯された衝撃の出来事。昨夜初めて会ったにも関わらずのこの心尽しに感激、美味しく頂きました。食事後、エレナちゃんと彼氏、そしてクラブのスタッフに送れられ徒歩にて駅へ。お別れの挨拶、フランスはキス2回だがスイスは3回、そう云えば同じフランス語でもかなり発音のニュアンスが異なるように感じる、スイスのフランス語の方が聞き取り易い感じか。11時半Geneva発Bern行きICに乗車、生憎の曇り空にてアルプスは望めず。1時半にBern駅着。徒歩にて今夜の会場であるReithalleへ、時間が早過ぎ未だ閉まっている為、階下のレストランにて荷物を置かせて貰い、先ずはビール1杯引っ掛けた後、早速津山さんと中古レコード屋へ。昨年根こそぎ買い漁った為、古楽等のめぼしい物はなかったが、ならばと今回はEPを中心に買い漁る、総額240スイスフラン也、払い切れぬ分は明日また払いに来ると取り置き。5時にクラブへ戻るとオルガナイザーのSandroと再会。サウンドチェックの筈が、ギターアンプの故障で、代わりのアンプが届くまで待機。更にベースアンプから出火、こちらはなんとかリペア。漸くアンプが届きサウンドチェックを済ませ、階下のレストランにてSandroらスタッフと夕食、サラダ+ビーフカレー+エスプレッソ+赤ワイン、結構旨いが量的に少々物足らぬか。開演は今回のツアー中で最も遅い11時半。吉田氏は明後日のギリシャ公演に備えiBookを駆使してRUINSの曲目の追加中。11時半開演、ZUBI ZUVA Xは津山さんの「ダンケZubi!」にて始まる。 歌詞カードを貼れなかった為、津山さんが「Europe」内の、それも津山さんの一番の見せ場である「イタリア」を飛ばし、こちらは一瞬呆然…。ZUBI ZUVA X演奏後、猛烈な睡魔に襲われ楽屋にて爆睡、AMT mode HHHにて赤天の「ガムラン」をコラージュ、全くもってカオスな世界。終演後、エンジニアのひとりが「ダンケZubi!」と言っていたのが印象的だったが、バーにて赤ワインを飲んでいれば客に「Junky very much!」と言われたのも可笑しかった。メインのエンジニアが「素晴らしいギターサウンドだった」と喜んでくれ、「スイスには音量規制の法律があるが、あんなもん守ってたら音楽にならん!」と怒っていたのが印象的。Sandroと朝5時までバーカウンターにて赤ワイン+ビールを飲みつつ談笑。5時過ぎクラブの2階の宿泊所にて就寝。

11月1日「Zurich (Switzerland)」

9時起床。朝飯はうどんを食す。荷作りをし、事務所にてネット接続。来年のブッキング等の雑務をこなす。11時頃今度は先日購入した即席拉麺を食す、いと不味し。12時の開店と同時に津山さんと昨日のレコード屋へ向かう。昨日の払い切れなかった取り置き分と更に今日抜いたLPを加え払う、190スイスフラン也。Sandroに買ったレコードを日本へ送って貰うよう昨夜頼んでおいたが、そのSandroが一向にやって来ないので、メッセージを添えてレコードを事務所に置いておく。1時45分クラブから徒歩にてBern駅へ。駅構内の中華料理屋にて炒飯+酢豚をテイクアウト。2時17分発の列車でZurichへ、車内にて先程購入した炒飯+酢豚を食し、クラブから貰った赤ワインを呷る。約1時間でZurich着、オルガナイザーと電話が繋がらないが、吉田氏が宿泊するホテルの心当たりがあるとかで、徒歩にてホテルへ辿り着き、無事チェックイン、3人部屋。久々に洗濯。津山さんは、有料エロチャンネルが1秒程のみ映る事に気付き、他のチャンネルへ一瞬移動しまた戻すと云う手法にて「コマ送り」のようにエロチャンネルを観る事に執心、しかし結局遂には全く映らなくなってしまい全員ガッカリ。4時半、タクシーで今夜の会場であるRote Fabrikへ。サウンドチェックの際、矢張りスイスは音量規制の法律があるとかで、アンプのボリューム3~4でもうるさいと言われ、されどこの手の問題はしょっちゅうの事なれば、ファズを使わず言われるままの音量にてさっさとチェック終了。韓国の佐藤行衛さんの友人Stefanさんと彼の友人で氷河の研究をしている日本人男性(名前失念)を紹介される。彼等とスタッフ皆で近所のレストランにて夕食、鹿肉ステーキ(ラズベリーソース添えであったがソースは拒否)+ヌードルと呼ばれるメリケン粉かイモを練って焼いたような物+サラダ+赤ワイン+エスプレッソ、鹿肉は大層美味なり。開演9時客入りは150人。PAの電源が調子悪いとかでエンジニアは不安がっていたが、アンプさえなれば問題ないからと一蹴。結局法律なんぞ気にせず爆音で演奏、しかし問題はなかったようで、得てして斯様なものである。終演後、以前Chicagoのジャズフェスで会った女性ヴォーカリストSaadet Turkozさんに会って驚き。タクシーでホテルへ戻るが、ホテルの部屋が床暖房が効き過ぎ暑い。津山さんは「暑くて寝られへん」と、暖房が壊れている(?)みわぞうさんと部屋を交換、吉田氏は明日のギリシャでのライヴに向け曲を増やす為、黙々とiBookと向き合う。何しろ明日のライヴはRuinsとAMTのみ。みわぞうさんと赤ワインを飲みつつ虎の子「塩昆布」をアテに雑談。明日帰国する彼女から味噌汁を頂く。シャワー後、2時半就寝。

11月2日「Athens (Greece)」

7時起床。このベッドにダニがいたらしく、全身あちこち刺され苦悶…この妙に暑い程の暖房がダニの生息に適していたのか。朝食はシリアル+クロワッサン1個+チョコクロワッサン1/2個+スクランブルエッグ+ソーセージ2本+ベーコン1切れ+トマトジュース+カプチーノ。7時45分ホテルを出発、御見送りのみわぞうさんと徒歩にてZurich駅へ向かう。8時4分発Zurich空港行き列車に乗車、みわぞうさんとお別れ、10分程で空港駅到着。改札を出るといきなりチェックインカウンターがあり、チェックインを済ませたが、搭乗に際し、チケットが無い事でトラブル発生(ボーディングパスのみ所持)、e-ticketだからチケットは無いし、チェックインの際に貰わなかったと言い張れど、事態は混乱を極め、結局チェックインカウンターでチケットを再発行し、搭乗ゲートに届けられた事で解決。Swissport 9時45分Zurich発Athens行き、機内で爆睡、12時半にAthens着(時差1時間あり)。空港にオルガナイザーのTeodoraがお迎えに、また空港にて「昨夜のZurichでのライヴを観た。今夜また会おう。」と言う男性と会って驚く。空港からタクシーで1時間、ホテルにチェックイン、個室。ギリシャは想像以上に暑く、先ずはシャワー&洗濯。Teodoraに連れられ近所のレストランにて昼食、ピラフ+ラムとポークとチキンのミックス炭火焼き+「ビフテキ」と呼ばれるハンバーグのヨーグルトソース添え+白ワイン。ギリシャ料理のルーツはトルコ料理らしく至って美味、またTeodoraにウゾのボトルをプレゼントされ狂喜、彼は日本でもウゾが売られていると聞き驚いていた。食後、パルテノン神殿を見に行きつつ近所を散策すれど、生憎日曜日なので店は全て閉店。パルテノン神殿の麓まで徒歩、流石に疲れてタクシーにてホテルへ。吉田氏はまだRUINSの曲目追加の仕事が残っており、また今夜はサポートバンドが2つもある為、「サウンドチェックはやらない」とTeodoraに告げると大層驚かれる。ホテルの部屋にてエアコン全開で寛ぐ、兎に角ギリシャは暑い。テレビで「ロボコップ2」鑑賞。6時半サウンドチェックの為クラブへ、ホテルから徒歩1分。先程空港で会った男性は、オープニング・バンド「KOPSOKEFALI」のボーカル&クラリネット奏者だった。ファズの調子が悪いようにも思えたが、結局軽くサウンドチェックを済ませ、吉田氏が以前Athensを訪れた際に行った日本食レストラン「風林火山」へタクシーにて、されど生憎の休みで、すぐ近くの韓国&日本食レストラン「DOSIRAK」へ。ピビンバ(味噌汁付き)+刺身盛り合わせ(鮪+シャケ+一見平目のようでもっと脂の乗った白身)+キムチ+辛子豆腐+ビールを食す。嗚呼、ギリシャ料理はヨーロッパ料理の中では一二を争う旨さなれど、日本/韓国料理の足下にさえ及ばぬ事を実感。タクシーでホテルへ戻り、先程もらったウゾのボトル1本を水割りにしてペットボトルに詰め込み、10時45分クラブへ戻る。まだオープニングバンド「Sweetohm」の演奏中であった。続いて「KOPSOKEFALI」、パフォーマンスが笑えるジャムロック系バンド。RUINSは新曲や「Vrresto」等新メニューを加えた演奏。続けてAMT mode HHH、途中でストラップが切れ、ギターを抱えて弾く羽目に、御陰で久々に大暴れ。アンコールは疲れた上、ファズが不調の為やらず。「演奏が短い」と云われたが、その分充分に凝縮したつもり。終演後、一人の女性が「どうして左用ギターを使っているのか?」との質問、「理由無し」の答に不思議がっていたのが印象的。また某男性が「知り合いの女性がフランスに住んでいた時、ルームメイトの女性がAMTの為に料理を作った」云々…おお~っ!それはAudreyの元ルームメイト、そう云えばギリシャ女性だった事を思い出す。1時ホテルへ戻りシャワー&洗濯、ウゾを引っかけつつギリシャ版MTVを鑑賞。以前BerlinのクラブEimerのボスRobinが、ギリシャにてレコード・プロデューサーを務めていた時、パンクバンドもスカバンドもヘビメタバンドも必ず「with Bouzouki!」だったと笑っていたが、確かにBouzoukiを使用しているバンドがチラホラ、しかしヘビメタやパンクでは見掛けられず…残念、と云うか斯様な訳あろう筈もなし、もし斯様なバンドが目白押しならば、是非とも片っ端から聴かねばなるまい。今回のツアーにて、本日初めてライヴをカセットで録音したので、聴き返してみる…20分程度で…確かにかなり短い…。明日は7時出発でいよいよSardegna島へ。3時半就寝。

11月3日「Borore in Sardegna (Italy)」

6時半起床。7時タクシーにてAthens空港へ向かう、約1時間のドライブ。Agean Air 9時Athens発Rome行き、チェックインを済ませ、朝飯はマクドにてビッグマック+オレンジジュース。機内にて爆睡、津山さんに起こされ機内食にはありつけたが、オムレツ+ハム+ハム&チーズ・サンドウィッチ+クラッカー、オムレツのみ食し、トマトジュースをオーダー。10時20分Rome着、ここでAlitalia 11時半Rome発Cagliari行きにトランジットせなばならぬのだが、既に10時50分、しかしここでBaggage Climのゴンドラにトラブル発生、一向に荷物が出て来ない。ようやく荷物を受け取り、Alitaliaの国内線チェックインカウンターを探すが、何とターミナルが異なる為、そちらのターミナルまで荷物を抱え全力疾走。Alitaliaのチェックインカウンター前にて、イタリアのオルガナイザーMassimoがフライトチケットを持って待っていてくれたのだが、チケットを受け取り速攻でチェックインカウンターへ、既にチェックインはほぼ終了しており、荷物はover size baggageのカウンターからチェックイン。そのまま我々はゲートへ一目散。津山さんと吉田氏は面識があるので彼と抱擁等していたが、私は握手どころか自己紹介する間もなく、結局多分誰だかお互いよくわからぬまま。兎に角何とか無事に11時半Rome発Cagliari行きのフライトには間に合った。約2時間のフライトは、離陸も着陸も知らぬ程に爆睡、機内食があった事さえ知らぬ。空港にはオルガナイザーの男性2人がお迎え、車2台に分乗し、ライヴ会場と宿泊先のある島内陸部のNuoroはBoreroへ。約2時間のドライブ、途中ドライブインにて大量のサルディニア・トラッドのカセットを発見、されど街へ行けばより安価で見つかるだろうと、ここでは敢えて購入せず。吉田氏は遺跡ガイドブック2冊を購入、車内にても入念なチェックに余念がない。先ず宿泊先の家へ、どうやら誰かの祖母の家とかで、現在人が住んでいるのかどうかさえ不明ではあるが、綺麗な一軒家、ベッドルームが多数あるにも関わらず、我々が与えられたのはベッドルーム1室、ベッド3つ並ぶとかなり狭い。ここにオルガナイザーやスタッフ勢が揃いし、昼食を用意してくれており、皆で昼食、ラザニア+ソーセージ+ピクルス+チーズ+トマト+ラディッシュ+赤ワイン+ティラミス。遂にパスタ地獄ゾーンへ突入、昨年のAMTヨーロッパツアー以来、連日のパスタにてパスタ嫌いになった私にとっては辛い日々となろう。誰がオルガナイザーなのかよく分からぬが、Stefaniaと言う長身の美人女性が、吉田氏の明日明後日にかけての「遺跡巡りツアー」のアレンジをしていた。食後、スタッフ皆は準備で会場へ。6時サンドチェックの為会場へ、立派な公民館のような建物。サウンドチェックを済ませれば、津山さんと吉田氏はBorore市長の記者会見へ何処かへ連れて行かれるが、私は会場外の椅子に座り仮眠。津山さんらが帰って来て話を聞くと、単に市長の記者会見を聞かされたのみとか、何でも今ちょうど歌舞伎等がこちらのシアターで行われているとかで、その一貫でJNMFも絡められ、云うなれば、このSardegna島に於ける日本との文化交流功労者としての存在を、人々にアピールすると云った主旨か。さて会場裏に設営されたダイニングにて9時から夕食、市長をはじめネクタイ族(ヨーロッパではネクタイ姿の男性は殆ど見受けられない)が大挙して御同席、市長は母親が日本人にして、何でも東大卒らしく、日本語もかなり話せるので迂闊な事も話せぬ。ディナーは、Sardegna特産マカロニ2種(トマトソース味&チーズ味)+サラダ(と云えどアスパラの根元+ラディッシュ)+子羊のリブとじゃがいもの蒸しもの+赤ワイン。「美味しいですか?」「美味しいでしょう?」市長の日本語による問いに「はい」としか答えられず、対して旨くもない料理を美味しそうに食べるのに四苦八苦。赤ワインも、どうにも甘ったるく、白ワインも用意して貰えど、こちらもまたしても甘ったるく、「赤と白どちらが好きですか?」の問いに答えるのも容易ならず。食事が終わるや、10時開演。ZUBI ZUVA Xの「Europe」イタリア部分のエンディングでは「サルディ~ニ~ア~」と合唱。AMT mode HHHは津山さんのベースアンプが吹っ飛び終演、アンコールもせず。終演後、「Qbicoからの初期作品LP等持ってる」「SardegnaでAMTの作品を入手するのは困難」「去年Milanoで観たが、15分で演奏が終わって残念だったが(第82回「嗚呼、イタリア…」を参照)、今日も短くて残念。是非来年また来てくれ!」等、斯様な田舎街でさえAMTの知名度がある事に驚く。煙草の予備を忘れた為、Stefaniaに1本せがむと、自分の箱から何と8本もくれる。そう云えばここでは皆フィルター付き煙草を吸っており、煙草の価格が日本の2~3倍以上するヨーロッパでは、若い年齢層は大抵安い巻たばこを吸っているのだが、彼女らは皆当たり前の如くキャメルやマルボロを吸っている。実はめっちゃ金持ちなんか?Stefaniaらと楽屋でワインやビールを飲みつつ歓談、吉田氏はひたすら明日の遺跡巡りについての話に終始。12時前に宿泊先の家へ送って貰い、うどんを作り食す。1時就寝。

11月4日「オフ.1(Sardegna)」

9時起床。久々に良く眠れた。シャワー&洗濯後、キッチンにて発見したスパゲッティーを茹で、たらこふりかけ+マヨネーズを用い、たらこスパで朝飯。電話を発見、久々にネット接続、国内外のブッキングがいろいろ立て込み、大慌てで返信等。吉田氏はひたすら今日明日で巡る遺跡のリストアップに余念がない。と、突然表でギターのフィードバックのような大爆音、何かと表へ出れば、エントランスの真ん前にある広場にて、何やらキリスト教のセレモニーか。興味深く写真撮影&録音しておれば、我々異教徒が物珍しいのか、逆にジロジロ見られる始末。昼過ぎにStefaniaとTazianaが車でお迎え、いざ遺跡巡りへ。吉田氏の希望する遺跡の殆どは島北部に存在しここから遠く、彼女らから非情にも却下の通告をされる。結局、今日はここら近辺、明日は島東側の海岸方面へ行く事に。遺跡巡りの途中、「Drink & Eating」と小さな集落のカフェにてランチ。メニューはサンドウィッチと冷凍食品のパスタのみ。ビール2杯+ボロネーズ+エスプレッソ。冷凍食品のパスタは激不味!一旦腰を下ろすと全く動こうとしない彼女らに痺れを切らせた吉田氏の「Let’s Go!」で、漸く出発。再び遺跡巡りいろいろ。吉田氏の石に対する情熱の凄さを垣間見る。写真を撮るだけでなく、直接手で触れ、匂いを嗅ぎ、嘗め回し(否、そこまではしていなかったか)、さも愛おしそうなのである。まるで長年探し求めていた恋人にでも巡り合えたかの如し。途中の遺跡にて津山さんの「遺跡化パフォーマンス」「原始人パフォーマンス」「牛パフォーマンス」等に全員爆笑(詳細は吉田氏のビデオに記録されているので、いずれ発表される日を待て!)、

しかし津山さんはその際にカメラを紛失、本人ショックをギャグにて誤魔化しているが、実はかなりショックの様子。帰路にてスーパーに立ち寄り、今夜の夕食と明日の朝飯の食材を購入。今夜もStefaniaらが料理を作ってくれるとの事で、我々を宿泊先の家に送り届けた後、何処ぞで料理するらしく消えて行った。我々3人は「Sardegnaの美味しいワインが飲みたい」とこっそり購入した高い赤ワインを飲みつつ、今日の成果である写真やビデオ、特に津山さんの阿呆パフォーマンスを鑑賞。さて待てど暮らせど料理は届かず、イタリア人の時間感覚、況してSardegna島のド田舎の時間感覚では仕方なしか。8時半、漸くStefaniaらがやって来て、どうやらディナーは昨夜の会場のダイニングで頂くらしい、と云う事で再び車で外出。ダイニングには昨夜同様に多くの皿がセットされている。何でも今夜行われるSardegna島在住のギタリストと伝統音楽の笛奏者のコンサートのオルガナイズも彼女らのソサエティーが担っており、彼等やスタッフ共々との夕食だそうな。我々の頑なな要求にて、本来ペンネであったディナー、我々3人分のみスパゲッティーにしてもらう。Sardegna特産キノコのクリームソースとトマトソースの2種のスパゲティー+Sardegnaの代表的料理として知られる小豚のロースト+サラダ(またしてもアスパラの根っこ)+ワイン。既にパスタはうんざり気味なれど、空腹なれば何とか頂けた。小豚はまるでチキンの如しで至って美味。食事の後、そのコンサートに出掛けようとStefaniaらに執拗に誘われ、すっかり眠たい我々は「1時間だから」と云う言葉を鵜呑みに渋々同行。コンサート会場は、昨夜市長の記者会見の行われた小さなホール。はじめにバグパイプの袋なしのような楽器のデュオ。これはこちらの伝統音楽で、ドローン管の付いた低音部のパイプ(2~3本で構成)とメロディを奏でるリード管のパイプの2種を同時にくわえ演奏するスタイルには驚き。これをデュオで循環呼吸を駆使して演奏、人力バグパイプである。この素晴らしい演奏の後は、本日のメインであるSardegnaの新鋭ギタリストの演奏。ギターと云うよりはチェロとギターの中間のような改造オリジナル楽器、足下にペダルがあり、それで6本の弦を各々ハンマーで打つ事も可能、更にヘッドにチェロのヘッドが加えられ、細いゲージ4本がチェロの如く張られており、それは弓弾きする事も可、加えてジョン・マクラフリンの如く胴体のホールを横切るように共鳴弦のようなものも張られている。さて一体これで如何な演奏を聴かせてくれるのか、大抵おかしなオリジナル楽器を駆使する輩の音楽は、その楽器の奇抜さから想像する以上に、至って退屈極まりないつまらぬものである。そしてこの夜も御多分に洩れず至って退屈極まりなく、1曲目が終わった処で退出、表にて煙草を吸っていればStefaniaが赤ワインを持って来てくれた。結局津山さんらも2曲目が終わった処で退出、さっさと帰りたいがコンサートが終演せぬので帰るに帰れぬ。漸く終演したと思いきや、再び最初のパイプ・デュオの演奏、思わずホールへ戻り、結局終演までこれを鑑賞。実はこのホール、我々が投宿している家のすぐ近所だった事が判明、徒歩にて帰宅。1時半、さっさと就寝。

第1週目 第2週目|第3週目|第4週目|第5週目|第6週目

Share on Facebook

Comments are closed.