『人声天語』 第123回「文句垂之助の欧州地獄旅(AMT &TCI 欧州ツアー2005)」#8

6月15日(水)

午前10時起床、シャワー&洗濯を済ませる。投宿せし此処は、実は以前ホテルでありし建物を改装し住居にしているとかで、道理でゲストハウスの如きなり。家主にCDを差し上げれば、お返しにと庭の木になる果物等を頂く。東君が長旅にて既に変形し切ったカップ焼きそばを食しておれば、その匂いいと懐かしき、嗚呼、恋しきかなソース味。何でも家主の妹さんは才能溢れる新鋭陶芸家にして、離れの建物が工房となっておれば、作品をいろいろ拝見させて頂く。なかなかの美人なれば天は二物を与え給うたか。朝のコーヒーも頂けば、さて御暇する事とし、バスにてstation peopleがたむろするMassa Centro駅へと再び舞い戻る

空腹故に、不味いとは承知の上なれどhamburger(ハンブルゲル)を購入、レタスの1枚、ピクルスの1片さえ入っておらねば、マヨネーズ+わさび+七味にて味付け、これで何とか食し得るか。それにしてもイタリアのハンバーガーとは、何故斯様な程に不味いのか。イタリアは美食天国との幻想抱きし日本人は多かれど、このハンバーガーを食さば、その幻想は所詮幻想なるを思い知る筈。そもそも大抵のレストランに於いて、スパゲッティー等は予め茹で置きしてあれば、日本のイタリア料理屋の如く「オーダーを承ってから麺を茹で始めますので少々お時間を頂きます」なんぞと云うこだわりも実は幻想なり。されど茹で置きしてあるにも関わらず、注文の品が運ばれてくるまで10分以上も要するとは、一体如何な了見か。まあ生来怠け者のイタリア人なれば、今更文句を垂れても仕方なし。

どうやらピザ好きらしいせんせいは、ここでもピザを頬張っておられる。兄ィはホットサンドの類いを購入されておれば、その不味さ計り知れぬ程にして、わさびやらマヨネーズやらを駆使しておられれど一言「駄目だよ、不味いよ、これ…。」

それにしても駅のスタンドにて売られしが、所謂パニーノ(イタリアのサンドウィッチ)やらピザなんぞのお粗末なラインナップであれば、それに比べて日本の駅は何と気が利いている事か。地方色豊かな駅弁に始まり、コンビニ弁当やらおにぎり、そして極めつけは立ち食いうどんのスタンドか。列車の旅に於ける食の愉しみを考慮すれば、斯様な気配りは当然にして、即ち美食家を自負するイタリア人ですら、列車内に於ける食事とは、単に「腹が膨れればいい」程度の認識であろうお粗末さ。結局いつでも何処でも同じような代物を食らっておれば満足なのであろうから、何ともお気楽にして貧しい人生である。

Romaを目指し午後2時5分発Firenze行きのICに乗り込まんとすれば、東君曰く「その前に(Roma経由)Salerno行きICがあるよ」「でもそんなん時刻表に載ってへんで」「きっとサマーホリデー臨時列車だよ」「ホンマかいな?」いやはや東君が見ていたのは到着の時刻表、それは即ちSalerno発Torino行きの列車なれば、全くの逆方向、これぞ東君十八番の「思い込み」にして、何事も全て自分の都合良き方へ勝手に解釈すると云う、楽観主義の奥義なり。イタリアなれば当然列車は大いに遅れ、午後4時過ぎにFirenze S.M.Novella駅に到着、御蔭で乗り換え時間僅か5分にして、乗り継ぐ列車が停車するは遥か彼方のプラットホームなれば、あの広大な駅構内を端から端へまでの大移動、超重量級の荷物を引き摺り全力疾走、午後4時5分発Roma Termina行きICに無事乗り換えを果たす。

午後6時過ぎにRoma Termina駅に到着、お迎えの一団に今年2月のソロツアーにて大いに世話になりしAntonioの顔を発見、ナポリ訛にてのジョークが挨拶代わり「ヤンマントォ~!(Com’on Antonioの意)」今宵のオルガナイザーGianpailoは、見るからに典型的なイタリア人、我等が幻想として抱くイタリア男性のイメージを見事に体現、妙に洒落ている伊達男風佇まいに始まり、60’sイタリア映画等にてよく見受けし特有の口髭と少々いやらし気な甘い目つき、しっかりしている様で実は全くヌケている辺り等々、久々となるド阿呆にして楽し気な奴との出会いなり。
会場Zoo Barの周辺は、Romaと云うよりは、何ともアメリカ南部かメキシコかと云う不思議な空気にして、これぞ真のマカロニ・ウエスタン気分たるか?ならば取り敢えずビールを呷りて荒野の用心棒の気分にでも浸るか。機材が続々と到着し始めれば、今宵はRoma在住のMassimoからベースアンプを借り受ける。彼は1年の半分以上をZuのツアーに費やしておれば、Romaに帰ってくるのも久々らしく、されど明日再びオランダへ発つとか、何とも多忙な輩なり。しかも更に他のバンドのイタリア・ツアーのブッキングをも担っておれば、レイジーなイタリア人にしては、まあよくやってるなあと感心出来るかもしれぬが、毎度の事、ツアースケジュールが上がって来るのがツアー中と云う塩梅なれば、矢張りもう少し責任を持って取り組んで欲しい処。

サウンドチェックも問題なく終えれば、いざ晩飯と、Gianpailoに連れられて行かれしは、サッカー中継を行っているレストラン。レストランとなれば、選択肢は自ずからステーキと相場が決まっており、我々一同子牛のステーキを注文、更に私は蛸のカルパッチョが食したけれど残念ながら売り切れとかで、ならばと海鮮カルパッチョを、せんせいも「どうしても食っておきたい」とかで鮭クリーム・スパゲッティーを、そして大食漢の兄ィは「ライス!」を追加注文。海鮮カルパッチョは、イカやらエビやらカニやらが和えられし逸品、なかなか美味なれど、以前食せし蛸のカルパッチョには及ばぬか。

せんせいの鮭クリーム・スパゲッティーは、日本で見受ける物とは幾分趣向が異なり、鮭を予め炒めたりせず、生の切身をいきなりクリームソースと和えている様子で、折角のクリームソースが随分生臭い事この上なく、また鮭の身も半生の状態なれば、こういう場合は矢張り予め火を通し、鮭の風味をクリームソースに絡める方が遥かに美味かろう。

兄ィのライスは、所謂ボイルドライス(炊くのではなく、熱湯に米をぶち込み茹でたもの)にオリーブオイルを絡めし代物なれば、ついつい日本の感覚にて「御飯!」を想像せし兄ィの失望ぶり半端ならず。イタリア人は米を食す食文化を持っておれども、そもそも米は彼等にとって単なる野菜の1種に過ぎねば、日本人にとってのじゃがいもに相当すると思って頂ければ想像に易いか。兄ィ曰く「失敗だよ、不味いよ、これ…」兄ィのステーキ定食化計画は見事失敗に終われり。子牛のステーキは、迂闊にも焼き具合を告げるを忘るる大失態、案の定ミディアムとウェルダンの間程度の焼き具合にして「折角のステーキが台無しやんけ」されど背に腹は代えられず、幸い骨の周りは未だ赤みが残る焼け具合なれば、そこら辺りが最も美味なり。兎に角海外ではレアと注文をつけれどもミディアム以上の焼具合にして、歯応えのあるステーキが好まれるらしく、日本のように「お肉が口の中でとろけて…」なんぞと云う美学は存在せぬらしい。ナイフを入れて肉汁も出ぬようなステーキ、果たしてこれの何処が美味いのか。アメリカの狂牛病騒ぎの御蔭で、安いアメリカン・ビーフを買う事も出来ぬ今、国産牛を買える程贅沢な暮らしをしておらねば、牛肉が再び私の食卓から消えて久しけれど、一方で料理の仕方もロクに知らぬ阿呆な毛唐共が、折角の牛肉をお粗末な調理法にて大量消費していると思えば、何とも腹立たしい事この上なし。況してヨーロッパではホルモン等の臓器系等殆ど食さぬ故、スーパーにてレバー丸ごとで1ユーロ、タンも丸ごとで1ユーロ、せめてお前ら朝鮮人に「焼肉」ぐらい教わって来い。

さて腹も膨れし処で会場へ戻れば、既に相当の客入り。今宵は開店より大盛況のSHOPZONEなれば、社長田畑君も絶好調。
成る程Antonioは前座であったか。彼がドラマーを務めしトリオ編成のグループは、如何にも最近のヨーロッパ的雰囲気溢れるプログレ+パンク+アヴァンギャルド、所謂Ruinsやレコメン系から大いに影響を受けしサウンドなれば、まあ何とも当たり障りなき演奏にして高揚感なんぞ皆無、これまた何ともヨーロッパ的なり。イタリアのみならず最近のヨーロッパに於いて興味深いバンドやミュージシャンが皆無なるも、結局そこら辺が原因ではなかったか。元よりプログレは好きなれどレコメン系はどうしても好きになれず、斯様にコチコチ且つセコい演奏、一体何が面白いのやら。御大層な程叙情的かつ大仰しいイタリアン・シンフォの方が、笑えるだけまだ救われると云うもの。

さて我々の演奏となれば既に満員御礼、例によって「Pink Lady Lemonade ~ OM Riff」のメドレー、ラストはギター絞首刑にて幕、アンコールもお約束の「Na Na Hey Hey」と、毎日日替わりの即興パートこそ大いに盛り込めども、今やレパートリーは事実上2曲か。兎に角疾走感と浮遊感、そして極悪凶悪なパフォーマンスのみの直球勝負、これぞ惣明期のAMTではなかったか。御蔭で今回のツアーは、終演後の疲労感が半端ではなく、如何に最近のAcid Mothers Temple & The Melting Paraiso U.F.O.が、ある意味「楽な」ツアーを行いしかを痛切に感じつつ、またその一方で如何に「より音楽的」に演奏を展開せしかをも実感、されどそれもまた厳しいツアーを果てしなく繰り返して来た末の知恵なり。

終演後も陽気なローマっ子らしく客の多くは居残り、そこらで酒盛りを繰り広げておれば、メンバー一同もすっかり酩酊状態にして、私もウォッカを調子良く飲み始めるや、何やら久々に羽目を外す気分ともなれど、東君とせんせいは女性ファンに囲まれて既にかなりええ調子、先を越されれば不思議と冷静になるもので、そうそう今回のツアーからは物腰穏やかに何事もトラブルを起さぬと決しておれば、メンバー各位楽しんでいる様を大人しく観賞、四十路を迎えし今年からは「分別ある大人」にならんと改めて意を決する私なり。Zappa先生の如く、終演後にメンバーが何処ぞへグルーピー達と遊びに行っておれど、その間も惜しんでホテルにて作曲活動を行う、斯様な境地には未だ到底辿り着けねども、同じく音楽を生業にしておれば、矢張り斯く在りたしとも思う。

ホテルに投宿、同室のせんせいと共に、テレビにて60年代の妙な円谷プロ系SFイタリア映画を観賞しつつ、夜食のカップ焼きそばを啜る。ロボットのメイドが、旦那様に献身的に尽くす余り、遂には奥様に嫉妬心を抱き始め云々と云うストーリー展開なれば、イタリア語音声にも関わらず大凡ストーリーは理解し得る。エンディングは矢張り如何にもイタリア映画らしい顛末にして、眠い目を擦り観賞せしせんせいは、大いに落胆。後日談として、この映画はイタリアに於いてかなり有名な作品だそうで、されどタイトルは原題にて伺えば聞き取り不能、今一度冒頭から観てみたい処。

洗濯とシャワーを済ませ、午前4時前就寝。

6月16日(木)

午前8時起床。午前8時半にGianpailoが迎えに来ると云っておれども、既に約束の時間となれど来る様子もなく、況してイタリア人が時間にルーズなるを散々身をもって知っておればこそ、彼を待たずして通勤ラッシュで満員のトラムにてRoma Terminas駅へ向かう。今回のツアーに於いてお目当てのひとつであった、先日逝去されし先代法王ヨハネ・パウロ2世グッズを、駅構内の売店にて物色、可笑し気なポストカードやらカレンダーやら何やらといろいろ購入。何しろイタリアの主要都市の駅の売店には、大抵サッカーグッズと宗教グッズは山と積まれておれば、以前よりそのキッチュな出来に猛烈に痺れては、毎回何やら購入してはおれども、特に先の法王グッズともなれば、新法王グッズに取って代わられてしまうのではなかろうかと焦燥、この度大いに散在するを覚悟してイタリアに挑みし私であった。されどイタリア人の話では、先代法王ヨハネ・パウロ2世は功績偉大にしてにて「セイント(聖者)」となりし故、今後もグッズは引き続き製造販売されるであろうけれど、彼は今や「セイント」なれば、後光が射した肖像となる故、矢張り法王時代のグッズは順次売り切れ廃版となるであろうとの事。

さて朝飯としてマクドにてビッグマック・セットを購入。田畑君はルッコラのサンドウィッチを頬張っておられれど「あかん、味に飽きるわ!」ルッコラとはイタリアの水菜の如き代物にして、生のルッコラがふんだんに乗せられしピザを東君が愛してやまぬは有名な話。少々独特の苦みもあり至って美味な野菜ではあれど、流石にサンドウィッチの具がルッコラのみでは何ともやり切れぬであろう。

ヨーロッパのサンドウィッチとは、バケット等にハムやらチーズやら野菜やらが挟まれているのであるが、如何せん味が殆どせぬ事多く、またハムとチーズのみ、若しくは精々レタス1枚なんぞ云う塩梅にして、野菜がふんだんに挟まれている事なんぞ至って珍しく、故に日本では先ず訪れる事のないマクドに、思わず救いを求めてしまうのである。と云う訳でメンバー全員マクドにて、朝食若しくは車内にて食わんと昼食分まで買い求めておれば、何とも有り難きはアメリカの巨大資本力か。ヨーロッパ人は何かにつけアメリカを嫌っておれば「マクドなんて絶対行かない!ハンバーガー不味いし、アメリカ人みたいに太りたくない!」だの「キャピタリズム(資本主義)は大嫌い!私達はコミュニスト(若しくはアナーキスト)だから!」なんぞと始終ホザき腐るが、お前らの料理かて充分過ぎるぐらいクソ不味いし、そもそもお前らかてキャピタリストやないけ!自由競争に於ける弱肉強食を恐れるあまりの詭弁に過ぎぬ。悔しかったら日曜日も働け!ストばかり起こしては己れの権利ばかり主張するな!夏休みを2ヶ月も取るな!昼食に2時間もかけてワインまで飲んでるお前らに、キャピタリズムの下にて、まるで蟻か蜂の如く闇雲に働き続けて生き抜かんとする勤労諸氏を批判する権利なんぞないわ!「わしらはキャピタリストじゃ!」

午前9時46分発Torino行きICにてAstiへ。車内は満員、取り敢えず先程購入せしビッグマックにて朝飯とす。車内は冷房が稼働しておれど超微風にして全く効果ないどころか、満員の乗客の体温もあれば窓も開かず、日本より持参せし扇子を取り出し扇ぎ続けておらねば、猛烈に蒸し暑い事この上なし。更に車内の室温の上昇にて、様々な体臭が見事に調合されれば、それはそれはおぞましい異臭が鼻を突く。毛唐って何であんなに臭いねん!冬場は香水にて誤摩化せておれど、夏場ともなれば香水の効力は短時間しか保たぬようで、またこの香水と体臭が出会いし折に生み出される香りのハーモニーと云えば、何とも形容し難い異臭なり。この蒸し暑さにも関わらず、乗客の殆どは然程暑がっている様子もなく、大袈裟に暑がっているのは我々のみにして、お前ら一体どんな感覚してんねん?発汗量も多ければ塩分補充も忘れてはならず、況して空腹故なれば、即席味噌汁を直に舐める有様なれど、これが何とも美味なり。

ふと横を眺むれば、せんせいは何とウスターソースを飲んでおられるではないか。男やのぅ~っ!

午後4時20分頃、漸くAsti駅に到着、これにて地獄のサウナ列車ともおさらば。灼熱地獄の後は勿論駅前のジェラート店にて、せんせいと「やっぱり男は3つから」と3種類のジェラートを舐めれば、このクソ暑さも一時鎮静。例によってお迎えのオルガナイザーの姿は見えず、電話した処で「今向かってるから」されどイタリア人の斯様な発言信用する方が馬鹿を見るのは明らかにして、どうせ今から支度して出発するに違いあるまい。案の定1時間も駅にて待たされれば、漸くお迎えが到着すれど、何とセダンタイプの車1台のみにして、矢張り阿呆である事極まりなく、5人+荷物や云うてるのに何でそんな車1台で来てんねんな!取り敢えず田畑君と兄ィに先にその車で会場へと向かって貰えば、残されし私と東君とせんせいは「こんな時は飲むに限る」と、駅前のバーにてビールを飲みつつ待機。

今宵の会場Diavolo Rossoは、古き廃教会を改装せし場所にして、コンサート以外にもパフォーマンスやら映画上映やらの会場として、更には時として展示ギャラリーとしても使用されている様子。対バンは地元ローカルアマチュアバンド、Fender Rhodesが御自慢の様子なれば、おおっ、これは今や天然記念物イタリアン・シンフォ系バンドかと思いきや、斯様な事あろう筈なく、単なる地元のアマチュアバンドなり。今宵のライヴは、実は何と2日前にブッキングされしとかで、本来は彼等の自主コンサートであったらしい企画に、何故か我々が急遽ヘッドライナーとして出演する事になりしとかで、おいおい何ちゅう無茶なブッキングやねん。しかし斯様に小さな田舎町では、クラブなんぞ有るかどうかも疑わしく、否、そもそも斯様な音楽愛好家さえ殆どおらぬのではないか。

サウンドチェックを済ませたものの、一体晩飯は何処か。向かいに雰囲気の良いレストランがあれば「多分あそこでディナーかな」一切「no hope」な私なれば「きっとデリバリーピザやで」朝飯のビッグマック以来、未だ何も食っておらねば猛烈に空腹、この際不味いピザであれ「better than nothing」であろう。
さていよいよ晩飯と相成れば、客席に巨大な食卓テーブルを設置、どうやらこの会場のシェフが地元料理を振る舞ってくれるとか。そしてテーブル狭しと並べられしは、ここAstiの地方色を盛り込んだらしいペーストが塗られしハム+チーズ+パン+サラダ。思わず「これアペタイザーやろ?」されどアぺタイザーにあらず、何とこれにて晩飯終了、これはあまりに哀し過ぎる。せめて美味しいスパゲッティーでも食わせてくれや。これやったら自腹で向かいのレストランでスパゲッティーでも食うた方がマシやんけ!

今日と明日のオルガナイズを行ったFrancescoと今後の事について話し合う。彼はどうやらMassimoの後楯となってるようで、昨年のMassimoのライヴ日程勘違い事件の尻拭いも、全て彼が対応したらしく、今回も僅か2週間前に突然Massimoから「AMTがイタリアに来る」と聞いたらしく慌てて会場を探したそうで「今後はせめて3ヶ月前には知らせて欲しい」「アホか、Massimoには6ヶ月前から全資料渡して依頼してるんやで」「えええ~っ!」今後は彼と直接ビジネスする事になれば、漸くこれでイタリアのブッキングも多少は楽になりそうか。

今宵は騒音問題があるとかで「もし警察が来て止められたらそこで終了」と云う取り決めを事前にすれど、私はMesa Boogie2台を駆使する故、果たして警察に止められるのやら。アメリカ、ヨーロッパ問わず、今まで警察の介入にて演奏中止せし事幾度となくあれば、まあそれも今や楽しみなるか。
流石に僅か2日前にブッキングされし故、プロモーションも行き届いておらねば、況して田舎町である、客入りは40人程度と云う寂しさなれど、客が少なければ逆に燃える質である故、いつもにも増して大暴れ。「Pink Lady Lemonade ~ OM Riff」のみにて1時間強、ラストは店側から電源を落とされるやギターにチョークスラムを食らわせ、ドラム2台のみにて幕。警察は来るには来たらしいが、店側の自粛により取り敢えず御咎めなしとの事。そもそも海外の会場とは、日本のライヴハウスの如く防音なんぞ施しておる所僅かなれば、況して住宅地なんぞに於いては苦情が寄せられるも当然至極、そう思うと日本のライヴハウスの設備投資とは相当なものであると云えるが、それでも尚且つ騒音問題を抱える日本のライヴハウス事情とは、何ともお気の毒であろう。

終演後、バーテンダーお薦めの何と度数80度のAbsenteを飲めば、この後の記憶はかなり怪し気なり。
今宵もホテルへ投宿、Astiにも関わらずHotel Genovaとは、これまさに天王寺にあれどもHotel 赤坂なんぞと同じか。晩飯が酷い代物でありし故大いに空腹、兄ィの持参せし電熱器にて味噌煮込みうどんを作り食せば、大いに美味なれど、これにて日本より持参せし食糧打ち止めなり。東君と兄ィは余程疲れたのか即寝成仏、田畑君は隣室に投宿せし今宵のスタッフ連中と異様な盛り上がりにて絶好調、このカトリックの国イタリアに於いて神をも恐れぬその所業、これにはイタリア人も大爆笑。

午前4時過ぎに就寝。

(2005/9/8)

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