『人声天語』 第123回「文句垂之助の欧州地獄旅(AMT &TCI 欧州ツアー2005)」#18

7月3日(日)

午前4時半起床、眠い目を擦りつつ午前5時にホテルのロビーにて集合。毎度の事ながら、快適なホテルに投宿し得る時に限り、不幸にも早朝出発多く、折角のホテルを満喫する事叶わねば、大したものはないとは云えどブレックファーストすらも6時からなれば食せず終い。タクシー2台にてGare de Nordへ向かい、RERにてCDG空港へ向かう算段なれども、タクシーにてCDG空港まで40ユーロと聞くや、ならばと予定を変更しタクシーにて空港へ直行。RERの運賃が5人で40ユーロなれば、タクシー2台故にその倍額なれど、Gare de Nordの階段をこの重量級荷物を携え移動すると思えば、充分納得し得る値段なり。

早朝故か道も空いておれば、僅か30分にてCDG空港に到着。移動に1時間以上を読みし故、これならば斯様に早起きする必要もなかったのではとも思えども、早過ぎて悪き事一切なければ、早速チェックインも済ませ、ゲートへ向かわんとす。されどセキュリティーチェックへ向かう通路入口に構えしAir Franceのババア職員、ギターを抱えし我々にフランス語にて多分「タグを付けろ」等と思しき事ホザいては通してくれぬ。こちとら「英語しか解さぬ故、英語で話せ」と英語にて云えば、それでも頑なにフランス語でしか話さぬ典型的糞フランス人なれば、ならばと違う入口から入ろうとするや、折角こちらの職員は通してくれそうな気配であったにも関わらず、その様子を見たこのババア、大声でこちらの職員に「タグを付けさせろ」とフランス語で叫んでは、お蔭で再び通して貰えぬ顛末にして、斯くなる上は、あのババアの目の届かぬ入口まで遠回り、結局こちらでは何の問題もなく笑顔にて通過させて頂ければ、あの糞ババアは人種差別者か、許すまじきは糞フランス人、兎に角Parisは世界最大の観光都市なんぞと豪語するならば、国際空港CDGにてそのAir Franceの職員がフランス語でしか話さぬなんぞ、思い上がりも甚だしく、そもそも街中犬の糞だらけにして何が「花の都Paris」やねん!お家芸でもありし唯一の御自慢「芸術」さえ、今や完全に世界から大きく遅れを取り、その酷さたるや語るにも及ばぬ低レベルぶりなれば、単なる慢心に満ちし利己主義者のフランス人、鬱陶しい事この上なし。されど以前某フランスの女性雑誌上の「彼氏にしたい外国人ランキング」にて、日本人男性は73位なれば、インド人やアラブ人よりも低迷する不甲斐なさ、そもそも73カ国も国名を挙げられるかさえ甚だ疑問なれば、パリ人肉事件の佐川君宜しくお前ら食うてもたろか!
UAを含むStar Alliance系列のターミナルは、今や地下のマクドも含め館内全面禁煙なれど、Air Franceの仕事のいい加減さや高慢さには既に重々辟易しておれども、唯一の良い所と云えば、此処CDG空港のAir Franceのターミナルに於いては喫煙バーを設置している事か。バーにてクロワッサンとコーヒーにて朝食とす。

午前7時45分Milano行きに搭乗すれば、一瞬にして爆睡、機内サービスの有無さえ知らず。
午前10時前にはMilano Marpensa空港に到着。されど預けし荷物が一向に出て来なければ、これぞ如何にもAir Franceらしい怠慢ぶりなり。漸く荷物が出て来れど、我々が手荷物受取所に到着して既に30分以上も経過せし頃合なり。

今宵は本来ならばBergamoのフェスティバルに出演予定の筈が、結局最終的にキャンセルとの憂き目を食らい、明晩のギリシャへのフライトまで1日半のオフとなりけり。シャトルバスにてMilano Centrale駅へ、そして再び先日と同じ駅前のホテルにチェックイン。私は東君とせんせいと同室、ベッドが2台しかない故に、せんせいと東君にベッドを提供、いずれエキストラベッドが運ばれて来る筈なれば、思う処もあり私はそちらで結構。クーラーが心地良い。
空腹なれば「美味しいスパゲッティでも食おうか」と皆で外出すれど、結局「やっぱり日本食食べたいなあ」「探すか!」徒歩にて炎天下の下、日本食レストランを求め駅付近からかなりの距離を彷徨、韓国料理屋の看板を見つけるや「焼肉もええなあ!」されど日曜日なれば閉まっており多いに落胆、「Feeling Sushi」と書かれし日本料理屋「四季」なる店も閉まっておればすっかり意気消沈、空腹故に腹も立つ。
「フィーリング寿司って何やねん?」
「どうせイタリア人が作る変な不味い寿司やで。」
「せやな、No Hopeや。」
「寿司を見た事ないイタリア人が、フィーリングだけで作ってるんちゃう?」
「それってどんなんや?」
「パスタ寿司とかチーズ握りとか?イヤやなあ!」
「シャリがリゾットとか?」
「おえぇぇぇえええ!気っ色悪ぅぅううう!」
「いや、あの激不味ライスサラダ(insalata di riso)やったりして!」
「あかん…死ぬぅぅううう!」
「ポレンタ巻とか!」
「即死級やなあ…。」
「そんなん高い金出して食うぐらいやったら、ちゃんとしたイタリア料理食う方がまだナンボかマシやで。」
「でもどうせイタリア人アホやから、『コレガ日本ノ寿司ネ、ボ~ノ、ボ~ノ、オイシイヨ』とかヌカしてんちゃうん?」
「やっぱしイタリア人ってアホやなあ。」
「でもフランス人よりマシちゃう?」
「せやせや、さっきの空港のオバハン滅茶ムカついたなあ!何やねんあれ?」
「あれこそフランス人やがな。」
「セルフィッシュだからねえ。」
「最悪やなあ、そのくせアメリカ嫌いや云うてて、付き合いたい外国人ランキングの1位がアメリカ人ってどういう事やねん?」
「ワシらは所詮73位や。アラブ人より下やで。」
「でも支那人よりは上やで。」
「そんなん最低レベルでの争いやろ。」
「大体73カ国も国の名前云えるか?」
「無理やなあ…。」
「それぐらい下や云う事やろ。」
「ハナから相手にされてへん云うこっちゃなあ。」
「『このイエロージャップ!』とか思われてんねんや!」
「『チ*コちいこい!』とか云うとんで、絶対!」
「でもここにフランス人が彼女の人いてますけど?」
「そら例外もあるやろ。」
軒並み閉店の落胆ぶりを緩和せんと、この彷徨が徒労とならぬよう自ら何かしら納得させねばならぬ。「米食えるし」と云う訳で結局インド料理屋へ。皆でビール&カレーをオーダー、大いに美味なり。「やっぱりアジア人は偉い!」


されどマサラチャイはミルク煮出し茶ならぬ、単なるスパイスティーなれば「これってイタリア人向けにアレンジされてるんか?」確かにイタリアに於いて、紅茶はレモンと決まっておれば、ミルクティーなんぞどうにも気持ち悪いらしい。それにしても最近は食後のお茶でケチが付くらしい。

ホテルに戻りて、バスダブに湯を張り無理矢理入浴&洗濯。ツアーにて日本食と並び恋しきは風呂なり。シャワーではどうにも疲れが抜けず、そもそも単に体を洗うと云う意味しか果たさぬ。猛烈なる体臭を処理せねばならぬ毛唐共故に、手軽に浴び得るシャワーこそ不可欠であろうが、我々にとって入浴とは風呂に浸かる行為にして、湯船にゆっくり身を沈め、その日の疲れを流す意味なれば、食のみならず入浴に関しても、毛唐は所詮毛唐にして風呂が何たるかさえ存ぜぬド阿呆なり。
さて運び込まれしエキストラベッドのマットレスのみを床に敷き寝ようとすれば、折り畳みベッド本体部分をバルコニーに出し、これを物干として利用せんと発案。素晴らしき大快晴なりて、ズボンや厚手の服まで一瞬にて乾燥し得ると思えばこそ、どうせ然したる為すべき事もなければ、ならばと3人揃いてひたすら洗濯に明け暮れる。

7月のイタリアの午後の過ごし方と云えば、勿論ツール・ド・フランス観戦こそその醍醐味と重々承知、昨夏ヨーロッパにてツール・ド・フランスを連日テレビ観戦し大いに興味を抱きし故、ここはF-1フランスGPとツール・ド・フランスを続けてテレビ観戦す。流石に名門フェラーリを誇るイタリアなれば、F-1GP中継も表彰式やレース後の記者会見に至るまで完全生放送、更にレース中継終了後はジャン・アレジをゲストに迎えしプログラムにて、直ちにレースを振り返る様なれば、所詮「世界3大スポーツの祭典」の一つとして数えられるF-1GPでさえ、一過性のブームとして今やすっかり人気も下火となりし日本とは雲泥の差(因みに残りの2つとは「オリンピック」と「サッカーW杯」)筋金入りF-1GPファンの私としては羨ましき限りなり。佐藤琢磨についてアレジにコメントを求めておれば、何やら琢磨の事よりアレジの奥さんゴクミの事なんぞ語っており(勿論イタリア語故、内容はあまり判然とせぬが)その惚気ぶりには思わず閉口。

午後7時、散々歩き回りし末に再び閉店との憂き目には最早遭いたくもなければ、近くのレストランにて晩飯を食す事とす。日本人にとって「パスタ」とは「スパゲッティー」こそ代表格なれど(人によっては「スパゲッティー以外のものを『パスタ』と云うと誤解しておられる場合もあり、そもそも「パスタ」は「麺」にあらず)実はイタリアのレストランに於いて、所謂「スパゲッティー」なるメニューは斯くも多くはなし。ソースや具材によって最も適するパスタを使い分ける事こそパスタ料理の真髄なれば、況してや日本の如く「スパゲッティー専門店」なんぞある筈もなし。その点日本には「うどん専門店(蕎麦は扱わず)」「おにぎり専門店」「丼専門店(どころか「牛丼専門店」やら「天丼専門店さえあるか)」「カレー専門店」「オムライス専門店」なんぞと矢鱈多種多様の専門店が多ければ、これも食への飽くなきこだわりが為せる結果たるか。
さて我々も典型的日本人なれば、当然スパゲッティーを注文せんと、無難にボンゴレを選択、私は今や「どうせ何食うても不味いねんから」と、安全牌なメニューにしか手を出さぬ保守派と相成りし。ツアー中に津山さんが「見た事ないもんや食べた事ないもんは嫌いやねん!」と、よく子供じみた駄々を捏ねておられたが、その気持ち今や充分図り知れるものなり。されど日頃より食に対し我が道を邁進しておられる兄ィのみ、ミネストローネ雑炊の如き代物+サラダを注文、矢張り兄ィは常に何やら未知のメニューにチャレンジしておられれど、果たして今回は吉と出るか凶と出るか。ここでピザ好き3人衆の1人田畑君が「やっぱりピザ1枚頼んで皆でシェアせえへん?」と提案、全会一致で賛成可決、ならばとピザ好き3人衆の1人東君の強権発動「ピザと云えばルッコラ!」斯くして我々の今宵の晩飯は、赤ワイン1本+ボンゴレ4皿+ルッコラのピザ1枚+兄ィの2品(ミネストローネ雑炊の如き代物+サラダ)と相成る。


今回のツアーでは、イタリアにて珍しくも地獄のピザ&パスタ連続攻撃に遭っておらねば、それどころかピザやパスタ以下の酷い激不味料理責めに遭わされし故か、ボンゴレもピザも美味しく頂け、まあこれにてイタリア料理は充分に満喫せし。特にボンゴレに限れば、イタリアのレストランに於いてハズす事皆無にして、況してや日本のそれより貝の量も遥かに多ければ、豊穣なる貝の出汁を大いに堪能し得るなり。イタリアに於いてレストランに赴くならば、先ずはボンゴレをお薦めする。

ホテルにてテレビ鑑賞若しくはうたた寝するのみにも関わらず、深夜ともなれば何故かしら再び腹は減るもので、せんせいと共にホテル階下のマクドへ。イタリアへ遊びに来ている上流階級アメリカ人クソ大学生共にてごった返す店内、このボケ共、どうやら世界中英語が通じると思っておれば、イタリア語を一語ですら学ぼうと云う謙虚な気持ちなんぞ皆無にして、あの虫酸が走るアメ公アクセントの英語にて大声で捲し立てておれば、鬱陶しい事この上なし。金持ちのガキ程救いようなきものはなく、金持ちのアメリカ人程鼻持ちならぬものはなく、アメリカ人のガキ程傲慢にして煩わしいものなければ、況してや上流階級アメリカ人クソ大学生なんぞ、そのアメリカと云う国際的権威を笠に着た傲慢且つ利己的な態度に、思わず殺意さえ抱きそうになれば、既にあのアホ共の人権なんぞ到底認められぬどころか、その鬱陶しいアホ面を晒すのみにて充分極刑に値して余りある故、更にはそのクソ両親も含め一家磔に処さねばならぬ。またケチャップを常軌を逸せしかと思われる程大量に確保しておれば、所詮ケチャップとマスタードしか味の判らぬ白豚共である(時に黒豚やら黄豚やら交配種やらも見受けられる)世界中何処に行こうがマクドとコカコーラはある故、心置きなくブクブクと幸せに太れるのであるから、何とも幸せにして愚かなる人種ならぬ豚種なるか。されど哀しいかな、その豚共の餌たるビッグマックこそ今夜の我が夜食なれば、ワシはこいつら以下か?

午前1時過ぎ就寝。

7月4日(月)

午前7時起床。再びバスダブに湯を張り入浴を済ませ、ホテル内のレストランにて朝食、例によってパン+シリアル+ヨーグルト+オレンジジュース+カフェマキャート。

午前11時、ホテルをチェックアウトすれど、今宵は夕方までオフなれば、荷物をフロントにて預かって頂き、先ずはMilano Centrale駅構内にて売店巡り。ホテルを後にする際、ふと気付くや、私とせんせいと田畑君が、先日の「Mo Fo Festival #5」にて貰い受けし同じフェスティバルTシャツを着ておれば、奇妙な東洋人によるペアルックならぬトリプルルック、これは一体何と思われるやら、東洋人ホモ3兄弟か、はてさて新興宗教か、さてまたミラノファッションに対抗せんとするニューモードか。
「ええっ!これヤバいで!」
「ホモやと思われるんちゃう?」
「めっちゃ恥ずかしいわあ!」
「長い事洗濯してへんから、もうこれしかなかってん!」
「俺、半袖Tシャツこれともう1枚しか持ってへんからな、もう1枚は昨日着てたしなあ。」
「でもこれ偶然としても、3人共これを選んだ云うんは凄い事ちゃう?」
「そうか?」
「うん、凄い偶然かも!」
「新バンド結成!」
「ステージ衣装はお揃いでこれ?」
「カッコ悪ぅうううう!」
「こんなとこ、他の日本人観光客に見られたないなあ!」
「知り合いとかおったら最悪や!」
「あかん、死ぬぅうううう!」
「これ日本では絶対無理やな。」
「恥ずかし過ぎるぅううう!」
「即死や!」
「ハイハイそこの3人さん、並んで、並んで!記念写真撮るよぉおおお!」
「うっそっ!やめてや!」
「なかなかいい感じ、いい感じ!」
「どこがやねんな!」
「ハイ、皆でポーズ!」
「恥ずかし過ぎるぅううううう!」
「いいからいいから、ハイ、並んで!」
「死ぬなあ…。」
「ハイッ!行くよ!笑ってぇえええ。」
「パシャッ!」
「ハイもう一枚!ポーズ変えてみようか!」
「何かもう開き直って来たわ!」
「まだ撮るんかいな、もうええやん…。」
「パシャッ!」
「ハイもう1枚いっとこうか!」
「何かオモロなってきたわ!」
「ええ~いっ、ままよ!」
「恥ずかしぃいいいいいいい!」
「パシャッ!」
「ハイ、お疲れ様ぁああああああ!」

Milano Centarale駅に限らず、イタリアの主要都市の駅には、まるでショッピングモールの如く様々な店舗が軒を連ねており、魅惑的な土産物が犇めく怪し気なキオスクは勿論の事、サッカーショップから化粧品屋、スーパーマーケットやら本屋やら美容院やら、挙げ句はタッパウエアーのアンテナショップまで、何でもござれの楽市楽座状態なり。

Roma Termina駅に引き続き、先代法王ヨハネ・パウロ2世グッズをチェック、何とフィギアなんぞもあれば充実の戦利品に大いに満足。サッカーフリーク田畑君は、何故イタリアにてとの疑問はあれど、アルゼンチン代表ユニフォーム等に散財、兄ィとせんせいも土産物をいろいろチェック、質素倹約令施行中の東君は物欲を断ち切らんと、時折我々の会話に耳を塞ぐ有様。

先日のParisに続きいざ再び日本食を食らわんと、昨日駅前にて発見せし日本食レストラン「Endo」の開店時刻を待つ間、近くのBarにてビールを呷る。漸く開店時刻が訪れいざ赴いてみれば、「Endo」はそのあまりに値打ちこいた「それもん」の雰囲気と価格設定に、我々一同見事門前にて無念の玉砕、ならばと気を取り直し、同じく昨日発見せし韓国料理屋「Hana」へ向かう。ヨーロッパに於いて韓国料理屋なるは殆ど見掛けねば、そもそも在欧韓国人達が営みしは、殆どがより知名度もあり高価なる日本食レストランなればこそ、精々それらの店にてプルコギやビビンバ等数種類の韓国料理を見受け得る程度か。ツアー中にステーキを食す機会は幾らかあれど、焼肉を食する事稀なれば、しばしば「焼肉食いたい!」「ユッケ~!」「生レバ~!」なんぞと意味もなく叫ぶ始末にして、時折口にし得る寿司なんぞより、実は焼肉の方が遥かに恋しきかな。
さて先ずはビールを呷り、アペタイザーとしてチヂミを摘んでおれば、韓国にて散々飲み倒せしあの眞露(23℃)のボトルを発見、ここは空かさず眞露にスイッチ、そして続いては、嗚呼、夢なるかユッケ、何とも美味なりユッケ、束の間の幸せを噛み締めるが如く、一瞬にしてユッケ1皿は空となれり。


眞露を呷りつつ、いよいよ骨付きカルビに挑めば、嗚呼、素晴らしきかな御飯との相性がまた泣ける。惜しむらくは、自分で網にて肉を焼くスタイルにあらず、所謂ステーキ皿の如きにて、既に焼かれたカルビが乗せられし、所謂定食屋に於ける焼肉定食のあのスタイルでありし事か。こちらヨーロッパに於いて、テーブル上にて調理しつつ食すなんぞ、チーズフォンデュ程度であろうから、まあこちらも其処までは望めまいか。おおっ、矢張りカルビは美味過ぎる!カンサハムニダ韓国人!よくぞ斯様に美味なる肉の調理法を編み出せしもの。毛唐共のお粗末な料理と呼ぶも烏滸がましき調理法なんぞ、これに比べれば月とスッポン、焼肉とクソ硬いステーキ、否、焼肉と嘗てParisにてお目に掛かりしド汚い公衆便所の悪臭せし通称「便所ステーキ」か、されど韓国料理に欠かせぬ唐辛子も、卓上にて調理しつつ食する文化も、これら全て実は日本から伝えられしものなれば、矢張り日本の先人にはより一層の感謝か。太閤秀吉の朝鮮出兵と関東軍による韓国併合がなければ、今頃韓国に現在のスタイルの焼肉は存在していなかったかもしれぬ。最近、戦争責任やら靖国問題やらに関し、韓国側から何やら小賢しい事ヌカして来ておれば、お前らのその御自慢の食文化の要こそ、日本が朝鮮半島へ出兵せし御蔭たる事確と肝に命じ、占領されし故に民族としての誇りも堅持され得ると、日本に感謝こそすれ今更非難するとはお門違いも甚だし。日本もアメリカに占領されし故に戦後の繁栄あり、歴史とは斯くなる経緯を辿るものと理解すべきなり。そもそも日本が負けたんはアメリカにであって、中国や朝鮮に負けたわけちゃうど!

例によって我が道を邁進される兄ィは、ここでも1人だけクッパを注文、御飯をお替わりしクッパの中に打ち込めば、2度楽しめると云う塩梅。

デザートの水瓜もこのイタリアの暑さなれば大いに堪能、実に満足なり。

さて本日のフライトは夜なれば、これからの時間一体何をせん。
私とせんせいと兄ィは、偶然見掛けし「Sexy Shop Erotica」なる看板に魅了されるや、35度を越える灼熱地獄の炎天下を、まるで子供会のオリエンテーリングの如くMilano市内を彷徨、至る所にこの店の看板が出されておれども、「ここから100m」やら「ここから400m」やとの表示通りに歩いた処で、この「Erotica」どころかエロショップの1件すら発見出来ず。愛妻家の兄ィはここでリタイア「奥さんのお土産買わなくっちゃいけないからね」残されし私とせんせいは、先ずは偶然通り掛りし中華雑貨店にて、今再び2人して扇子を購入し作戦会議。
「実はこんな店あれへんとか?」
「とにかく矢印の方角もバラバラやし…。」
「この看板、ワシらをおちょくっとんちゃうか?」
「実は俺らみたいな奴をおちょくって楽しんでるとか。」
「『やらしい事ばっかり考えてるエロ親爺め!』って?」
「これ、女の仕業なら怖いなあ…。」
「でもこうなったら絶対にこの店見つけたいなあ。」
「負けたないねえ。」
「こうなったら意地やねえ、男の意地、日本男児の意地!」
「イタリア人に負けたないもんねえ。」
「しゃあけどホンマ何処にあんねやろ?」
「あの看板に書いたある住所調べよか?」
「地図ってどっかにあったっけ?」
「タクシーの運ちゃんに聞こか?」
「もうこうなったらタクシーで行こか?看板に100mとかって書いたるし、そんな遠ない思うわ。」
「でもそれって負けた気ィせえへんかなあ?」
「せやねえ…。」
「やっぱし自分の力で見つけたい!」
「せやね!悔いが残るとイヤやしねえ!」
「くっそぉおおお!負けんどぉおおお!」
「で、どないやって探す、これから?」
結局ネットカフェを訪れネット地図にて住所より所在を調べれば、何と目指すその「Via Melzo」なる通りはかなりの近さなり。意気揚々とネットカフェを後にし、いざその地図に指し示されし道程を辿れば、何故か斯様な「Via Melzo」なるは如何にしても発見出来ぬ有様。「どないなっとんねん?」通り掛かりの地元住民に尋ねれば「ここをずっと真っ直ぐ」教えられし通りに真っ直ぐ進めば、何とここは本日幾度となくこの「Erotica」の看板に翻弄されては徘徊せし見覚えある一角ではなかったか。「ほなら一体何処やねんな?」斯くなる上はと、パトロール中の婦警に尋ねれば「この先右に曲がって次を左に」せんせい曰く「このVia Melzoって地名から、俺らがエロショップに行くって、あの婦警にバレてたらカッコ悪いなあ」婦警に教えられし通りに道を辿れば、漸く「Via Melzo」なる通りの看板を発見、これにて後は番地を辿るのみ。されど斯様な道程ならば、あの看板に記されし「ここから100m」なんぞのみにては、到底辿り着ける筈もなし。
漸く悲願のエロショップ「Erotica」へと辿り着けば、店員の兄ちゃんがいきなり声を掛けて来る。「Are you from Osaka?」なんでやねん?

田畑君はタイ式マッサージへ行きしとかで、そう云えば吉田達也氏も時折マッサージに行っておられしを思い出せば、これもツアー中に疲労解消せんとする良きアイデアなり。況して万年肩凝り腰凝りに苦しむ私なれば、いつの日かこの慢性的苦しみから解放されんとの想い強けれど、調子に乗りて迂闊にマッサージなんぞに赴けば、後日揉み返しの心配なきにしもあらずか。愛妻家の兄ィは、奥さんに何やら満足行くお土産が買えたようにて御満悦。唯一人東君は、経済的理由による質素倹約令施行故、一切の物欲を断ち切らんとひたすらBarで飲んでいたらしいが、その酒代にてお土産のひとつふたつは充分買えると思えれども、まあ他人の人生なれば何も云うまい。
日中のあまりの暑さ故か、一転俄にかき曇り突如の豪雨と大雷鳴、小降りになりし隙を見て、空港行きシャトルバス乗場へ超重量級荷物を携え全力疾走。午後6時22分発Marpensa空港行きシャトルバスは満員、アフリカ系黒人が乗り合わせておれば、その体臭の凄まじさたるや空前絶後、白人とはまた異なる異臭にして、敢えて例えるならばカメムシの屁の臭いか、車内全体にその異臭が充満するや、まるでアウシュビッツ宜しくガス殺2秒前、加えてその黒人が体を僅かでも動かせば、新たな異臭が津波の如く次々と押し寄せ更に悶絶、これぞヨーロッパの旅の醍醐味か。
約1時間のガス室送りにも耐え忍び、無事に生きながらえてMarpensa空港に到着。Alitalia午後8時50分発Athens行きに無事チェックインを果たし、搭乗ゲートへと向かえばこれまた超満員。漸く搭乗するや、隣はメガトンデブの中年フランス女にして、狭きエコノミークラスの窮屈感はより一層にして、前列は初老のイタリア人夫婦なれど、離陸するなり私の前に座するジジイが座席を勢いよく倒して来れば、こちらも後ろから膝で蹴り返し押し返す反撃に出る。水平飛行になった辺りで漸く自分も座席を倒せれば、このジジイにこの確執もこれにて終焉かと思わせておきつつも、さり気なく膝にて前の座席を押し返す厭がらせに出ておれど、突然ふとその座席を押し返せし膝を離すや、その反動にて前の座席が勢いよく倒れ、ジジイは大層驚いておられし様子。どうせなら心臓麻痺で死ね、ボケがぁ!隣のメガトンデブ女も、私とジジイの確執を横目で見ては、私が膝で押し返す様を真似て前の座席を押し返しておれば、前に座するババアに客室乗務員へ苦言を呈される要領の悪さ。されどこのメガトンデブ女、機内サービス時にあまりのデブ腹故にテーブルさえ出せず、客室乗務員に訴えて前のババアに座席を起こして貰っておれば、ホンマにデブは難儀やのう。お前みたいなデブが乗ったら、飛行機落ちるかもしれへんやんけ。
機内食は例によって激不味サンドなれば、空腹なれども手をつけず。況してや隣のメガトンデブ女が、まるで豚が餌を貪るが如く汚らしく頬張っておれば、こちとら食欲さえも喪失せん。

午前1時過ぎ、Athens空港に到着、オルガナイザーManosがお迎えに参上。されどせんせいの荷物が手荷物受取所にて出て来ぬ始末、Alitaliaの職員に問い合わせれば、何でもせんせいの荷物のみ積み込まれておらず、明夕には投宿先のホテルに直送してくれるとの事、幸いライヴは明後日に変更になっておれば、これも不幸中の幸いか。
小型バスの如き大型タクシーにて市内の毎度投宿するホテルへ。部屋割りは次のフライト毎にと云う訳で、皆より1日早くギリシャを発つ私は1人部屋、中部国際空港組の東君&とせんせい、成田空港組の田畑君と兄ィが各々2人部屋。今回のツアーに於いて初めての1人部屋なれば、クーラーを18度に設定し、ひんやりのんびりテレビ鑑賞、ヨーロッパにて毎度見受ける謎のエロ案内番組の他、矢鱈とフランスのソフトポルノ映画が放映されておれば、ついつい観入るは必定なり。しかしこの謎のエロ案内番組、画面に表示される電話番号に掛ければ、一体何が起こるのやらも想像出来ぬが、ひたすらネエちゃんが現れては全裸になり、最後は局部アップにて、さて次のネエちゃんに交代と云う塩梅なれば、これも所謂ミニマルにして、次第に自分の顔より大きな局部アップなんぞにて、エロの感覚も麻痺して来るや、遂にはエロな高揚感さえ消失せん。

トイレの漏水の音と表を走るバイクの音を聞きつつ、遂に映画も終われば、午前5時半就寝。

(2005/9/26)

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